適材適所で動画制作をさらにクオリティアップ
(筆者柳下隆之氏より)
2月号の自立式一脚&モバイル三脚特集を読んで、ぜひ導入を考えていただけると嬉しいです。特に自立式一脚ですが、筆者なりに一脚&三脚でのワークの違いを理解すべく、以前から親交のあるイラストレーターの方を撮影させていただいた作例を紹介させてください。
【イラストレーター 神田めぐみ】a scene of drawing
この作例は一脚と三脚に加えて、テーブル三脚代わりにthe pod製の〈red pod〉を使用して3種のアングルをメインに撮影したものです。
斜俯瞰と真俯瞰の三脚の画に、ローアングルのマクロショットやイラスレーター主観の一脚の画が加わることで、変化のある映像に仕上げることができたと感じています。 今回の撮影は、ニコンD5にレンズはAF-S 105/2.8マクロ、ZEISS Outs 1.4/55の2本使用。そのHDMI 4K/30p出力を、アトモス社のSHOGUN INFERNOでキャプチャー、LEDライトはCineroid社のFL400Sを2灯使用しました。 婚礼やイベントなどのダイジェスト映像の撮影であれば、一脚のみでの撮影も考慮すべきですが、演出やカメラワークを考えた場合、使い分けが必要というのが筆者の持論です。
今回は作例以外にもメイキング動画も作ってみました。現場での撮影風景が少しでも参考になればと思います。
the making of 〝 a scene of drawing 〟
プラスα◎柳下さんの撮影機材に学ぶ
三脚は筆者なりに研究して、フォト用三脚とビデオ雲台を組み合わせたセットを使っている。三脚はマンフロット社の055シリーズのカーボン3段 MT055CXPRO3で、これに同社のボールカメラレベラー 438を併用してMVH500AHを装着。こうすることで、センターポールを生かした微妙なアングルの上下や、真俯瞰撮影にも対応できる仕様としている。
また、一脚は雲台別売りのXPROフルードビデオ一脚アルミ5段 MVMXPROA5に、三脚と雲台を共用して使用。アルミ5段は今回のテストの中では、もっとも低いアングルが狙える機種であったが、作例では着座のイラストレーターの肩越しに撮影など、必要十分な高さも確保できるので筆者の用途にはもっともマッチしている。
the pod社のred podにはマンフロットのクイックリリースアダプタを取り付けておき、カメラプレートの互換性を保つと同時に、前後バランスの調整を可能にしている。この3点セットがあれば、三脚バック一つで、ハイからローのアングルに加えて、カメラワークにも変化が付けられるという、筆者の黄金トリオの撮影キットとなっている。
自立式一脚のセッティング動画
▲自立式一脚を脚の可動部の動きやまた雲台の動きも含めてチェック
ビデオサロン2月号特集で掲載している3メーカーの自立式一脚のセッテイング模様を動画でご紹介。
スタート合図→脚のロックを解いて目高に設置→カメラをセット→スタンドの固定を解いて→カメラワーク→再びスタンドを固定→カメラ(シュー)を一脚から外す
という共通の動作でそれぞれの一脚をチェック。
まずは動画をご覧ください。現場音をいかしているので脚のロックや解除などの音も確認できます。
マンフロット(MVMXPRO500)
リーベック(HFMP KIT)
シルイ 従来製品(P-426S+VA-5)
シルイ 2017年新モデル(EP-224S+VA-5)
▼補足解説
3社(4製品)ともにそれぞれ特徴があって興味深かった。動作の滑らかさではマンフロットだが、一脚の立てられない状況ならば、シルイのしっかりした開脚部とガッチリした固定は心強そうだ。特に三脚NGの現場で、その代用と考えるなら良い選択肢となるだろう。ここにリーベックのHFMPが設置の手間を最小限まで省いた製品として登場し、コストパーフォマンスの高さと合わせて、一気に広まる可能性を感じた。
逆に、セッティング動画では分からないが、一脚全体としての動作の滑らかさと統一感はマンフロットが秀逸で、カメラーク全体としての動きにぎこちなさを感じない。他2社の開脚部は構造的にトルク感がない、または渋い動きに感じる。マンフロットはカメラを乗せたままの自立は絶対避けたいと感じる開脚部の固定感で、三脚の代用として不向き。
結局のところは用途で使い分けになるだろうというのが、筆者なりの最終的な結論だった。