【NEW AGE CREATORS vol.02】Haる 〜イラストレーターが映像を手掛ける強みとは〜

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“二刀流なら、イラストの見せたい部分を”
自分でディレクションできる

この2年でイラストと映像の二刀流を確立したHaるさん。イラストレーターが映像を手掛ける強みとは?

取材●編集部 片柳/文●村松美紀

PROFILE
イラストレーター兼映像作家。「ILLUSTRATION2020」掲載作家。ボールペン画からデジタルツールでの制作活動へと幅を広げたことを皮切りに「Haる」と名乗り本格始動。2020年に株式会社Haる設立。

 

Haる’s PROJECT introduction

イラストから映像まで手掛け、どこを切り取っても一枚絵になる映像を目指す

『アイスドロップ feat. 初音ミク / aqu3ra』

セガ×Colorful Paletteが手掛けるスマホゲーム「プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク」内に登場するユニット「MORE MORE JUMP!」の楽曲『アイスドロップ』。そのボーカロイドVerのMVをHaるさんが手掛けた。海に背中から飛び込むシーンは特にこだわり、サムネ級の1カットを狙って作成。今年8月13日にYouTube公開から1周年のアニバサリーを迎えたばかり。再生回数は約180万回(2022年8月現在)。

 

オファーから完成までは1カ月ほど。海の中で過去の自分と向き合うMVをテーマに、イラストや映像、構成から絵コンテまで、一連の作業をプロデュースしました。絵コンテ作成に最も力を入れています。ここが固まってることで、のちの作業が迷子にならずに済みます。イラストは15〜20カットを2週間ほどで作成。色は青の濃淡で仕上げています。色を塗りかさねず、スポイト機能で一色一色置いていくイメージで描きました。映像の編集は1週間ほどで、漫画を読んでいるかのような演出やトランジションを意識しています。

海を深層心理的なメタファーとして捉え、トラウマを乗り越えるようなストーリーに。1コーラス作成してクライアントにチェックしてもらい、方向性を確認しながら進行しました。

 

初制作のMV『シュガリィ・エピローグ / 西憂花』

女性作家だと思われるほど優しいタッチで描く一方で、枠から飛び出す躍動感ある表現からは力強さを感じる。「普通は枠に納めるところをあえて納めないなど、違和感を感じるイラストを描きたい。天邪鬼なところがあるんです」と語る。

 

 

◆Haるとはどんなクリエイター?

Haるさんは、異色の経歴を持つクリエイターだ。高校卒業後に製菓学校に通い、パティシエとして実家のケーキ屋で働く。イラストは趣味として、描いてはSNSに投稿していた。ある日、自身のTwitterに投稿したイラストが初めてバズった。趣味で描いたヨルシカの『爆弾魔』のファンアートが多くの人に受け入れられたこの出来事は「この経験がなかったらイラストを描き続けてなかった」と語るほど印象的で、これを契機にイラストの仕事が舞い込むようになった。

Haるさんのイラストの特徴は、色。MV制作では、印象に残る1カットを生み出すために、作曲者と相談して楽曲ごとにイメージカラーを設定。「日常から外れている色を選び、イラストの中でしかできないことを表現。非現実的な世界を自分でも見てみたい」という好奇心を映像に込める。「よくケーキにしたらおいしそうな色味と言われます(笑)」とHaるさん。異色の経歴が、彼ならではの味付けをしている。

そして自分で映像まで作れたら、伝えたいことをより伝えられると思い、2019年から映像制作をネットで学ぶ。無料ソフト「AviUtl」を使って、歌詞を表示させるモーションから覚えた。2020年、最初のMV作品からいきなり再生回数が伸び、翌年はさらに実力をつけるべく、MVを作る仕事を自ら掴み取り、実践を通して映像制作を学んだ。2作目が誕生した頃にはパティシエを辞め、イラストレーター兼映像作家として独立した。

自らイラストと映像を手がける強みは「イラストの見せたい部分を、自分でディレクションできること」だと話すHaるさん。さらに映像編集の過程で、イラストにアレンジを加えられることも強みだそうだ。

Haるさんは現在、ゲームクリエイターと手を組み、漫画的な動画を作るべく、アニメーションも勉強中。新たなスキルを積極的にトッピングすることで、表現力を高めている。

 

 

主な機材・ツール

 

 

●VIDEO SALON2022年10月号より転載