航空カメラマン・野口克也の 前略、空からお邪魔します vol.26「本格的な空撮をサポートするコントローラー・CENDENCE 編」


vol.26「本格的な空撮をサポートするコントローラー・CENDENCE 編」
文●野口克也(HEXaMedia)

東京都生まれ。空撮専門会社「株式会社ヘキサメディア」代表。柴田三雄氏への師事の後、ヘリコプター、モーターパラグライダー、無線操縦の小型ヘリなど、空 撮に関わるすべての写真、映像を区別なく撮影。テレビ東京系地上波『空から日本を見てみよう」、BS JAPAN『空から日本を見てみようPlus』などTV番組やCM等の空撮を多数手がける。写真集に夜景の空撮写真集「発光都市TOKYO」(三才ブックス)など。http://www.hexamedia.co.jp/

※この連載はビデオSALON 2018年3月号に掲載した内容を転載しています。

 

▲ 高輝度モニター・CrystalSky を装着した高機能コントローラー・CENDENCE と INSPIRE 2。

 

多彩な用途と拡張性を備えたコントローラー

NAB2017 で発表され、昨年末にようやく購入できるようになったコントローラー・CENDENCE(センデンス)。この製品は産業用ドローンの Matrice 210には標準装備されており、他の機種では別売のオプションになります。様々な機能があり、とても全部はここに書ききれないのですが、本誌読者が気になりそうな機能や特徴をピックアップしていきたいと思います。

PhantomやInspireなどに付属するコントローラーは中身はかなり違うものの汎用性と共通化を考えて同じような筐体、操作フィーリングになるように設計されていました。しかし、空撮以外にも様々な用途でドローンが使われるようになってきたことで拡張性と確実性を求めるニーズが高まり、CENDENCEのようなコントローラーが登場したのです。中でも特筆すべきは、着脱式アンテナ、着脱式バッテリー、拡張ポートや端子の豊富さ、堅牢性などです。

 

 

電波到達距離を延ばせる、パネルアンテナに交換できる

通常のホイップアンテナから付け替えて、パネルアンテナが装着できるようになっています(この記事執筆時点では同梱されています)。

ホイップアンテナは汎用性が高いため、広い用途の運用をカバーしますが、電波の飛距離はあまり伸びません。パネルアンテナは機体がある程度限定された方向に飛んでいる時にその方向のゲインを上げ、電波の到達距離を増せます。

ただし、このパネルの角度は繊細な調整が必要でパネルを向けている方向がズレていると、電波が切断したり、アンテナと機体の間を障害物が横切ったりしても、容易に接続が切れることが多いので要注意です。また、さらに今後、GPSトラックアンテナ(発表がありましたが未発売)などさらにゲインの高いアンテナオプションが接続できるようになると思われます。

 

着脱式の予備バッテリーで電池切れに対応できる

これまでのDJIコントローラーのバッテリーは内蔵の充電式のものでした。バッテリーの保ち自体は悪くなかったのですが、電池を使い切ってしまった時や、そもそもバッテリーが充電されていない場合、現場で充電されるのを待つ必要がありました。

これが着脱式バッテリーとなることで、予備バッテリーを用意しておけば、瞬時にフル充電された状態で使用できるので、現場で重宝します。また、セットで使う高輝度液晶モニターの CrystalSky とバッテリーが共通化されているので、両方使用する場合はさらに便利です。

カタログスペック的には持続時間は4時間程となっていますが、実際は1分で1%程消費するので、予備バッテリーを購入したほうが良いでしょう。外付けバッテリーケーブルトレイなどが発売されれば、バッテリーだけ懐で温めながらなどの運用もできるようになるかもしれません。この辺は筆者の希望的妄想です(笑)。バッテリーが2本充電できる(片側ずつ充電)ハブが一つ付属されています。

 

 

装備端子や拡張ポートが豊富

端子は INSPIRE 2 なども多めについていますが、背面の拡張ポートには USB、microUSB、CAN-Aポート、HDMI(A)とHD-SDI(BNC)がついています。中でもSDI端子は現場へのモニター出しの時に役立つと思われます。

CANポートは DJI Focus や外部GPSアンテナなどDJI機器の接続に使用、USBはタブレットなどの接続に使います。また、標準装備では CrystalSky 用接続マウントに USB-C の端子もついています。従来のタブレットなどの装着用に別売でタブレットホルダーが発売されています。

▲端子類も HDMI、HD-SDI、USB、microUSB、CAN端子と多彩。

 

 

堅牢性が向上している

実際にぶつけてみたわけではないので、印象ではあるのですが、本体プラスチックの質感が以前と変わり、ある程度の堅牢性は保たれていると思われます。また、スティックの根元部分に砂などが噛んで固まってしまうのを防止するために、ダストカバーが標準で付いてきます。操作性は多少犠牲になりますが、砂地やホコリの多い場所、また、自身の汗などが入り込まないようになるのでフィーリングによって使用してみるのも良いかと思います。また、冷却ファンも内蔵しているので熱によるシャットダウンなどにも強くなっていると思われます。

 

なかなかの重量感、現時点では自由に機能をアサインできない

誰もが同じ感想かと思いますが「重い……」。CrystalSky7.85インチも装着すると、「さらに重い……」です。筆者はハーネスをつけてスティックを人差し指と親指でつまむいわゆる「オンボード」スタイルでコントローラーを保持しますが、両手で持って親指でコントロールするスタイルだとずっと持っているのはかなり大変でしょう。そのためもあってか、DJIの標準ハーネスが付属します。

RECボタンなど、今までのDJIコントローラーからボタンが移設されたものもたくさんあります。露出のコントロールは今まではダイヤルを押して変える項目を選択することで変更できたのが、左下の4つのボタン(EV、シャッタースピード、絞り、感度)+ダイヤルに変更になっています。2つのボタンを同時に操作する必要があるために、両手を離さなくてはなりません。

また多くのプリセットボタンがあるのですが、執筆時点では自由にアサインできるようにはなっていません。側面のスライダーなども便利に使えそうなのですが、現時点では何もアサインできないので、今後のファームアップ待ちになります。

公式には対応機種として INSPIRE2,M200シリーズとなっていますが、Phantom 4 Pro Obsidian でも紐付けできて、すべての機能が動いています。

また、CENDENCE をマスターにして、INSPIRE2 のコントローラーもスレーブにバインドできるので、Phantom 4 Pro でチルトだけをスレーブ側にさせる簡易2オペレートや、コーチモードでの教習機材としても利用することができます。

 

▲CENDENCE の操作面。スティックには防塵用のカバーが付いている。様々なプリセットボタンがあるが、自由に機能をアサインできない。