第3回 列車の走行シーンはどこで撮ったらいいのか?


 鉄道の映像には、風景的なアングルや旅を意識したアングル、季節感を全面に出したアングルなど、いろいろな撮り方がありますが、基本になるのは、迫力ある列車走行映像です。特急列車のスピード感や、ローカル線ののんびりとした感じなど、鉄道映像では必須のパターンです。


◆列車がきれいに見えるポイントを探す
 列車がいっぱいに写るようなタイトなアングルや、少し廻りの風景が入り込むミドルカットなどでは、背景とともに線路近くが草や柱に邪魔されず、きれいに見えているだけで、ずいぶんとすっきりした映像に見えます。
作例1
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作例2
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作例1作例2は秋の米坂線(山形県)で同じ列車を撮影したものですが、作例1はバックが紅葉で、線路廻りの草も少なく列車がすっきり見えます。作例2は列車の台車部分(下まわりと言います)が草で覆われ、バックも電柱や家が乱雑に配置されて、ごちゃごちゃとして見えます。やはり見たときの気持ちよさがだいぶ違います。特に夏や秋には沿線の草が伸びて、気持ちよく列車が見える場所を探す必要が出てきます。
 ポイントに着いて、ここが良いと思ったら、まずレールを見てください。レールを目で追って行くと、きれいにレールが現れている場合と、草などでとぎれとぎれにレールが見えている場所があります。ほんの少しならば問題ないのですが、邪魔に見える場合は、少し線路側へ移動したり、三脚を高くしたり、草の少ないところへメインのアングルを作るなど工夫してできるだけレールがクリアに見えるようにします。工夫ではクリアできない場合は、他のポイントを探すことも考えることになります。
 これ以外にも走行撮影ポイントの定番とも言える場所を挙げてみました。まずは、定番のアングルから、すっきりとして、迫力のある映像を狙ってみてください。
◆鉄橋は撮影ポイントの定番
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 鉄道撮影の定番のひとつが鉄橋です。鉄橋にもいろいろな形があって、列車が半分隠れてしまうような形状のものもありますが、きれいに列車が見える鉄橋が数多くあります。鉄橋そのものも良いアクセントになり、線路に近づかなくても三脚を立てる足場が見つけやすいのもメリットで、鉄橋をチェックすると比較的容易に撮影ポイントを見つけられます。
◆カーブは映像ならではの列車の表情が楽しめる
作例4
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 右カーブのポイントです。特に映像の場合は列車右サイドを見せて登場し、カーブのピークでは列車正面が見え、さらに列車左側面が画面を駈け抜けていきますので、ワンシーンの中で列車の色々な角度が変化する様子を楽しむことができます(北陸本線/福井県)。
作例5
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 S字のカーブを走る特急列車です(室蘭本線のSカーブを走るスーパー北斗)。このカーブでは列車が右に左に向きを変えながら走る姿を撮影することができるので、撮影しやすい環境のSカーブを見つけたら、ぜひ狙ってみたい映像です。
◆直線の場合は背景に見所を配置
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直線を走る特急列車の例です。カーブの映像に比べると、列車が同じ角度で近づいてくるために変化が少なくなります。じっくりと列車を眺めるのに決して悪くはないのですが、背景に山や木を入れて、プラスアルファの見所を配置すると、より見ていて楽しい映像になります。
【今月の作例】

山口県の新山口と島根県の津和野を結んで走る山口線のSLやまぐち号です。長門峡駅を出発した列車は鉄橋を渡り、築堤を走ります。鉄橋も築堤も、邪魔な草などがなくすっきりしていて、SLの走りを楽しんで見ることができました。
【今月のお奨め路線】小湊鉄道、花の駅
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小湊鉄道は千葉県のローカル私鉄です。内房線の五井駅から房総半島の内陸部に向かって敷かれています。この鉄道の特徴は、昔懐かしい色のディーゼルカーが現役で走っていること。そして桜に囲まれた駅が数多くあることです。
 
 写真は上総大久保駅に進入してくる列車です。この他にも里見駅飯給(いたぶ)駅、月崎駅などたくさん桜に囲まれた駅があります。桜の時期は年にもよりますが、東京都心の桜より一週間ほど遅く見頃を迎えます。近年鉄道ファンだけでなく、カメラファンの方も多く撮影に来る場所なので、事故、トラブルのないように譲り合って撮影してください。
【筆者プロフィール】佐々倉 実
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鉄道映像作家。小学生の頃から鉄道写真を始め、大学生の頃、当時鉄道員をしていた今井洋氏と出会って以来、製作活動をともにする。現在は、佐々倉氏が撮影、今井氏が編集を担当し、雑誌やDVDパッケージを中心に鉄道ビデオを製作している。DVDに『魅惑の蒸気機関車 四季SL紀行』、『日本の鉄道 新幹線・特急編/蒸気機関車ローカル線編』などがある。2010年5月に『感動の美景鉄道』(MAXAM)が発売予定。
鉄道写真どっとネット(http://www.tetudousyasin.net)を運営。
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