合計24本のNANLITE PavoTubeⅡ30Xをニューウェーブアイドル「ゆるめるモ!」のMV撮影の現場で使用! 後編となる今回は各シーンの照明のセッティングやアプリ設定について照明技師の東さんに解説してもらった。

文●山崎裕人(heatin System) 構成●編集部  協力●VANLINKS

 


東 憲和 照明技師
映像技術会社㈱オフィスドゥーイング所属。映画、CM、テレビ・配信ドラマ、ミュージックビデオなど幅広い映像作品で照明を手がける。主な作品に『HYDRA(2019)』『AI探偵(2019)』『シュウカツ3、2(2018)』『咲 Saki 阿知賀編 episode of side-A(2018)』などがある。

 

ゆるめるモ! 『モンスターメリーゴーラウンド』MV

5人体制になったゆるめるモ! 初の楽曲。見えないモンスターを倒すための冒険へと出かけたメンバー5人が、メリーゴーラウンドがある夜の遊園地を彷徨う姿が描かれている。

 

撮影の裏側とインタビューを収録したBTS映像も

監督の加藤マニさんにPavoTube Ⅱ 30Xを使ったMV撮影の裏側や使って見てわかった製品の魅力などをインタビュー。

 

現場に充分対応できることが分かりました

——PavoTube II 30Xを使ってみた感想を教えてください。

現行のチューブ型LEDライトにできることがPavoTubeでもできるようになった、という印象ですね。強みはこの価格でそれができること。予算的にチューブ型LEDライトを8本しか持っていけなかった現場に、16本持っていくことができる…という。演出的に“見せるライト”として使うのであれば数があってナンボになってくるので、この値段で、これだけのことができるなら選択肢として全然アリだと思います。

——PavoTube II 30Xのスペックはいかがでしょうか?

まず、光量はまったく問題ないですね。例えば、ナイトシーンでも正面の抑えのライトなら、現状のカメラの暗所性能を考えると5〜10%の光量でも充分。この手のライトはバッテリーの持続が気になりますけど、100%の光量で長時間使い続けない限り、現実的な撮影時間はカバーできますね。個人的に背面が黒になっているのもすごくいいなと思っています。余計な光が必要ない場合は、光源面だけを見せておけばいいんですよね。光の設定はそのままに、光量を少し落としたければ、ベゼル部分が8角形になっているので、アナログな角度調節ですぐに対応できるのも気に入りました。あと、社内の技師たちに使ってもらって好評だったのが、「CCT MODE」で「G/M(グリーン/マゼンタ)」の微調整ができること。LEDライト全体の特徴として、同じケルビンであっても、HMIのライトと色が若干合わないことが多々あります。CMなどではその調整が必要になってくるので、超高価なLEDライト以外で搭載されているのはうれしいですね。

——今回のMVはエフェクトを活かした演出が印象的でした。

光の演出をシステム的に細かく組んでいくのもいいんですけど、現場でパッとアイデアを求められたときに対応できません。それよりもPavoTubeのように内部のプリセットとして組まれているエフェクトから、演出意図に近いものを見せて、相談するほうが早いんですよね。MVは想定よりも時間がなくなってしまう現場も多いですが、企画上やりたい演出というのは諦められません。そんなときにPavoTubeがあれば、やれることを増やしてくれると思います。

 

切れかけの蛍光灯の雰囲気を演出

曲の冒頭はゆるめるモ! のメンバーたちが懐中電灯を片手に、工事中の暗い遊園地のなかを何かを探しながら彷徨うシーン。照明は切れかけの蛍光灯のようにチカチカと点滅を繰り返している。

PavoTubeⅡ30Xをメリーゴーラウンドの柱に結束バンドで結びつけたり、馬車の中に仕込んで、専用アプリのエフェクト「BAD BULB」に設定。

 

ランダムに色が変化する

暗いメリーゴーラウンドのなかを歩き回っていると、操作室の前にスイッチを発見する。これをONにするとメリーゴーラウンドがきらびやかに点灯。それに合わせてPavoTubeもランダムに色を変えながら点灯する。

ここではアプリのエフェクトは「DISCO」に設定した。操作室の窓の上に元々あるかのようなライトも実はPavoTube。

 

暗闇のなかに設置して

2番のAメロ。今度はミニジェットコースターのシチュエーションでスイッチを探して歩き回る。遊園地が消灯時間となり、明かりがなければ真っ暗の場所だが、ジェットコースターのレールや手すりに複数取り付けることで明かりを確保。

このシーンではエフェクトは使用せず、CCTモードで色温度を8000Kに設定。均等に配置することで飾り付けにもなるように配慮した。

 

グループ分けして個別に制御することも可能

メンバーのソロや全員のリップシーン。背景の壁やデルタ状に組み合わせたオブジェ、Cスタンドに設置。ソロシーンでは背景やデルタはHSIモードで、メンバーそれぞれのイメージカラーに設定。アプリでグループ分けして個別に設置した。

全員のシーンではデルタは「RAINBOW」のエフェクトに。Cスタンドに設置したライトはCCTモードで顔色がキレイに出るように調整した。

 

 

15種の照明モードを備える映像演出にも使えるチューブライト

NANLITEPavoTube Ⅱ 30X
77,000円(VANLINKS取扱)

PavoTubeは色温度やRGBで自由に色を変えられるチューブ型LEDライト。前モデル30Cでは色や明るさをコントロールできるのは本体のみだったが、Xシリーズからは専用アプリNANLINKで複数台のライトをリモート操作が可能になった。別売のアダプターと組み合わせればDMX接続にも対応する。さらにピクセル単位で照明効果をつけられる「ピクセルエフェクト」を新たに搭載し、多彩な演出が可能になった。長さ600mmの15Xもラインアップ。

 

 

専用アプリNANLINKの操作画面

左は室内撮影の際のグループ分けの画面。グループごとに別の設定をして個別に制御できるほか、わかりやすく名前をつけて管理できる。右はエフェクトの設定画面。15種類のエフェクトを備え、速度や間隔などを細かく設定できる。

 

1月26日に記事連動ウェビナーを開催!

 

 

◉製品情報
PavoTube Ⅱ 15Xhttps://nanlite.jp/products/pavotube-ii-15x
PavoTube Ⅱ 30Xhttps://nanlite.jp/products/pavotube-ii-30x

Forza300B:https://nanlite.jp/products/forza300

 

◉販売元

VANLINKS
http://www.van-links.com

 

 

VIDEO SALON2022年2月号より転載