動画配信スタジオ 運営日誌 第27回 スタジオ運営をはじめてよかったこと ツリスタ篇


第27回 スタジオ運営をはじめてよかったこと
ツリスタ篇

写真・文◉川井拓也(ヒマナイヌ)

 

ヒマスタ型スタジオ「ツリヒロスタジオ桜台」、釣部人裕さんにインタビュー

釣部人裕。ノンフィクション作家。1961年札幌生まれ。筑波大学卒業。高校教諭を10年間務め、その後、家庭教師、塾講師などを経験。2019年より出版社、万代宝書房を設立。「ツリヒロスタジオ桜台」で配信・収録したコンテンツの書籍化にも取り組む。

WEB●http://bandaiho.com/

 

 

全国に広がるヒマスタ型スタジオオーナーにインタビュー

ヒマスタに影響を受けて立ち上がった全国のスタジオオーナーへのリモートインタビューをお届けしています。スタジオのコンセプトも配信しているコンテンツも様々ですが、コロナ禍をきっかけに自社スタジオを作ろうと考え始めている方の参考になればと思います。第3弾となる今回は居ぬきの元カラオケ喫茶を配信スタジオに改造した「ツリヒロスタジオ桜台」の釣部人裕さんです。

ー最近ライブ配信の相談は増えました?

はい。時代の流れを感じます。コロナ禍になる前からライブ配信はやっていました。多いときは月に5本〜10本くらいの番組ホストをやっていたのですが最近は「あの番組はどんな機材を使って配信しているの?」とか「あのスタジオは自分が出演者として借りられるの?」などとよく質問されます。

ーライブ配信と収録の割合はどんな感じですか?

自分のスタジオは始めたばかりなので、ライブ配信の方が多いです。

ー自社でスタジオを持っていることでどんなメリットがありますか?

やはり「自分が配信したい時に配信できる」ことは大きいですね。これまでは外部のスタジオを使っていたのでかなり前に配信日を決めたり、出演者をキャスティングしたりしなければいけませんでした。

今は自分のスタジオですから自分ひとりがしゃべるようなコンテンツは思い立ったらすぐにできますし、ふらっと遊びに来てくれた人と「対談しましょうか?」という流れになることもあります。自分が出てもらいたいと思う人にも声をかけやすくなりました。

このスタジオは元カラオケ喫茶だったので、カウンター部分をスタジオセットとして使っていますが、後ろに客席もあります。コロナ禍であまり多くの人は入れられませんが、観客を入れて公開収録もできるんです。今後は配信だけではなく配信+イベント、収録+イベントなども考えていきたい。そういった様々なサービスの料金や時間を自分で設定できるのもいいですね。

ーどんな顧客を想定して配信システムを組んできましたか?

伝えたいことがある方、ミニライブをやりたい芸人さんやアーティストさんです。ライブ配信をするとリアルタイムで見てくれる人に加え、アーカイブで見てくれる人の数が足されますし、収録したものをダイジェストに編集したり、タイトルなどを入れて新しい動画として公開することで広く見てもらえることになります。そして「ツリスタ」の最大の特徴はここで対談した内容を本にできるということなんです。

私は「万代宝書房」という出版社の代表でもあるのですが、収録した対談の動画からテキストを起こし、写真を加えて編集し、本にするまでをワンストップサービスで提供しています。

自然会話形式の対談からその言霊を本にして国会図書館に保存するんです。社名にある「万代宝」は「実語教」(平安時代末期から明治初期にかけて普及していた庶民のための教訓を中心とした初等教科書)という千年もの間読み継がれた道徳の教科書にある言葉からもらいました。

その中に『富は一生の宝、知恵は万代の宝』という節があり、「お金はその人の一生を豊かにするだけだが、知恵は何世代にも引き継がれ多くの人の共通の宝となる」いう意味なんです。

ー最近導入してお気に入りの機材教えてください!

機材と言えるかどうかわかりませんが、照明器具です。同じ空間でも照明を少し変えるだけでガラッと印象が変わる。その変化が面白くていろいろ試しているところです。

ーどのように営業していますか?広告や広報はしていますか?

「ツリヒロのよもやま話」「編集後記」「元熱血教師が語る」などなんであれ、自分で毎日配信するようにしています。今は、それが広報になっていると思います。あとゲストを呼んで対談をしています。結果として、ゲストの方が宣伝してくれます。

ーひやっとしたトラブルありましたか?

カメラが途中で止まっていた。あとで編集するためにスイッチャーのアウトだけではなくカメラも個別に録画していたのですが、止まっていてガッカリしたことがあります。中古機材のクセのようなものを把握するには経験がいりますね。

ー顧客のフィードバックでうれしかったことはありますか?

新しい照明を入れて「キレイな顔で撮ってくれたね。ありがとう!」とか、スイッチングでパワーポイントを差し込んだとき「いいタイミングだったね」と言われたりした時。動画には自分が工夫した結果がすぐ出るのでやりがいがあります。

ーこれからスタジオを作ろうとしている人に一言お願いします!

信頼できる人によく相談してから始めてください。使うのと作るのは、世界が違います。

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釣部さんはヒマスタのヘビーユーザーで神田、高円寺、大手町すべてのスタジオを使ってコンテンツを配信していただきました。そしてコロナ禍の中で運命的な物件と出会い契約を即決! そこからわずか1カ月で今の「ツリスタ」をオープンさせました。機材の大部分は新規購入ですが食器やインテリアの多くは知り合いの人が持ち寄って手作りで作っています。路面店なので近隣の人がふらっと遊びに来ることも多く地域に愛されるスタジオになっていきそうです!

次回は虎ノ門交差点、文化庁目の前にあるコワーキングスペースの一角に対談スタジオを作ったトラスタの福田さんのインタビューをお送りします!

 

カラオケ喫茶の居抜き物件をスタジオ化

▲7月から自社スタジオを設立。以前からライブ配信はしていたが、自社スタジオにしてから思い立ったときに配信できるようになり、配信の頻度も増えてきたという。
https://www.youtube.com/channel/UCjy6sjmjGOej0FEVVmLuA6w/featured


▲元カラオケ喫茶の居抜き物件をスタジオ化。現在はコロナ禍のため、多くの観客は入れられないが、今後はリアルイベントとも連動した配信なども手がけていく予定。

 

 

VIDEO SALON 10月号より転載