地方×映像クリエイター図鑑 〜山田裕一郎さん:北海道恵庭市〜地方にいながらシンプルな機材で最高のものを目指す 住んでいるところは関係ないことを見せつけたい


地方にいながらシンプルな機材で最高のものを目指す
住んでいるところは関係ないことを見せつけたい

取材・文/編集部 一柳

 


山田裕一郎さん https://yamada-artfilms.com/

 

 

山田さんの作品

FULL SWING


https://bit.ly/yamada_1

車いすで生活をする子どもたちがスポーツを楽しめるクラブが北海道にある。3年目の今年は、初めて親と離れ、子どもたちだけで東京遠征へ。最年少で参加するのは小学5年生の勇樹くん。彼の心は楽しみとお母さんと離れることへの不安でいっぱいだった。

 

 

『馬搬日和』

https://bit.ly/yamada_2

「馬搬」とは、馬の力を利用して、山中で伐採した木を運び出す作業。かつては日本全国で行われていたが、トラクターやブルドーザーなど大型機械が使われるようになり、その姿は消えていった。なぜ今、馬搬で起業することを決心したのだろうか。

 

 

『Happy Ainu』

https://bit.ly/yamada_3

北海道の先住民族であるアイヌ。アイヌ語は今、消滅の危機にさらされている。母語として話す人は一人もいない。そんななか、YouTubeを使ってアイヌ語講座を発信するひとりの大学生がいる。アイヌの娘とアイヌじゃない父、ふたりのアイヌ語復興への確執と葛藤を描く。

 

 

 

映画と英語で人生変える?

日本の大学を卒業した後に24歳でニューヨーク州立大学ビンガムトン校に編入、2年間映像を学んだ山田裕一郎さん。日本に帰って1年くらい商業映画現場にもぐりこめる機会があったが仕事に繋がらず、再びアメリカの大学院へ。ダンスの撮影と映像が楽しくなり、ニューヨークで就職しようとしたら、「ここは映像関係者があまりに多いからカンザスくらいに行ったほうがいいよ」とアドバイスされたという。考えてみると、自分が育った北海道の恵庭市は東京に対してカンザスのようなところ。結局は恵庭に戻ってきた。

「日本に帰ってきた時、東京の映像制作会社に入ることが夢を叶えることのように思ったんですけど、自分がアメリカで学んできたこととか自分の個性が他より面白いと思うんだったら、自分で道を切り開けばいいんじゃないかと友人に言われたんです。というか、それしか選択肢がなかった」

 

自分が本当に目指すものは

地元の仕事で近くの専門学校の2分くらいの尺の広報動画を大量に作った。その当時、東日本大震災後に『二本松を知ること』という短編ドキュメンタリーを制作。地元で上映会をしようとしていたら札幌国際短編映画祭から映画を見せてほしいという連絡が。その作品が認められて2012年の映画祭で上映することになる。

しかし、その後はしばらくは生活のために広報動画を作り続ける。転機は2016年に子供が生まれるタイミングだった。自分が本当に目指すものは何かと改めて考えるようになる。自分が父親になるにあたってどういう人間でいたいのか、思いを整理するうちに、再び作品を作り始めた。

 

映画祭、Yahoo! との出会い

久しぶりに出品した2018年の映画祭、Yahoo! クリエイターズが全国でドキュメンタリー作家を探していたタイミングで担当者に紹介される。今、山田さんはYahoo! クリエイターズを代表するフィルムメーカーとして活躍する。

「札幌国際短編映画祭とYahoo! クリエイターズプログラムは僕にとって宝物みたいな感じです。地方でやっていて、映像作る理由ってそんなにないんですよね。需要があるわけでもないし。でも映画祭があることで映像を作れる。札幌に映画祭がなければ違う仕事をしていたかもしれません。Yahoo!クリエイターズの10分という枠は短い時間でこういう作家がいるということを伝えられて最適。サポートを受けながら映像を作れて、しかも、わりと自由な発想で作っていい。こういう環境があることが自分にとってすごく追い風になっています」

現在は、学校で映像制作を教えながら、映像の仕事もし、かつ自分の作品も優先できるという理想的な状態になってきた。

山田さんの制作スタイルは機材にしてもシンプルで無理をしていないのがいい。ひとりでできる範囲で考える。撮影テーマも場所とアクセスがあるかどうか、そして信頼関係が築けるかどうかを大切にしている。

「でも、地方にいながら最高のものを作りたいって思っているんです。住んでるところは関係ないよというのを見せつけたいですね」

 

札幌国際短編映画祭にて

山田さんにとって重要な転機だったのが札幌国際短編映画祭。震災後の2012 年に『二本松を知ること』を上映して以来の関係。その後通訳として映画祭を手伝うこともあったが、再び自分の作品を作り始め、最近は連続してフィルムメーカーとして登壇している(2022年の同映画祭より)。

 

 

制作機材と編集環境


▲機材は極力シンプルにという主義。ソニーのα7S IIIにタムロンのズームレンズ、DJIのジンバルというのが標準スタイル。RODEのガンマイクも載せてはいるが、インタビューなど声を録る場合は右の写真で紹介しているラベリアマイクを利用している。

インタビューなどはラベリマイクを見えないように仕込み、タスカムやズームのレコーダーで別録りすることが多い。

自宅で編集しているが、シンプルな編集デスク周り。編集をしているとお子さんが呼びにくるというアットホームな環境。

 

主な機材リスト

 

 

VIDEO SALON 2022年12月号より転載

vsw