Inter BEE 2015レポート
【カメラメーカー】


【ソニー】ライブ中継におけるHDR制作を提案。初登場のFS5も大人気


ソニーはInterBEEの初日の午前中に記者発表会を開催するのが恒例になっているが、今年もイメージング製品全体の方向性からInter BEE 2015のテーマ、そして具体的な製品までを発表した。
 イメージング製品トータルとしては、4K技術をハイエンドから家庭用まで展開する一方で、もともとはデジタル一眼カメラのマウントであるαEマウントシステムを業務用途まで拡張するという戦略。今回の目玉製品であるPXW-FS5も業務機でありながら、Eマウントを採用している。家庭用と放送業務用機器は今後、それぞれの強みを交流させることで、効率的な開発を図っていくと思われる。


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InterBEE2015のソニーブースコンセプトは、「Beyond Definition」。これまでの放送の枠組みを超えて映像ビジネスの可能性を追求するチャレンジの意志を込めている。具体的には4KとHDR、そしてHDファイルベースワークフローのさらなる進化。背景としては、2020年に向けて4KとHDRの実用放送がCSやIPTVではすでに始まり、来年にはBSでも試験放送が始まるという背景がある。4K/HDR制作を支える制作機器ラインナップが拡充されつつある。
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スポーツや音楽などのライブ中継では、NABで発表され、7月に発売されたマルチフォーマットポータブルカメラHDC-4300が好調。4K撮影に加え、HDのハイフレームレート撮影(8倍速スロー)対応が評価され、大きなヒット商品になると期待されている。
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HDRは、放送やディスクメディアが規格がきまったことで、より具体的な制作環境が見えてきた。UHD BD規格でHDRを採用など規格が固まり、プレーヤーもパナソニックから登場。ソニーピクチャーズエンタテインメントでは「アメイジング・スパイダーマン2」など6タイトルを2016年初冬に発売を予定している。放送においてもハイブリッド・ログ・ガンマ規格がきまったことで動きだし、今回、スカパーJSATが都内から衛星を使って送った4K HDR放送をソニーブース他、キヤノン、東芝ブースなどで受信して、スポーツライブ中継などでもHDRが効果があるということを見せていた。また、ソニーは国際会議場において、HDRを中心にしたセミナーを期間中開催していた。
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 8Kについては、専用のカメラは提案されていないが、F65のRAWでは8K解像度を得られるので、8Kベースバンド出力対応のプロセッサーユニットBPU-8000により、8Kライブカメラシステムを構築できる。光デジタル伝送による長距離伝送を実現。8Kになると、SDIでの伝送ではケーブルが多すぎて現実的ではない。次世代インターフェイスは「SDIからIPへ」ということが、ソニーに限らず、このInterBEE会場ではそこかしこで提案されていたが、ソニーでは具体的にネットワーク・メディア・インターフェイスを提案。今回のInter BEEでは42社が賛同を表明しているという。採用事例としては、NHKの8K中継車に採用されたことが紹介された。
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 映画、CM、ドラマ系のカメラとしては新製品はなく、F65、F55のラインナップのまま。ソニーとしては、FS7やFS5はシネマカメラというよりはドキュメンタリー用カメラとして位置づけている。FS5は10月のソニービルの展示会のタッチ&トライのセミナー以外で初めて実機を触れる機会。ちょうど発売になったタイミングということもあり、時間帯によってはデモ機に近づけないくらいの人気だった。
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HDカメラ用の有機ビューファインダーが登場。液晶パネルなしのHDVF-EL20が50万円、液晶パネル付きのHDVF-EL30が78万円。2015年12月発売予定。HDC、PDW、PMWシリーズのHDカムコーダーの20ピン端子と接続して使用する。液晶パネルと有機ELのEVFは同時点灯が可能で、液晶パネルは横に向けてディレクターが確認したり、前に向けて被写体側で映像を確認、もしくはカメラ番号を入れてタリーランプのように使うことができる。
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ビデオサロン読者のユーザーも多い製品では、カムコーダーのHXR-NX3が無償ファームアップでVer.2.00になることで、記録フォーマットXAVC Sに対応。これまではAVCHD記録のみだったが、XAVC S HD対応により50Mbps記録が可能になる。また、HDMI端子からの映像出力にRECトリガーを重畳できるようになった。バックアップ用のレコーダーと接続して、カメラ本体の記録動作に連動させることができるようになる。ファームウェアは11月26日リリース予定。
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DVX200が登場したパナソニック。4Kカメラのラインナップが充実


