音響ワークショップ ハンディレコーダー活用術(オリジナル音源データダウンロード付き)


ハンディレコーダー活用術

Report◎三島元樹

みなさま、前回のマイクテストはお楽しみいただけたでしょうか? マイク録音は奥が深く、僕も日々研究を重ねてます! さて、今回のお題ですが、前回からの録音繋がりということで「ハンディレコーダー活用術」にしようかなと。みなさんはハンディレコーダー使ってますか? 撮影現場ではいろいろな用途て使っていると思いますが、そういった現場での活用については専門の方にお任せするとして、今回はMA的視点、そして音楽家的視点から僕なりの活用術をお伝えしようと思います。

まずレコーダー&マイクですが、僕が愛用しているのはコチラ(写真1)。導入したばかりのローランド R-07と、iOS用Lightning接続マイク、シュア MOTIV MV88、そして外部マイクとして単一指向性ラベリアマイクのオーディオテクニカ AT9904、無指向性バイノーラルマイクのadphox BME-200を併用しています。

【写真1】①ローランドR-07 ②シュアMOTIV MV88 ③オーディオテクニカ AT9904 ④adphox BME-200 ⑤おもちゃの聴診器 ⑥ウィンドジャマー(TASCAM純正) ⑦ミニ三脚

ここで注目したいのがマイクの指向性とステレオ方式です。これらの組み合わせは多種多様なんですが、録音に詳しくない方は特に意識せずに選んでしまっているケースも多いと思うので、代表的な組み合わせと、その特徴や向いている用途などを以下にまとめてみました。

今回が初稼働となるR-07ですが、これは無指向性・ABステレオのレコーダーとなります。14年ほど前に使っていた旧モデルのR-09と同じですが、そのスペックは段違い!まずノイズが少ない! いままで使ってきたハンディレコーダーで一番優秀!! マイク周波数特性は中低域に若干の癖を感じるものの概ねフラットで、上は可聴範囲外の40kHzまでしっかり拾ってます。低域に関しては他メーカーよりも量感が多めなので、常時100HzのローカットをONでちょうどいいくらい。そのローカットもREC待機状態でメニューボタンを押すたびに「OFF→100Hz→200Hz→400Hz」とローテーションするので素早い設定が可能。内蔵マイクは吹かれに強く、さらにウィンドジャマーを付けると吹かれで泣くことはまずありません!(写真2) また、専用スマホアプリからBluetooth接続でリモート操作できるので、マイクから離れたい時や楽器の自演を録るときにめちゃくちゃ便利で感動しました!(写真3) 唯一の弱点は、microSDカードの取り出しにくさですね。僕は本体のmicroUSB端子経由で取り込んでます。

【写真2】 TASCAM純正品を流用。ディスプレイが隠れてしまうが、リモートアプリで対処可能。もちろんジャマーを少しズラせばメーターは見えるので本体のみでのレベル設定もかろうじてできる。
【写真3】 リモートアプリではインプットレベルの監視やゲイン設定などの各種操作が可能。Bluetoothでヘッドフォン等とペアリングしておけば、本体から離れていてもプレイバックを聴くことはできる。

それでは、実際に外に持ち出して録音してみましょう! MA的な視点からすると、やはり環境音や効果音のライブラリを自作するというのが真っ先に思いつきますよね。実際、とある映画のMA作業で港のシーンがあったんですが、波が打ち寄せる音が足りないとことだったので、過去に録ってあった隅田川の波の音を被せたりしました(笑)。ホント、どんな音でも録っておいて損はありません! 僕の場合、散歩をしながら気になった音をどんどん録っていったりします。それこそ写真を撮るように。もちろん具体的に欲しい音がある場合はハンティングに出かけます。その際は、前述のように外部マイクを使ったり、道具をDIYして工夫してますね。        

ハンディレコーダーは使い方によってさまざまな可能性が見えてくる魔法の小箱。マイク同様、自分がどういう用途で使いたいのかをしっかり考えて機種を選ぶことをオススメします。あと、使い勝手などは実際に店頭でしっかり確かめたほうがいいですね。特に録音レベル調整やローカットなどの設定を素早く行えるかなどは現場で使うにはとても重要ですので。あとは、とにかく録りまくって遊ぶこと!  夏休みのレジャーには持って出かけましょう(笑)。

音源01【森】茨城県某所の山中にて。写真右下方向に小川が流れている。各所から聞こえる鳥の鳴き声の定位感や距離感が聴き所。麓を走る自動車の騒音までをもしっかり拾っている。

音源はこちらから http://sonoichi.67.org/vs/mishima_vs08/01_mori.wav (右クリックから、リンク先のファイルをダウンロード。以下同)

音源02【小川】拾った木切れなどにラベリアマイクを取り付ければ、手の届かない場所の音を間近に寄って録ることができる。

音源はこちらから http://sonoichi.67.org/vs/mishima_vs08/02_ogawa.wav

音源03【水中】おもちゃの聴診器のチューブを切り、そこへラベリアをねじ込んでみた。とても浅い小川での録音だったので大して面白くもない音だが、深さがあるとゴボゴボとした水中っぽい音が録れて面白い。

音源はこちらから http://sonoichi.67.org/vs/mishima_vs08/03_water.wav

音源04【浅草寺_R-07】 音源05【浅草寺_MV88】浅草寺境内にて。R-07(ABステレオ)とMV88(MSステレオ 90度)の比較。

【浅草寺_R07】の音源はこちらから http://sonoichi.67.org/vs/mishima_vs08/04_sensouji_R-07.wav

【浅草寺_MV88】の音源はこちらから http://sonoichi.67.org/vs/mishima_vs08/05_sensouji_MV88.wav

 

音源06【バイノーラル】浅草の伝法院通を歩きながら録音。自分の耳に装着するタイプの製品では、胸元装着のラベリア同様にケーブルのタッチノイズに注意。

音源はこちらから  http://sonoichi.67.org/vs/mishima_vs08/06_Binaural .wav

音源07【ピアノ】今回は友人ピアニストの齋藤正樹さんにドビュッシーの「月の光」を演奏してもらった。

音源はこちらから http://sonoichi.67.org/vs/mishima_vs08/07_piano.wav

●この記事はビデオSALON 2018年8月号 より転載。他にも充実した記事が盛りだくさん!詳しくはこちらから。

vsw