取材◉岡本俊太郎(Vook)/文◉青山祐介
Crevo の場合
オンライン上で動画制作を完結できる
動画制作支援システム「Basecamp」で
制作の低価格化と効率化を図る
今回、取材に協力いただいた Crevo 株式会社セールス&マーケティング部の工藤 駿さん(写真左)。インタビュアーは本誌連載「Videographer’s File」でもお馴染みの Vook の岡本俊太郎さん(写真右)。
世界105カ国・約3500人の動画クリエイターが登録するクラウドソーシングによる動画制作プラットフォーム『Crevo』。最近は実写動画の制作も増えているというが、アニメーション動画に強みを持つ同社の制作スタイルについてお話を伺った。
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「この1年で去年の同時期に比べると、制作本数が倍くらいになっていると実感しています」という工藤さん。アニメーションを使ったWEB動画制作に長けた Crevo だが、最近では実写映像制作の依頼の伸びが大きいと話す。
こうした Crevo の制作の流れの中で、クライアントとクリエイターを結ぶのが「Basecamp」という制作支援システムだ。WEBブラウザーベースのこのシステムは、コンテや試写といったクライアントとクリエイター間のやり取りを、お互いにWEB上で素材を確認しながらチャットベースで行うというもの。クライアントが案件の希望を入力するヒアリングシートから、共有スケジューラー、コンテやロゴなどの素材の共有フォルダなどが用意されている。
また、クリエイターが制作した動画やイラストに対して、直接コメントを入力できるなど、直感的な操作性とお互いにすぐにレスポンスが得られる構造となっている。このシステムを使うことによって、アニメーション制作では最初にディレクターがクライアントと打ち合わせを行うだけで、あとはすべてWEB上でコミュニケーションが図られるため、スムーズに作業が進められるのがメリットだ。
Basecampでの映像制作の流れ
アニメーション動画の制作フロー
▲制作申し込み後、クライアントはWEBブラウザで操作できる制作支援システム「BaseCamp」で制作物の要望を記入。それに沿って制作進行やクオリティ管理を行うCrevoスタッフとディレクターを交えて対面でのヒアリング(東京23区以外はオンラインビデオ通話で)。それにそって絵コンテ作成。グラフィック制作、アニメーション制作というフローで制作を進めていく。
制作支援システムBasecampの管理画面
▲クライアントの要望を記載するヒアリングシートをはじめ、チャットルームでコミュニケーションやファイル共有ができる他、スケジュール管理や動画に直接修正コメントを書き込める(上写真)。またオンライン上でナレーターのオーディションや納品も可能。
アニメーション動画のスタッフ体制
▲クライアントはディレクターと制作物に関して、Crevoスタッフと進行の初回は対面で、その後はBaseCamp上でやり取りを行う。イラストレーターやアニメーター、ナレーターは海外のクリエイターも含め2500人の中から選定。
クリエイターのケアに力を入れる
「現在クリエイターは約3,500人が登録していて、そのうち半数は海外在住です。特にアニメーターは海外の方が多く、そのためサポートスタッフは英語が必須となっています」という工藤さん。クラウドソーシングのWEB動画制作会社というと、クリエイターのアサインがその主な役割だが、Crevo では社内のサポートスタッフがクライアントとクリエイターの間に入り、プロジェクトの進行管理を行なったり、クリエイティブアドバイザーという形で海外から上がってきた素材のチェックやディレクターに助言を与えるといった、密なサポートを行うスタイルが大きな特徴である。
また、Crevo ではクリエイターのケアにも力を入れている。「クリエイターには表現で人気のある人や、クライアントとの要望を上手く表現できる人など、いろいろなタイプの方います。中には主婦のイラストレーター、活動できる時間に制約があるという方もいらっしゃいます。そういった、クリエイターの特性や得意な条件を、面談を通して上手く案件とマッチングできるように心がけています」と工藤さん。また Crevo では勉強会を定期的に行うなど、クリエイターを“育てる”活動も行なっている。
「最近は、撮影はクライアントが行なって、編集だけやって欲しいとか、コンテンツを量産したいといった、WEB動画ならではの要望が高まっています。今後は Crevo でもそうした市場ニーズに応えられるシステムを提供していきたいと思っています」。
●この記事は2017年9月号より転載したものです。