パナソニックのDVX200はすでに9月末に出荷されたが、InterBEEとしては初登場。何台か実際に操作できるようになっていた。また周辺アクセサリーも展示。特に日本ビデオシステムのPROTECH製リグ、ST-7Rを利用すると完全なショルダーになり、Vマウントバッテリーを後ろに装着できる。また同じくPROTECHからは早くも専用のレインジャケットが用意される。ワイコンはZunow製のものが展示されていた。
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 DVX200はSDカード2スロットのカメラだが、パナソニックでは業務用のSDHC/SDXC(UHS-I)メモリーカードを用意。64GBと128GBの2種類。記録内容を書き込めるメモ書きラベルを採用。ユーザーの要望に応じてオリジナルデザインのカスタムラベル対応も可能(1ロット2000枚以上から受け付け)。
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 あらゆるカメララインナップを4K化しつつあるパナソニック。マルチパーパスカメラAK-UB300は多目的4K BOXカメラ。新開発のMOSセンサー搭載、4KとHD映像の同時出力が可能で、レンズは2/3型レンズマウント搭載。
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放送用4KスタジオハンディカメラもAK-UC3000も登場。新開発の4K大判センサーを搭載。CCU からUHD(4K)、HD、SDを同時出力でき、サイマル運用に対応する。レンズマウントは2/3型で特殊変換レンズにより、4K大判センサーながら既存のHDレンズが使用できる。将来はIP制御、IPストリーミングをサポートする。
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リモートヘッドとカメラが一体化したIP制御のコンパクトなインテグレーテッドカメラも4Kタイプが登場。AW-UE70は、1/2.3型MOSセンサーを採用し、レンズは光学20倍、超解像30倍ズーム(4K時は22倍)。HDMI、USB、LANによる4K映像出力が可能であり、同時にmicroSDカードにMP4フォーマットで記録もできる。
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パナソニックでは、HD-SDIとHDMIの入出力を持つ保管/配布用の業務用ブルーレイレコーダーが数年前からラインナップされているが、ユーザーに医療関係が多いということもあり、その方面からのリクエストで現場にマッチしたモデルが登場。ボディカラーはホワイト。日時情報を映像信号に焼き込めるタイムスタンプ機能も持つ。
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液晶や有機ELなど直視型ディスプレイでは、HDRで新しい次元の画質を獲得しつつあるが、それに比べるとプロジェクターはスクリーンへの投射というスタイル、また投射距離やスクリーンとの関係など条件が様々なためHDR化への道は一筋縄ではいかない。そんな中、HDRに近い明るさとコントラストを感じさせてくれたのは、レーザー光源を採用した3チップのDLPプロジェクター。2.5Kピクセルを画素ずらしすることで画素を4倍密化し、4K以上の解像度5120×3200を実現。
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◉DVX200のユーザーおよび関係者向けの懇親会、クリムゾン・ナイトの模様はこちらに少し。

キヤノンからあえて今、HDカメラXA35/XA30が登場


新しいカメラと言えば、4Kが当然という流れの中、キヤノンからあえて今HDに留めた小型ハンドヘルドビデオカメラが登場した。ただ画質面でも新しい提案があり、それが「高輝度優先ガンマ」。これからのトレンドになるHDRはHDR対応テレビ向きの放送やBDの規格としてまとまったが、そもそも現代のテレビはより高輝度部分の再現性に優れ、大判センサーカメラもよりダイナミックレンジが広くなったことで、解像度以外の進化の方向性が見えてきた。今回のXA35では、小型センサーを搭載しているためダイナミックレンジが広がったわけではないが、高輝度テレビに向いたモードをカメラに採用することで、新しい映像を提案している。
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ソニー同様にHDRを積極的に推進しているキヤノン。HDR制作環境では、それが再現できるモニターが必須になる。業務用液晶モニターDP-V3010に続いて、ロケ先などに持ち込む用途として24型のDP-V2410も10月に発売された。デモは同社の30型と24型のモニターをチューニングし、HDR映像を再現できるようにして、SDRとの違いを見せていた。
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超高感度の多目的HDカメラ、ME20F-SHは12月上旬に発売予定。最低被写体照度は0.0005LUX以下(ISO感度換算400万相当)。センサーは有効約226万画素のフルサイズ35mmCMOSセンサー、マウントはEF。NDフィルター(2濃度)、IRカットフィルターを採用。本体操作だけでなく、同社のリモートコントローラーでの操作も可能。製品としてはカメラヘッドのみで、価格は300万円くらい。デモではレンズやEVF、レコーダー、バッテリーなどと組み合わせたシステムで展示されていた。
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直接キヤノンのカメラとは関係ないが、CINEMA EOSのカメラを載せてデモしていたKUKAというドイツのメーカーの工業用のロボットアーム。工業用ロボットは普通は人が近づくことができないが、このKUKAのモデルは人が触れると止まるようになっていて安全が確保できており、それを映像制作(カメラワーク)に使うという提案をしていた。リモートでコントロールできるだでなく、複雑な動きをプリセットして何度も繰り返すことが簡単にできる。
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URSA Mini 4.6Kも登場したブラックマジックデザインブース


ブラックマジックデザインのブースは、毎年同じような構成になっており、一角でダヴィンチリゾルブとフュージョンのセミナー。一番奥にカメラのデモスペースがある。NABで発表されたURSA Miniは当初7月発売だったが、ずれ込んでおり、日本では4Kタイプが数台出荷されたのが現状。4.6KタイプはなんとかInterBEEに実働のデモ機が間に合った。ユーザーへの出荷はまだもう少し時間がかかりそうだ。
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発売されたばかりのレコーダー兼モニター、Video Assistの画質とサイズ感、操作性などを確認しにくる人は多かった。
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