取材・構成・文=Heatin’ System
ひと昔前と違って、作品のイメージに合う撮影場所を簡単にネットやスマホで探せるようになった。最近、よく名前を耳にするレンタルスペースのサービス・スペースマーケットも、じつは撮影場所さがしに使えるのでは…?スペースマーケットのプロデューサー・中村友哉氏に、映像制作者向けにサービスの基礎知識を教えてもらった。
▲中村友哉 なかむら・ともや
スペースマーケット ゲスト開発推進部プロデューサー。前職のVR映像制作経験を活かし、映像制作目的のゲストが利用しやすくなるための施策も企画・推進している。
「スペースマーケット」とは?
2014年4月にスタートしたスペース時間貸しのプラットフォーム。利用できるスペースのジャンルは、イベント会場、会議室、撮影スタジオ、映画館、住宅…と多岐にわたり、時間貸しプラットフォームサービス業界では日本最大を誇る。
▲スペースマーケットのトップ画面。現在1万件以上のスペースを掲載。
—— スペースマーケットの概要を教えてください。
簡単に言うと“遊休スペース”を貸し借りできるサービスです。いわゆる「シェアリングエコノミー」というビジネスモデルの中に内包されていて、利用できるのに使われていないスペースを有効活用してもらおう、というコンセプトですね。スペースマーケットはウェブとアプリで展開しているんですが、現在、全国で1万件以上のスペースが掲載されていて、スペースを1時間単位で借りることができます。撮影専用のスタジオ、レンタル専用のスペースはもちろん、一般住宅や古民家、珍しいところでは無人島や廃墟まで、あらゆるスペースが借りられるのも特徴です。“ホスト”が管理しているスペースがスペースマーケットに掲載されて、訪れた“ゲスト”がいろんな検索条件で探すことができる仕組みを作っています。
こんな場所もレンタルできる!
※画像をクリックするとロケ地情報にジャンプします
01 無人島
02 バスケットコート
03 鉄道
—— どのような利用者が多いんでしょうか?
層でいうと20代後半〜30代後半が一番多くて、半分以上は個人利用です。ホームパーティ、同窓会、忘年会…などの会場として借りる、というケースですね。映像制作が目的の方でしたら、けっこう予約が入るのはウェブのCM。テレビほど大掛かりなセットや機材を使わず、フットワーク軽く撮影するものが多いです。あと、ホストによっては当日の1時間後でも借りられるスペースもあります。もちろんスペースごとにキャンセルポリシーが違うので、問い合わせていただく必要があるんですけど、撮影の都合上、急な日程変更やスペースの変更・追加にもある程度対応できるのではないかと思います。
—— 撮影スタジオとの違いはなんでしょうか?
“安さ”は大きな特徴ですね。もともと収益が上げられていない時間帯を貸し出すところからスタートしているスペースもあるので、価格は安めに設定されているケースが多いです。ただ、撮影向きに設計されていないスペースの場合は、ヒキで撮る時の広さが足りるのか、電源の系統がどうなっているのか…など、ホストに事前確認する必要があります。実際に人が住んでいるスペースもあって、もし“リアルさ”を求めるのであれば、ハウススタジオよりもスペースマーケットで探したほうがイメージに合う場所が見つかって、安価に撮影を行うことができるかもしれません。掲載されているスペースは、まだ関東に集中しているのですが、ほかのエリアも開拓を進めていて、全国各地に増えてきています。今後は撮影場所の選択肢のひとつとして、もっと認知してもらえるようにしていきたいですね。
条件別 スペースマーケットオススメ撮影スペース!
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◉屋外・ドローン・異世界=フロンティアビレッジ 〈千葉県市原市〉
[ユーザーズVOICE]
家族写真で利用しました! やぎやウサギもいて子どもも大喜びでした! 今度はBBQで利用してみたいです(利用目的:写真撮影)
◉都内・自然光・おしゃれ=Casa Llama 〈東京都三鷹市〉
[ユーザーズVOICE]
大きい窓から自然光が入る(利用目的:ロケ撮影)
インテリアや小物がオシャレで撮影に最適な環境でした(利用目的:ロケ撮影)
◉古民家・雰囲気・家具小物=一般住宅 〈東京都世田谷区〉
[ユーザーズVOICE]
清潔で落ち着いた雰囲気のとても良い家でした(利用目的:ロケ撮影)
雨戸があるので夜のシーンも作りやすい(利用目的:ロケ撮影)
スペースマーケットを実際に使ってみた!
ロックバンド・The Lucky Rabbit’s Jamのミュージックビデオ撮影(監督は映像ディレクターのアフガンRAY)に使用されたプール付きのレンタルスペース「ホームリゾートガーデン」。楽曲「Devil John」のダーティーなイメージに合わせて、マフィアのボスを倒す、というストーリー仕立ての作品。ボスが住んでいる邸宅のイメージ、個人の家に付いている大きすぎないプールがあること、大きな音を出す撮影に寛容なスペース…など、様々な条件を満たした撮影場所を少ない予算で探すことができたそうだ。
南国風のヤシの木や異国情緒が漂うインテリアはもちろん、ガーデンデザイナーが手がけた庭が雰囲気抜群。リゾート感あふれるプールはLEDライトが設置されているので、夜間の撮影にも最適だ。
このスペースに関する詳細はこちら
●ビデオSALON2019年2月号より転載