初心者のためのマイクロドローン導入への道 〜第7回 バッテリーの充電で気をつけなければいけないこと


「人に近づいて撮れる」「狭い空間を通り抜けられる」これまでの空撮ドローンでは難しかった映像表現が可能なマイクロドローンが注目されている。この連載では初心者が導入にあたってつまづきそうなポイントを中心に解説していく。

 

文●青山祐介/構成●編集部

講師●田川哲也ドローンにも使われている、アイペックスコネクターの設計を本職とするドローンエンジニア。まだドローンを「マルチコプター」と呼んでいた6年ほど前から、空撮用ドローンを製作し始める。2014 年からレーシングドローンの製作も手掛ける。Facebookグループ「 U199 ドローンクラブ」の発起人、管理人。2016 年 ドバイ国際大会日本代表チーム エンジニア。現在 DMM RAIDEN RACING チーム エンジニア。

 

リポバッテリーには単セルのものと2セル(7.4V)、3セル(11 .1V)のように複数のセルを組み合わせたものがあります。例えばBETAFPVのエントリー機は1セル、HD・4Kモデルになると2セル〜4セルのバッテリーを使います。

この時に注意が必要なのが複数のセルを組み合わせたものです。2セル以上のバッテリーは、セルの電圧が揃っていることが重要で、セル間の電圧が揃っていないと、電圧の高いセルから電圧の低いセルに電気が流れ、使用時間が短くなったり、逆に過充電といったトラブルにつながります。そのため、セル間の電圧はなるべく揃える必要があるのです。

そこで2セル以上のリポバッテリーには充放電用コネクタとは別に「バランスコネクタ」が付いています。このコネクタを充電器に接続することで、セルごとの電圧を管理しながら充電することができます。充電の際にはこのコネクタを接続して、「バランス充電」モードで充電するようにしましょう。

セル間の電圧は、充電器やリポチェッカーのバランスチェック機能などで測って、必要あれば揃え直すことができます。もしバランスが取れないようであれば、バッテリーの寿命と考えましょう。また電圧のばらつきはとても繊細で、バランスボードのコネクタ部の接触不良でバランスが崩れる場合もあります。

 

充電電流は1Cが基本 2C以上は劣化を速める

もうひとつリポバッテリーの充電で気をつけなければならないのが充電電流です。リポバッテリーは1Cで充電するのが基本。ただし充電器の充電電流は一般的にアンペア(A)表記となっています。1Cはバッテリーの公称容量と同じなので、容量450mAhのバッテリーであれば充電電流を450mAに設定して充電しましよう。

なお、リポバッテリーに最も負担となるのは充電の時です。そのため、一般的には充電電流はなるべく小さいにこしたことはありません。レースの合間には2C、時として3Cで充電することもありますが、バッテリーに負荷が掛かり、劣化を早めることがあります。このあたりは時間短縮と寿命が縮むのを天秤にかけて判断してください。

 

パラレルボードは取り扱いに注意

バッテリーを複数充電するときには、同時に複数のバッテリーが充電できるマルチチャージャーがあると便利です。ただし、このタイプの充電器は高価な製品が多いです。そこで、バッテリー1本だけが充電できる充電器をタコ足配線のように分配できる「パラレルボード」を接続して複数のバッテリーを同時に充電するという方法もあり、それを使うユーザーもいます。

ただし、このパラレルボードを使う場合、必ず同じセル数、同じ容量のバッテリーで充電するようにしましょう。間違って容量の違うバッテリーを充電してしまうと、一瞬で過充電となり、発火の恐れがあります。パラレルボードの取り扱いには充分注意しましょう。

 

 

2セル以上のバッテリーは各セルの電圧を揃えて充電する「バランス充電」が基本

2セル以上のバッテリーにはバランスコネクタが備えられている

1セルのバッテリーは充放電用のコネクタのみだが、2セル以上のバッテリーにはそれに加えて、バランスコネクタというものが備え付けられている。前号でも説明した通り、リポバッテリーでは複数のセルを組み合わせることで大容量を実現している。各セル同士は直列で接続されており、電圧を揃えるためのバランスコネクタも各セルと直結されている。

 

セルの電圧を揃える理由

チャージャーは指定した量の電流を流して充電を行う。各セルの電圧が同じになるように充電していくのが「バランス充電」。バッテリーの充電時間を短縮するために急速充電するモードもあるが、セルの電圧が偏り、それによって過充電を起こすセルも出てくる。バッテリー損傷のリスクがあるため、基本的にはバランス充電で充電することが望ましい。

