動画配信スタジオ 運営日誌 第34回 ヒマスタのカメラをフルサイズ機にリニューアル!


第34回 ヒマスタのカメラをフルサイズ機にリニューアル!

写真・文◉川井拓也(ヒマナイヌ)

 

 

そろそろ1080iから1080pにシステムを変更したい!

ヒマスタは大手町・高円寺・六本木にあり合計12台のLUMIX GH2を使っています。なぜ今どきこんな古いカメラを使っているか? といえばマイクロフォーサーズでマルチアスペクト機能が搭載されているのがGH2とGH5だからです。GH5はご存知のように中古でも価格が安定しておりなかなか値が下がりません。対してGH2ならオークションなどを使えば2万以下で入手できます。4台のGH2を買ってもGH5の中古1台分以下の予算です。しかし安くて古い機種なだけあって、いろいろな制約があります。

内部録画をするとカメラ設定が動かせなくなることや録画していなくてもメニュー操作をするとHDMIからの信号に情報が映像にのってしまいます。AFにするとフォーカス枠は消えないのでMFで使うしかありません。そしてHDMI端子から出る信号は1080iです。激しい動きのない対談スタジオなので、それほど気になるところではないのですが、今回システムの更新を考えるにあたって1080pのカメラにリプレイスしたいと考えました。

▲α7シリーズは機種も多くセンサー性能も代を追うごとに進化しているが、GH2からのリプレイスを考えれば初期のα7Rでも充分。予備機も含めて、5台購入。

 

マイクロフォーサーズ? もしくはフルサイズでいくか?

マイクロフォーサーズはレンズも所有しているのでGH5などの現行機種にリプレイスするのがもっとも簡単なアップデートになります。

そこで価格を調べていくとやはりGH5の中古価格がネックになってきます。そこでレンズを一新する必要がありますが、将来を見据えてフルサイズ機のリサーチもはじめました。するとソニーのα7Rシリーズも初期のものなら1台6万〜8万でボディが入手できることがわかりました。α7シリーズは機種も多くセンサー性能も代を追うごとに進化していますが、GH2からのリプレイスを考えれば初期のα7Rでも充分と判断し思いきって5台購入しました。5台で40万程度でしたから最新のフルサイズ機1台分のコストパフォーマンスです。

▲α7シリーズは発売から現在まであまり基本となるデザインが変わっていないのでパッとみた感じでは最新のフルサイズカメラに見える。

 

超解像ズームを活用してレンズのセレクトをしていく!

α7Rには超解像ズームがついており単焦点レンズを使っていてもフルHDの解像度の場合は2倍程度まで画質を落とさずに拡大できます。これはメニューからズームを選ぶことでビデオカメラのようにズームできるのでアングルを調整するのに便利です。

そこで少し広角端に余裕のある中古レンズをセレクトしてそこからの微調整は超解像ズームを使うようにしました。5台のカメラのうちホストとゲストのメインショットとなるセットレンズはFE 85mm F1.8を使うことにしました。これまでもこの2台には35mm換算で85mmのレンズを使っていたため違和感なくリプレイスすることができます。その他のレンズはその時期に狙ったものがなかったので安めのレンズでとりあえずという感じで揃えました。

▲スタジオに常設する4台のうちホストとゲストのメインショットとなるセットレンズはFE 85mm F1.8を使用。その他のレンズはその時期に狙ったものがなかったので安めのレンズでとりあえず揃えた。

 

外部電源で4日間稼働させっぱなし

でも特に発熱などの問題はなし!

初期のα7シリーズは連続稼働の発熱問題がよく言われるのですが、それは内部録画をしている時の話です。マルチカメラシステムに組み込んで使う場合は電源を入れてHDMIからのスルーアウト信号を使っているだけなので問題ありません。テストで4日間電源を入れっぱなしで放置しましたが、特に熱暴走などもなく稼働していました。

電源アダプターは互換性のある中華製のものを使っています。GH2に比べると電源カプラーのケーブルの逃しがカメラボディの下側に出ているため大きな三脚プレートにのせているとケーブル分の出っ張りで浮くという問題がありました。三脚に固定するときは小さなプレートを使うことをおすすめします。

▲GH2と比べると電源カプラーのケーブルの逃しがカメラボディの下側に出ているため大きな三脚プレートにのせているとケーブル分の出っ張りで浮いてしまう問題があった。三脚に固定するときは小さなプレートを使うことをおすすめする。

 

フルサイズはそもそもよくボケるから絞って使いやすい!

こうして5台すべてのカメラがフルサイズの一眼に変わりました。使ってみていちばんに感じたのは絞れる余裕です。マイクロフォーサーズの場合はもともとボケが弱いということもあり、大口径レンズを開放近辺でというリスキーな使い方をしていました。フルサイズの場合はそもそもボケが大きいので開放から絞りながら狙った画にしやすいのです。おかげで画質的にもフォーカスが合焦する幅にも余裕が出てきました。

レンズが大きく重くなりクリップ三脚で支えられるか不安があったので重量増になるゲージなどは使わず本体だけで固定しています。α7シリーズは発売から現在まであまり基本となるデザインが変わっていないのでパッとみた感じでは最新のフルサイズカメラに見えるのはありがたいところです。

次回はヒマスタ高円寺の4本のマイクロフォーサーズレンズをパナソニックからオリンパスに変更する模様をご紹介します。

▲ヒマスタ大手町のスタジオ。

 

 

VIDEO SALON2021年7月号より転載

vsw