連載「旅の鉄道ムービー」第8回 秋の鉄道風景を撮る


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▲仙山線 作並~奥新川 秋の短い期間、沿線の山々も美しい彩りになる。

秋は撮影の季節


鉄道沿線にも彩り豊かな秋の風景が広がる季節になりました。列車を中心にした撮影も良いですが、こんな時期には風景を大きく取り込んだ秋の鉄道風景を撮影したくなります。
 列車の通過に揺れるススキ、こうべを垂れた稲穂に彼岸花、柿やリンゴの実、そしてクライマックスの紅葉の風景、どこに撮影に行こうか迷う季節です。今月は紅葉の鉄道風景を撮影するコツをご紹介します。


紅葉の時期と時間帯


 風景撮影で紅葉の名所は比較的高山が多く、北海道の大雪山の9月中旬から始まり10月になると各地から紅葉の便りが聞こえてきます。それに対して鉄道沿線は標高の低いところを走る場所が多くて、遅めの時期になります。北海道では10月中旬頃が見頃で、東北、上信越では10月下旬から11月上旬、中部、中国の山間部で11月中旬、平野では11月下旬くらいになるところが多いです。
紅葉情報のサイトなどで確認するときも、線路に近い、もしくは標高の近い名所を選んで調べてください。
 紅葉の名所と呼ばれるところは、当然山の中が多く、列車が谷底を走るような場所が多いのですが、この季節になると日中の時間が短く、太陽高度も低いので線路に日が差す時間が短くなります。空気が澄んでいるだけに、影の部分は真っ黒に写りせっかくの紅葉も台なしです。周辺の地形と列車の時刻を確認して、短い時間でより効率よく撮影できるように計画したり、薄曇りの日も有効に撮影したいものです。
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▲大糸線 白馬大池~千国
 鉄道風景の秋は沿線のススキから始まる。逆光に輝き、列車の通過で揺れる様子も良い被写体になる。

輝く紅葉を撮る


 鉄道沿線の紅葉は、もみじや楓のようにアップにしても美しい木ばかりでなく、オレンジになるクヌギや黄色のミズナラなど、ちょっと地味な色合いの木が多く見られます。また少し紅葉の時期が過ぎた時など葉に艶が足りないときには逆光気味のアングルに挑戦してみてください。山を見た印象以上に良い仕上がりになることがあります。
 また、紅葉の山の広い風景を撮影する際、私はあまりフォローをせず、フィックスで撮ります。というのもたくさんの細かい色情報のある映像でフォローを開始した瞬間にカメラ側で圧縮が処理しきれなくなって、ブロック状に崩れるのが、どうも好きになれないからです。列車のアップはフォローで撮影し、広めのカットや紅葉のインサートカットなどはフィックスカットを積み上げるような構成を心がけています。

今月のおすすめ路線〜播但線 特急はまかぜ



 かつて数多くあった電化されていない幹線、そこではディーゼル特急列車が数多く活躍していました。その中でも勾配のきつい路線を中心に働いたキハ181系気動車は国鉄時代の車両としてファンの間で人気があります。
しかし今年の11月上旬に最後のキハ181系気動車特急が引退することになりました。この特急はまかぜは大阪駅から播但線を経由して山陰の鳥取駅などへ向かう列車です。
映像は播但線の竹田~和田山の道路のオーバークロスからの撮影です。
廃止間近になると撮影するファンも多くなるので、ゆずりあって安全に最期の姿を記録してください。
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【筆者プロフィール】佐々倉 実
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鉄道映像作家。小学生の頃から鉄道写真を始め、大学生の頃、当時鉄道員をしていた今井洋氏と出会って以来、製作活動をともにする。現在は、佐々倉氏が撮影、今井氏が編集を担当し、雑誌やDVDパッケージを中心に鉄道ビデオを製作している。DVDに『魅惑の蒸気機関車 四季SL紀行』、『日本の鉄道 新幹線・特急編/蒸気機関車ローカル線編』などがある。2010年7月に『感動の美景鉄道』(MAXAM)が発売された。
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