初心者のためのマイクロドローン導入への道 〜第12回 万が一に備えてフェイルセーフをしっかり設定しよう


「人に近づいて撮れる」「狭い空間を通り抜けられる」これまでの空撮ドローンでは難しかった映像表現が可能なマイクロドローンが注目されている。この連載では初心者が導入にあたってつまづきそうなポイントを中心に解説していく。

 

文●青山祐介/構成●編集部

講師●田川哲也ドローンにも使われている、アイペックスコネクターの設計を本職とするドローンエンジニア。まだドローンを「マルチコプター」と呼んでいた6年ほど前から、空撮用ドローンを製作し始める。2014 年からレーシングドローンの製作も手掛ける。Facebookグループ「 U199 ドローンクラブ」の発起人、管理人。2016 年 ドバイ国際大会日本代表チーム エンジニア。現在 DMM RAIDEN RACING チーム エンジニア。

 

 

フェイルセーフ設定の手順を動画で見る

田川さんが作ってくれたフェイルセーフ設定手順の解説動画。

 

 

そもそもフェイルセーフってなに?

プロポと機体を結ぶ電波が途絶した際に、操縦不能になって飛んで行ってしまわないようにする安全装置(機能)が「フェイルセーフ」。DJIのドローンなどでは、GPSの位置情報をもとに離陸地点まで戻ってくるRTH(リターン・トゥ・ホーム)が使える。GPSがないマイクロドローンは自動帰還機能が使えないため、プロペラを止めて落とすのが原則だ。

 

イクロドローンを楽しむみなさんが、意外と設定を忘れがちなのが「フェイルセーフ」です。これはプロポの電波が極端に弱くなったり、途絶えてしまった時に、制御を失ってどこかに飛んで行ってしまわないようにするための機能です。

一般的にマイクロドローンでは、フェイルセーフが働くと「モーターを止める=墜落させる」という設定にしておきます。世界的なドローンレースでも「フェイルセーフが働いたら3秒以内にモーターを停止させる」というルールが一般的です。

 

フェイルセーフは BETAFLIGHTで設定する

さて、このフェイルセーフの設定ですが、機体の各種設定を行うソフト「BETAFLIGHT」の「フェイルセーフ」のページで行います。設定は大きく分けて2段階。まず、「ステージ1(第1段階)」で“フェイルセーフが働いたらどうするか”を設定します。基本はすべて「Auto」で、フェイルセーフ作動でスロットルは最小、それ以外はニュートラルになるため、機体は推力を失ってその場に墜落します。

ただし、高価な機体などで墜落させたくない人は、ステージ2の「起動時保護時間」を3〜5秒くらいに設定して、ステージ1のスロットルの値をホバリングする程度にしておくと、設定した秒数の間に自分が機体に近づくなどして、電波状態を回復させることができれば、墜落させずにコントロールを取り戻すことが可能です。

こうしたフェイルセーフの設定は、原則としてBETAFLIGHTで行うのですが、一部BETA 85Xのようにソフトでは設定ができないものがあります。その場合は、プロポのフェイルセーフの機能を使って、“フェイルセーフが作動したらディスアームする”という設定をしておきましょう。設定はフェイルセーフにアーム・ディスアームのチャンネルを割り当て、作動時にディスアームの値になるように設定します。

マイクロドローンは室内で楽しむことが多いためか、フェイルセーフを気にかけない人が多いようです。ただし、85Xクラスになると外で飛ばしたくなるもの。そんなときに、うっかり電波が途絶してフライアウェイさせてしまわないように、あらかじめフェイルセーフを設定しておくようにしましょう。

 

フェイルセーフがBETAFLIGHTで設定するのが一般的

BETAFLIGHTを起動して、右上にある「Expertモード有効」をONにすると「フェイルセーフ」のタブが選択できる。画面左半分のステージ1(第1段階)で、“フェイルセーフが作動したら何をさせるか”を決め、右半分のステージ2(第2段階)ではステージ1の次の動作を決める。原則としてステージ1でロール、ピッチ、ヨー、スロットルのすべてをAutoにしておけば、スロットルが最少になってその場に落下する。

 

ステージ1の項目は、上のように設定。パルスとはプロポからの操縦電波(パルス信号)のことで、数値は強弱を表す。スティックの入力値「Roll」「Pitch」「Yaw」は「Auto」でパルスの値が1500となり、各スティックが中央になっている状態を意味する。「Throttle」は「Auto」では、パルスの値が範囲最小値885となり、スティックが一番下に下がった状態を意味する。この設定では電波遮断でフェイルセーフのステージ1が発動すると、機体はその場に墜落する(プロペラは停止しない)。

 

ステージ1発動後、ステージ2を起動させるのだが、その起動時間を決めるのが、ステージ2の「設定」にある「信号損失後のステージ2 起動時保護時間」。単位が0.1秒なので10と入れれば1秒後にステージ2が起動される(3だと0.3秒)。「フェイルセーフ手順」は落下に設定しておく。こうすることで、ステージ2が起動されると、プロペラが止まる。

 

「Throttle」を「Hold」にすると、電波遮断が起きる直前のパルス値が記録される。そのため、機体が上昇中であれば、上昇し続けることになるため、こうした設定は避けたい。

 

「Throttle」を「Set」にして、任意のパルス値を設定することもできる。例えば、ホバリングするレベルの値にすると、「Angle」、「Horizon」モードでは、ふわふわと空中を漂わせることも原理的には可能。広い安全な場所での検証をおすすめする。

 

フェイルセーフが設定されているか確認する方法

プロポの電源を入れて、ドローンにもバッテリーをつないで電源をONにする。次に、ARM(モーターを起動すること)を割り当てたスイッチをONにするとドローンのプロペラが回り始める。このままプロポの電源をOFFにしてみても、プロペラは回り続けている。この状態だとフェイルセーフが設定できておらず、電波が遮断した際にもプロペラが回り続け、ドローンがどこかに飛んでいってしまう。

 

RSSI表示

▲RSSIとは「Received Signal Strength Indica tor」の略で、信号強度のこと。DJIの機体ではアプリ上で信号強度を確認できる。

▲双葉の受信機は従来RSSI表示ができなかったが、昨年発売されたマイクロドローンにも搭載可能なR2000SBMはRSSI表示が可能。この受信機を使い、BETAFLIGHTでOSD(画面表示)の設定を行うことで、信号強度を確認できる。

 

 

フェイルセーフの設定方法(フタバT18SZの場合)

①プロポの電源を入れて、「リンゲージメニュー」をタップ。

 

②「フェイルセーフ」を選ぶ。

 

③筆者は5CHにARM、DISARM(モーターを止めること)を割り当てているので、5CHの「ホールド」を押す。

 

④上の画面が表示されるので「はい」を選択。

 

⑤すると、「F/S(フェイルセーフ)」に変更される。「F/S」の数値を見ると、「+115」となっている。これはスイッチをARMの状態にしたときのポジションを表したもの。

 

⑥ここでプロポに割り当てたARMのスイッチをDISARMに切り替えて、プロペラを止める。

 

⑦「+115」をタップすると、上の画面が現れるので、「はい」を選択。

 

⑧数値が「-124」の値に変更され、DISARM時のスイッチのポジションを記録することができた。これでフェイルセーフの設定は完了。

 

 

 

 

 

VIDEOSALON 2020年4月号より転載