斎賀教授のアフターファイブ研究室 〜 EOSのサブシステムのような使い勝手の良さが光るキヤノンPowerShot G7X III


EOSのサブシステムのような使い勝手の良さが光るキヤノンPowerShot G7X III

Report◎斎賀和彦

 

先月号で書いたようにスマホによってコンデジは絶滅危惧種と言われるほど減っています。そんな中、スマホとは違うカメラの力を追求する製品がいくつかあります。ソニーのRX系やキヤノンのGシリーズがそうです。共通するのは1型以上のセンサーを搭載する高画質志向であること。今回、紹介するキヤノンのPowerShot G7X Mark IIIは基本に忠実に画質を磨くとともに、スマホとの差別化を強調するような機能が特徴です。そしてGシリーズの中で最も動画機能が充実した1台になっています。

▲1型センサーに24-100mm相当の明るいレンズを搭載して304g。EOS Rに24-105mmであれば1360gなので1kg以上軽い計算になる。

 

例えば4K動画撮影。Gシリーズは今回から4K撮影に対応したのですが、4K撮影時にフル画角、つまりFHD撮影時と画角が変わらないのです。EOSでは4K撮影はピクセル等倍によるクロップで画角がかなり狭くなるのですから、G7X3は(特に広角域において)大きなアドバンテージを持ちます。

その4K動画からカメラ内で1コマを選んで4K解像度の静止画切り出しもできるため、Bluetoothによるスマホとの常時接続を介したSNSシェアが非常にスムーズなのもいまの時代にマッチしていると感じます。

▲4K動画から切りだした静止画。EOSと異なり4K動画撮影時にクロップされないのは大きなアドバンテージ。24mmのワイドが24mmとして使える嬉しい仕様。

 

4Kは30pですがFHDは120P、え? と思ったEOSユーザーも多いかも知れません。そう、EOSでも120pハイフレームレート動画は可能ですが、EOS 5D Mark IVやEOS Rで120p/HD(1280×720)、EOS-1D X Mark IIでやっと120p/FHD(1920×1080)なのですから新開発の1型積層型センサーとDIGIC8の実力がうかがえます。

と、実はここまではG7X3だけでなく同時発売のG5X2も同じ仕様。G5X2の方がちょっと高いですが、24-120mm5倍ズーム(G7X3は24-100mm4.2倍)なのでG5に惹かれるひとも多いと思いますが、ここからがG7X3のみの特徴。

G7X3は単体でのYouTubeライブ配信機能を持っているのです。もちろんWi-Fiが飛んでいることが前提ですが、それが満たせれば、パソコンもスマホも不要でG7X3だけでリアルタイム配信が可能です。

なぜ唐突にYouTubeライブ? とも思いますが、別にユーチューバー向けという訳ではなく、イベントや留守番ペットの様子確認など応用範囲は広そう(家族だけ見ることが出来るなどの公開範囲設定も可能)です。この言わばストリーミング撮影時にはメモリーカードに記録はされず、FHD/30pがYouTubeに配信されるだけ(でもメモリーカードが入っていないとダメなのはなぜでしょう? )ですが、YouTubeライブはアーカイブされるし、G7X3はUSB-Cから給電対応なので長時間撮影ができることになりますね。(メーカー保証外ですが、モバイルバッテリーからの給電動作も可能でした)。

▲PCもスマホもなしに単体でYouTubeライブ配信ができる。USB-Cによる外部給電とあわせ強力なストリーミング機材になった。

 

さらにG7X3は外部マイク端子を持ち、反転できるチルト液晶モニター内にRECボタンを配置、動画セルフタイマー機能も搭載するなど、Gシリーズ屈指の動画に強いカメラに仕上がっているのが大きな特徴です。

そしてスマホ時代になって増えたのが縦位置動画ですが、G7X3を縦位置にして動画を撮ると、なんと縦位置情報がファイルに埋め込まれ、スマホに転送した場合も自動的に縦位置再生されます。インスタグラムやフェイスブックのストーリー動画は縦位置ですので、かなり便利な機能です。キヤノンはスマホと対立するのではなく連動性を高めて共存を模索しているようにも思います。

動画中心に試してみましたが、静止画撮影でも意欲的な作りです。スマホのセンサーが極小ゆえ暗所に弱くボケ味もない(ソフト的にぼかす機能はありますね)こととの差別化か、1型でF1.8〜F2.8の明るいレンズに虹彩絞りと、光学メーカーらしい基本に忠実なアプローチ。

▲スマホに比べ大きなセンサーと明るいレンズでボケをいかした写真表現が可能。

 

さらにRAWバーストモードで秒30コマのRAW画像撮影(AF追随では8.3コマ/秒)にプリ撮影機能も加え「カメラ」の操作感を実感させてくれました。

▲秒30コマを実現するRAWバーストモードはあとから最高の一瞬を選べるモード。

 

そして、ここにメリットを感じるのはEOSユーザーに限定されてしまうかも知れませんが、メニューのユーザーインターフェイスがまさにEOSそのまま。EOSユーザーならほとんど戸惑うことなくすべての設定操作が可能になると思います。さらにマイメニューを作成できるのもEOS譲り。

コンデジと一眼を併用するとき、メーカーを揃える意味は多くないと思っていましたが、操作感が共通し、ピクチャースタイルも同じゆえに色作りの傾向も同じで統一感のある画になるなど、これはEOSのサブシステムとして優れものだなぁと実感しました。

▲EOSとほとんど同じメニュー構成はユーザーならほとんど瞬時に理解し、使いこなせる。

 

ビデオSALON2019年9月号より転載

vsw