第16回 対談動画をワープロのように編集する新しいワークフロー!

写真・文◉川井拓也(ヒマナイヌ)

 

動画をAIで文字起こし ワープロ感覚で編集できる

日々スタジオでアーカイブされる膨大な量の対談動画ですが、有効活用する新しいワークフローを模索しています。再利用してハイライトを抜き出すにも内容がわからないとできません。1時間のアーカイブをまた見返してハイライトを抜き出すのは1日作業になります。事前に内容さえわかっていればどこがハイライトかわかります。

そこでAIを使った自動テキスト起こしをいろいろ試していたんです。そこで出会ったのが「Vrew」(ブリュー)というフリーアプリです。このアプリはmovなどの動画を一度読み込ませてmp4にアプリ内で変換します。

それをクラウドに送り、AIでテキスト起こしをしてくれるんです。戻ってきた文章をワープロを編集するように切ったり貼ったりするとなんと元の動画も編集されているというアプリなのです。

 

文字起こしから 字幕入れまでが自動!

これまでの映像編集アプリはあくまで映像が主体でしたが「Vrew」の場合は文字とサムネイルが中心となります。横に長いタイムラインを切ったり貼ったりするのではなく文字を中心に編集していきます。基本画面は左に動画の再生ウィンドウがあり右に小さなサムネイルと文字が並んでいます。

表示されている文字は動画に字幕として合成されています。文字を修正すれば字幕も修正されます。フォントや大きさを変えたり、影を落としたりすることもできます。行ごとに分割されていますが、分割点は自由に変更できます。そしてこの行ごと削除したり入れ替えたりすると動画がその順番でバックグランドで編集されているのです。インタビューや対談動画の編集に最高に便利です。

AIが自動で動画の文字起こし。編集・字幕入れも自動フリーソフト・Vrew

▲動画ファイルをアップロードして音声から文字を生成した状態。文字部分を編集すると、動画もそれに合わせてカットされるというフリーソフト。公式サイトではWEBブラウザ上でお試しで使える(https://vrew.voyagerx.com/ja/

 

 

様々な形式で書き出せる

ヒマスタで収録した対談動画の場合は自動スイッチングでカットが7秒ごとに切り替わっていますのであまり複雑な切り貼りをするとカットが破綻しますが、ハイライトの部分をまるごと1分抜いてくるなどのニーズにはぴったりはまります。なにより一度動画を「Vrew」に読み込ませればすべて内容がテキストになっているわけですからブログ記事などにも応用できます。動画の書き出しはフルHDのmp4となりWEBなどで使うには充分な解像度です。さらに「字幕ファイル」「テキストファイル」「Premire Pro xml」「Final Cut Pro xml」「Davinci Resolve xml」「透明背景の字幕付き動画」「音声ファイル」としても書き出せます。mp4の書き出し品質に不満がある人は仮編集に使って元の高画質ファイルを使って本編集をすることもできますし、音声ファイルはポッドキャストやラジオにも使えます。

 

インタビュー動画編集の ワークフロー革命!

これまでYouTubeの字幕機能を使ってみたり、動画をGoogleドキュメントの音声入力に入れてテキスト起こしをしてみたり、様々な試みをしてきましたが、既に録画された未編集の動画を自動テキスト起こしするのに「Vrew」ほど便利なアプリはありません。

インタビューや対談動画を編集するワークフローの革命とも言えます。毎週1時間の対談番組が10本、月間40本、年間480本生まれているヒマスタとしては「渡りに船」なアプリです。過去に録画した動画も32TBほどあるので時間がある時にどんどんテキスト化してアーカイブの有効活用をしていきたいと思います。興味ある方はぜひ「Vrew」を試してみてください!

次回は公開収録型のPAを使う対談に適したマイクの選び方についてお送りします。

 

設備やカメラ位置をシミュレーション

 

 

ビデオSALON2019年11月号より転載