最後はセンサーサイズがモノを言う? SONY RX0 II
Report◎斎賀和彦
DJIの参入でアクションカムが再び熱く盛り上がっています。ソニーはビデオカメララインアップに「アクションカム」を持つこともあって、RX0をアクションカムとは呼んでいません。実際、ソニーや他社のアクションカムと比べると、やや重いし、画角が狭いし、高価なのも事実。その一方で四角いコンパクトで耐衝撃性に優れた10m防水ボディはアクションカム的な運用を想起させます。
今日はRX0 IIをアクションカム的に使ってみた印象をお話ししましょう。
▲10m防水、防塵、2m落下に耐える堅牢性。なまじのアクションカムを超えるタフなカメラ。
前述のようにソニーはRX0 IIをアクションカムには分類していません。RXの型番が示すように、RX0 IIは大型センサーを搭載したソニーの画質追求型コンデジであるRXシリーズの最小・最軽量モデルです。アクションカムとしてはやや大きく重いのですが、コンデジとしては小さく軽い。そしてコンデジの中では大きめの1インチセンサーを持つ、良くも悪くも特殊な立ち位置のカメラです。
スチルカメラとして使ってみると、手に握れてしまうサイズながらシャッターボタンのフィーリング等がしっかりしていて気持ちよく、撮れる写真もRXの名に恥じない画質が素晴らしい。のですが、その一方でシャッター以外の操作はすべて液晶画面表示を見ながら上下左右のボタンでメニューを選択、階層を辿る必要がありカメラを使っている心地良さはありません。撮影前に設定を行い、それでシュートする機材、という印象です。静止画と動画の切換もメニューに入らないとできません。
しかし、アクセサリーとして用意されているシューティンググリップ(18年9月号で取り上げました)を使うとグリップから(写真)シャッター(動画)REC、ズーム操作が可能になります。RX0 IIは反転液晶が搭載されたことも相まって使い勝手が大幅に向上します。もうRX0 IIに標準で同梱すべき。ただ、10m防水を誇るRX0 IIですがグリップからリモートケーブルを繋ぐと(端子やメモリースロットが剥き出しとなるため)防水性が一気にゼロになるのは残念。
GoPro、OSMO Actionといったメジャーなアクションカムと異なり本体に三脚穴があることも◯。そのため汎用のカメラアクセサリーが応用でき、今回の試用中、肩や鞄にマウントしたりフリクションアームに付けてベランダ手すりに付けたりと専用アクセサリーなしに様々な使い方ができました。
▲アクセサリー:シューティンググリップはレリーズ、REC、ズーム操作を行えるグリップであると同時にテーブル三脚にもなる優れたアイテム。
坑道を走るトロッコで肩にマウントした状態では(RX0 IIから搭載された)手ブレ補正(電子式)によって画角がさらに狭くなるものの、かなり実用レベルのブレ抑制ができていたと思いますし、他のアクションカムにはない1インチセンサーのおかげで暗所画質がとても良好なのは大きなポイントです。ブレの補正や画角など評価ポイントは複数ありますが、アクションカムだから画質は二の次という時代はもう終わっていると思うのです。
RX系のアドバンテージにスーパースローモーション機能があります。一眼上位機種でもFHD/120pですが、RX0 IIはFHD/240p、HD/480pが可能。しかも防水、防塵、堅牢なボディですから、従来挑戦しづらかったシチュエーションでのハイスピード撮影が可能になります。さらに専用のスマートフォンアプリで設定、ライブビューを見ながらレリーズ操作できるのでカメラポジションの自由度も大きいのが特徴です。
▲単体で、あるいは汎用のカメラ用品を使って様々な利用範囲の拡大が行える。
HFR撮影を1インチセンサーの画質でリモート撮影できるヘビーデューティなカメラ、と書くとRX0 IIが他に類のないポジションにあるカメラだということが分かると思います。
そして冒頭に述べたようにRXシリーズの1台なので写真/動画撮影のための機能も充実しています。例えば瞳AFやサイレントシャッター、4K動画の内部収録。タイムラプス用のインターバル撮影機能も搭載しています。バッテリーが小さいためCIPA基準では約240枚の撮影枚数ですが、RX0 IIはUSBからの充電/給電をともにサポートするので、市販のモバイルバッテリーを使えば長時間のタイムラプス撮影も可能です。ただし、USB給電時には防水機能が失われるため雨天での使用は厳しいのが惜しい部分。
また今回試していないものの、複数台をワイヤレスでコントロールしたり信頼性の高い有線によるカメラコントロールなどの業務使用を想定した機能やLog撮影、タイムコード埋め込みもサポートするなど、プロ向けの仕様も充実しています。
アクションカム的に使っても、1ランク上の写真や動画を得られる。やはりカメラはセンサーの力が大きいんだなあと、改めて実感させられる1台でした。
▲スマートフォンアプリから無線LANを介して各種のコントロールが可能。
▲タイムラプス用インターバル撮影の1コマ。1インチセンサーならではの余裕ある画質はRXならでは。
◉作例
●ビデオSALON2019年7月号より転載