 

主なバッテリーチャージャー

1セル専用と2セル以上のバッテリーでチャージャーが異なる

BETAFPV
1s Lipo LiHVCharger Board 18.99ドル
▲BETAFPV純正のバッテリーチャージャー。1セルバッテリーを使用するマイクロドローンで主流となっているJST PHコネクタのリポバッテリーを充電できる。アダプターは別売。

 

ハイテック
X4 AC PLUS 300 36,800円

▲2セル以上のバッテリーを同時に4本充電できるチャージャー。バランスボードは4つ付属するが、XT30の充電ケーブルは別売となっている。

 

X4 AC PLUS 300でのバランス充電の手順(2セルのバッテリーの場合)

①充電に必要な各種ケーブル
バッテリー、バランスボード(付属品)、XT30の充電ケーブル(別売・アマゾンやラジコンショップで購入できる)を用意。

 

②バランスコネクタを接続

バランスボードをチャージャーに接続し、バッテリー側のバランスコネクタはバランスボードの2セルのコネクタに指す。

 

③充電ケーブルを接続


バッテリーの充電用コネクタをXT30のケーブルに接続し、チャージャーと接続(+と−を正しく接続する)。

 

④チャージャーの電源を入れる

AC電源と接続し、背面のスイッチをONに。その後、「ENTER/Start」ボタンを押す。「+」「−」ボタンでバッテリーをつないだポートを選び、再び「ENTER/Start」ボタンを押す。

 

⑤メニュー画面で設定して、充電を開始


はじめにメニュー画面で、「+」「−」ボタンを押してバッテリーの種類(LiPo BATT)を選択。次に充電方法(バランス充電)を選択。「ENTER/Start」ボタン一度押して、電流値を設定する(450mAhのバッテリーなので、1Cで充電するために0.45Aに設定したいところだが、0.05A刻みで設定できないので0.5Aにした)。もう一度ENTERボタンを押して、セル数を設定(ここでは2S)。内容を確認して間違いなければをENTERボタンを長押し。すると充電が開始される。

 

Cについての考え方

C(シー)とはなにか?

Cとはバッテリーの充放電能力を指す。1Cはバッテリーを1時間で使い切る、もしくは1時間で満充電にする電流値。容量が450mAhのバッテリーならば、1Cが450mA、2Cが900mA、3Cが1350mAになる。

 

充電は基本的に1Cで行う

バッテリーの充電は1Cの電流値で充電するのが基本だが、急いで充電したい場合には2Cで充電することもある。1Cで充電すると充電時間は1時間。倍の2Cで充電すると30分で充電できる。Cの値はチャージャーでは設定できないので、充電するバッテリーの容量(mAh)に合わせて、充電の際の電流値を手動で設定する必要がある。

 

「●C/●C」の表記の意味は?

バッテリーに記載されている「80C/160C」の表記は通常の放電レートと瞬間的な最大放電のレートを表したもの。450mAhの容量のバッテリーを80Cで放電すると、36,000 mA(36A)の電流値。

 

Cの数値は高いほうが有利?

Cのレートが高いほど、瞬発力が出るバッテリーであり、マイクロドローンのようにプロペラに充分な揚力がない場合には放電レートは高いほうが有利だと言える。だが、その分燃費は悪くなる。Cレートが低いバッテリーでは、スロットルを上げても、モーターの回転を瞬時に上げきれずに下降が止まらず墜落してしまうこともある。Cの数値はバッテリー容量も照らし合わせて考慮する必要がある。例えば、350mAhの容量で60Cであれば電流値は21A。800m Ahで35Cでは28Aとなり、Cの低い800mAhのバッテリーのほうが、一度に流せる電流値は大きくなる。

 

放電について

使いきれなかったバッテリーは放電しよう

充電して使いきれなかったリポバッテリーは、チャージャーで放電しておく。長期保管する場合は1セルあたり3.8V(2セルの場合は7.6V:容量の目安は50%)の電圧まで下げて保管するのが望ましいとされている。

バッテリーウォーマー

寒いとバッテリーの性能が発揮できない

冬や寒冷地等では大きな電流を流すと電圧が極端に下がる傾向がある。最悪の場合、墜落の原因にもなるため、バッテリーウォーマーで温めてから使うとよい。バッテリーが性能を発揮できる温度は5℃〜40℃と言われている。写真はハイテックD-01(3,900円)。USB電源で使用でき、保管用のセーフティーバッグとしても使える。

 

ビデオSALON2019年8月号より転載