最近、映像制作の現場でよく見かけるようになったチューブライト。なかでもコストパフォーマンスの高いNANLITE PavoTubeが人気を集めている。新たに発売になったPavoTubeⅡXシリーズをニューウェーブアイドル「ゆるめるモ!」のMV撮影の現場で使い、MVを監督した加藤マニさんに現場で使ったインプレッションや演出についてお話を伺った。
文●山崎裕人(heatin System) 構成●編集部 協力●VANLINKS
加藤マニ(ディレクター)
1985年東京都青梅市に生まれる。東京・渋谷を本拠に、インディーズ、メジャーを問わずミュージックビデオ等の映像制作(キュウソネコカミ、高橋優、Superfly、冨田ラボ、MO’SOME TONEBENDER、DJ BAKU、HPPY他多数)を手がける。MV制作は年間80本以上に上る。
ゆるめるモ! 『モンスターメリーゴーラウンド』MV
5人体制になったゆるめるモ! 初の楽曲。見えないモンスターを倒すための冒険へと出かけたメンバー5人が、メリーゴーラウンドがある夜の遊園地を彷徨う姿が描かれている。
加藤さんの現場で使ってみたPavoTube Ⅱ Xのインプレッション
——加藤さんは前モデルのPavoTubeを作品で活用されていますが、きっかけは何だったんでしょうか?
以前からLEDのチューブライトに興味があって、「世の中には便利なものがありますね〜」という感じで色々な製品を見ていたんですが、どれも高価なものばかりで、個人所有はちょっと厳しいのかなと諦めていたんです。そんなときに現場で初めてPavoTubeを見かけて、その照明さんにいろいろと教わりまして。調べてみたら2本セットで8万円ぐらいだったので、その場ですぐにポチりました(笑)。
——PavoTubeのどんなところに魅力を感じましたか?
現場でよく発生する「ちょっと足りない」に応えてくれるところですかね。もう少しだけ人の顔にライトを当てたいという場面でも、照明助手さんにPavoTubeを持って被写体に近づいてもらうことで、セッティングの時間をかけずに解決できるのがすごくよかったです。省スペースかつバッテリー内蔵なので、車のダッシュボードに仕込んでも電源ケーブルのために窓を開ける必要がなかったり、そもそもケーブルがバレる心配がなかったり…と、いろんな問題がいっぺんに解決できるのも魅力だと思います。
——今回のMVで実際に使用した、新モデルのPavoTube II 30Xの印象はいかがですか?
以前のモデルと比べて、より現場仕様に改良されていると思います。細かなところでは、ベゼルの形状が8角形になっていて、置きで使いたいときに狙った角度で固定しやすくなっていました。あと、発光部とベゼルが左右でシンメトリーになっていて、映り込むときの見栄えもよくなっています。プリセットの特殊効果もいい感じに搭載されていて、光の粒が柱の中を走るように見えるピクセルエフェクトも、それだけで演出として成立しうると思ってます。なかでも、一番の改良点はスマホのアプリでワイヤレス制御できるようになったことですね。これまでは各PavoTubeのパネルで操作しないといけませんでしたが、ワイヤレスで一括制御できるのは撮影時間に追われることが多いMVの現場ではかなり助けになると思います。
——MVはタイトな撮影が多いと思うのですが、PavoTubeのセッティングはいかがでしたか?
絶対的に早いですよ。今回の撮影で、ジェットコースターのレールの柵にPavoTubeを立てかけるだけでセッティングが完了…というシーンもありました。あと、撤収もラクですよね。サッサと回収するだけなので、次のシーンに転換する時間も短縮できたと思います。
——加藤さんが考える、いまのMVの現場で求められるライトとはどんなものですか?
作品によって変わるので一概には言えませんが、顔が綺麗に見える! というだけではない、舞台をよりカッコよく見せる「演出するライト」というのは、メジャー領域のMVでも求められていると思います。MVは全体的に予算が厳しいところも増えてきていますが、照明ありきの企画はやはり機材量に依存するというか、アイデアだけではどうしても乗り越えられない壁のようなものがはっきり見えてしまうので、そういう企画を書くことは少ないです。Linkin Parkの『Faint』みたいなMVをやりたいと思っても、なかなかできないじゃないですか(笑)。ただ、PavoTubeのようなライトが出てきたことで、“予算を抑えながら工夫できる”という状態になりつつある気がしていて、今後その工夫によって差が出るんじゃないかと個人的には思いますね。
Production Note
今回のMV撮影でのPavoTubeの使用感を語ったBTS動画。合計24本のPavoTube Ⅱ 30Xを使い、夜の遊園地を中心に撮影を行なった。メリーゴーラウンドの柱などに取り付けて演出ライトとして使った他、三角錐状に組み合わせてオブジェとして配置。さらにはジェットコースターのレールに仕込みライトとして、時には手持ちでカメラと一緒に演者をフォローするなど様々な場面で活躍していた。
15種の照明モードを備える映像演出にも使えるチューブライト
NANLITE PavoTube Ⅱ 30X
77,000円(VANLINKS取扱)
SPECIFICATIONS●SCRI:平均97/TLCI:平均98/色温度:2700K-12000K/バッテリー持続時間:2時間13分(輝度100%時)/サイズ:φ43×1145mm/重量:1.56kg
PavoTubeは色温度変換はもちろん、RGBで自由に色を変えられるチューブ型LEDライト。前モデル30Cでは色や明るさをコントロールできるのは本体のみだったが、Xシリーズからは専用アプリNANLINKで複数台のライトをリモート操作が可能になった。別売のアダプターと組み合わせればDMX接続にも対応する。さらにピクセル単位で照明効果をつけられる「ピクセルエフェクト」を新たに搭載し、多彩な演出が可能になった。長さ600mmのPavoTube Ⅱ15Xもラインアップ。
現場ではForza 300も活用
観覧車前のシーンではNANLITE Forza 300B(ナンライト フォルツァ 300B)を使用。Forza 300BはACアダプターのほか、14.8V/12AのVマウントバッテリーからも給電できるため、今回の撮影でも活躍してくれた。ロケ地の時間の関係で観覧車の電気が落ちてしまったあとも、39180luxの高輝度で観覧車を照らしたりする用途でも使用した。2700K-6500Kの範囲での色温度調整にも対応している。
NANLITE Forza 300B
118,800円(VANLINKS取扱)
SPECIFICATIONS●CRI:平均98/TLCI:平均98/色温度:2700K–6500K/出力:300W/サイズ:330×225×120mm/重量:2.3kg
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◉製品情報
PavoTube Ⅱ 15X:https://nanlite.jp/products/pavotube-ii-15x
PavoTube Ⅱ 30X:https://nanlite.jp/products/pavotube-ii-30x
Forza300B:https://nanlite.jp/products/forza300
◉販売元
VANLINKS
http://www.van-links.com