動画配信スタジオ運営日誌 第39回 大手町に「動画カメラ歴史博物館」を作るプロジェクトが始動!


第39回 大手町に「動画カメラ歴史博物館」を作るプロジェクトが始動!

写真・文◉川井拓也(ヒマナイヌ)

▲ヒマナイヌスタジオ大手町の入り口の一角に設けられた往年のビデオカメラや8mmフィルムカメラの名機を展示した棚。

 

 

コロナ禍の断捨離で 全国各地から往年の名機が集まってきた!

いまは手の中のスマホで4K動画が撮れる時代になりましたが、1980年代のビデオカメラ普及前は動画を個人で撮るというのはそれなりに手間がかかるものでした。筆者も大のソニー好きだった父親が世界初のカメラ一体型レコーダー「ベータムービー」を買ってきたことが動画にはまるきっかけでした。

いつもテレビのブラウン管や映画館のスクリーンで見ているような映像がこのカメラでも撮れるかもしれない! 実際は撮れないわけですが、映像制作の面白さにズブズブとはまっていきました。そんなこともありヒマナイヌスタジオ大手町の余白部分の棚に自分が使っていた古い8mmフィルムカメラやビデオカメラを展示していたんです。

その様子をことあるごとにSNSにアップしていたところコロナ禍もあって断捨離中の人から「実家でこんな古いカメラ出てきたけどいる?」みたいなメッセージが寄せられるようになりました。「いいですね! ぜひ着払いで送って!」なんて気軽に返答していたらいつのまにかすごい数になってしまったんです!

 

ビデオカメラから 8mmフィルムカメラの歴史にまで遡る!

ビデオカメラがベータ、VHS-C、8mmビデオ、Hi-8、DVビデオなどに進化していく様子はリアルタイムで体験していました。1970年代が全盛期であった8mmフィルムカメラは大学の授業で覚えました。

大阪芸術大学の映像学科だったので、漫画『アオイホノオ』そのままの世界です。2年生になると、ひとり1本の3分映画を8mmフィルムで作り「ファーストピクチャーズショー」というイベントで上映します。そのために先輩に8mmカメラを借りたり、道頓堀の中古カメラ屋で必死に探したりしたのは懐かしい思い出です。

この8mmカメラの世界もシングル8とスーパー8はわかるのですが、ダブル8となると、もう父親や祖父の時代のフィルムになります。それらの情報を入手するためには「ビデオサロン」の前身である「ビデオ読本」さらには「小型映画」にまで遡ることになります。

様々な方から寄贈される古い8mmフィルムカメラの発売年をつきとめようとメーカー名と機種名で検索するもなかなか特定にいたらないこともあり、資料として「小型映画」をメルカリかヤフオクで全巻をポチろうという勢いです。

▲キヤノンAuto Zoom 814 Electronic(8mmフィルム)。

▲ソニーBMC-100P(ベータ)。

 

 

歴史を変えたエポックメイキングな動画カメラを集める!

知人からの寄贈でどんどん増えてきた動画カメラですが、自分なりにエポックメイキングなものをセレクトしています。誰もが知っているモデルとしては『バック・トゥ・ザ・フューチャー』でマーティがドクに「これで記録しろ!」と渡される赤いビクターのVHS-CムービーGR-C1や、ビデオジャーナリストという言葉を生むきっかけになったDVカメラ・ソニーVX1000などです。

ここから遡ってシングル8やスーパー8の8mmフィルムカメラもサイレント機から録音機能のついたサウンド機も、八王子のHARD OFFなどをまわりながらかなり網羅的に集めることができました。1970年から2000年くらいまでの主要な動画カメラはコレクションできた! 次は1950年代〜60年代のダブル8だ! と思っていたところで、ある博物館の企画展の告知が目に入りました。

▲ビクターGR-C1(VHS-C)。

▲ソニーDCR-VX1000(miniDV)。

 

 

「カメラと動画ー動画 126年の歴史ー」は 本誌読者は必見の企画展!

それが日本カメラ博物館の「カメラと動画ー動画126年の歴史ー」です。告知を知ったときに「これは俺のために企画されたものに違いない!」と思いGoogleカレンダーの最高優先度で初日をマーク! 鼻息荒く朝イチで乗り込んでいったのですが、コロナ禍ということもあり拍子抜けするほど空いていてゆっくり2時間ほど見て回ることができました。企画展ですからそれほど広い空間の展示ではないのですが、古い動画カメラを集めている身としてはどの展示解説も食い入るように読んでしまいます。

「おーし、全部頭に入ったぞ!」と思って企画展のパンフレットを買ったら解説文は全部そこに載っているではありませんか! すごい!すごすぎる!! 小型映画のバックナンバー全部買って自分で調べなくても網羅的に動画カメラの歴史がまとめてある! しかも企画展で見た機種ほとんどすべてが写真として掲載されているのです。

さらに「歴」という赤いハンコがついている機種があり「歴史的8mm撮影機」として独自に認定されています。構造的、機構的に世界初だった国産機が「歴史的8mm撮影機」の定義。もう胸アツすぎて早く錦糸町のレトロ通販に駆け込みたい気分です!

全国から寄贈してもらったり、HARD OFFのジャンク売り場から救出した動画カメラをヒマナイヌスタジオ大手町では展示しているのですが、そこにいるだけで何か熱いものが込み上げてくるんです。というのもこれ映画カメラとか業務用のスタジオカメラじゃなく、すべて家庭用の動画カメラだからなんです。

子供の運動会・学芸会・結婚式を残したいとか、海外旅行に持っていきたいとか、そうした誰かの大切な思い出を記録した機器なわけです。最近ベータームービー以前のレコーダー部とカメラ部がまだ分離していた頃のソニーF1が寄贈されたんですが、両方持ってみるとすごい重い!今はスマホで片手で撮れるのに40年前はこんな重いものを背負って小学校の運動会で愛する我が子を撮っていたのか! と思うと、涙を禁じえません。

これらの展示物は来年(2022年)に「動画カメラ歴史博物館」として誰もが触れて楽しめるスタイルで公開予定です! 読者の方で断捨離中に押入れから往年の名機が出てきましたらぜひご一報お寄せください!

●押入れから出てきた往年の名機を川井さんに提供したいという方はこちらのメールまでご連絡ください。kawai@himanainu.jp

 


▲特別展「カメラと動画 -動画 126年の歴史-」は2022年1月30日まで東京一番町にある日本カメラ博物館で開催中。入場料は一般300円。


▲特別展の内容をまとめた図録は、日本カメラ博物館およびオンラインで販売されている。価格は税込1,000円。

 

 

VIDEO SALON2021年12月号より転載