Report◉千葉 孝

ビデオサロンの読者なら一度は聞いたことがある、いや実際にユーザーの方も多いと思われる「SmallRig」。非常に安価でクオリティの高いアクセサリー類を驚くようなスピード感で意欲的にリリースしている。筆者が最初に購入したのは約3年前、ブラックマジックデザインのURSA Mini用のチーズプレートだった。価格はたしか3千円程度だったと思う。届いた製品のクオリティーは非常に高く、費用対効果の高さに驚かされた。それ以来すっかりSmallRigのファンで、気が付いたら今まで30種類以上の製品を購入している。

さて今回、深圳に行く機会があり、以前から是非とも訪ねてみたかったSmllRig本社を訪ねることが出来たのでそのレポートをお届けする。

 

SmallRig社は中国・深圳市に本社を構える。

社員の平均年齢はなんと30歳。非常に若い会社だ。ちなみに深圳市の平均年齢が32.5歳ということなのでこの深圳という街全体が若い活気にあふれていると言える。実際、深圳に来るたびに街のスケールと人々の活気に圧倒される。

香港の中心地でもある福田区から車で30分ほど行った場所にSmallRigの本社はある。隣には何かと話題のファーウェイ本社があり、IT系の大企業が数多く集まっているエリアだという。


 

今回案内してくれたのは日本語も流暢に使いこなす邱さん。日本にも留学経験がある好青年である。

最初に案内していただいたのは組み立て工場と出荷倉庫だ。組み立て工場は細かなパーツで構成される商品を若いスタッフが手際よく組み立てている。深圳の工場というと過酷な環境を想像しがちだが、SmallRigの工場は若いスタッフが自由な服装でのびのびと働いている印象だった。隣接する倉庫は大きな体育館ほどもあるスペースに段ボールが山と積まれ、出荷作業をしている。

取引は世界中の国々に及ぶが、主な取引国はアメリカ、EUでそれぞれ30%の比率を占めている。日本への出荷量は全体の8%位だということである。

本社は倉庫にほど近い巨大なオフィスビル内にあり、商品設計から営業、カスタマーサポートなども同じオフィス内で機能していた。

 








 

驚いたのは昼に30分のお昼寝タイム、専属のヨガの先生によるストレッチタイムが導入されていたことだ。なんというか、SmallRig社は超ホワイト企業なのだ。

 

さすがに商品開発の部屋は撮影ができなかったが、部屋の中では十人ほどの設計専門スタッフがPCでCADデーターを設計していた。SmallRig社では新製品の企画が決定すると、約3日でCADデーターを製作し、その後試作品を4日前後で製作するということなので、設計から製品の完成までほぼ6日前後で完成するということである。その後各種製品テストを経て、大体2週間で量産体制に移れるということなので、設計から量産までひと月かからない計算だ。

また、主要カメラメーカー各社と契約を結んでおり、発売前に製品寸法データーを入手できる立場にある。SmallRigの製品製作プロセスの早さの秘密を垣間見れた。

 

また、社内には専属の撮影チームがあり、自社の商品撮影のための撮影スタジオも完備している。カメラもRED EPIC他、数種類を自社所有し、ネットで配信するプロモーション映像をすべて社内で制作していた。

 

一通り社内を案内して頂いたのち、社長の周陽さんにインタビューさせていただいた。

日本の実業家である稲盛和夫の大ファンである周陽社長は年齢35歳、最初はネットでのプロ向けモニターの販売会社からスタートし、数社の会社立ち上げを経験したのちSmallRig社を創業したということだ。創業当時は4名だったスタッフも、今では230人の従業員を抱える企業にまで成長した。

 

2009年、15㎜のカメラ用ロッドとクランプの商品化やSONY α6000用のケージを皮切りに今では700種類もの製品を販売している。

また、SmallRigは特にカスタマーサポートに力を入れており、社内には主要各国の言語に対応したスタッフが常駐し、日本語のサポートも充実している。

Line上では今回案内していただいた邱さんが直接、日本語で対応してくれる。クレームから新商品のリクエストまでほぼリアルタイムで対応してくれるのでとても頼もしい。

このシステムを活用し、たとえ一度量産された製品でもカスタマーのリクエストがあれば改良して販売することもよくあるそうだ。また、同社ならではの特色としてオーダーメイドシステムが充実しており、WebページやLineを通じて一つからでも製品の製作が可能になっている。

SmallRig社の将来的な展望として、電子部品を組み込んだ新シリーズを計画していると言う事なので、今後はリグなどの主要アクセサリーに加え、一歩進んだアクセサリーが発売されるそうなので楽しみである。

また、日本に特化したsmallrig.jpサイトも運営されているので、購入の際は是非参考にするといいだろう。



 

今回、SmallRig本社より、読者プレゼントをいただいた。申し込み方法は、12月20日に発売されるビデオサロン1月号のアンケート&プレゼントページに掲載されているので、そちらをぜひチェックしてほしい。