文・作例 ナカドウガ
TV番組のオンラインエディターを経て、日本で唯一のテロップ漫談家を自称しながら、テロップについてのノウハウを発信している。

 

フォントを選ぶということ

世の中にはたくさんのフォントがあります。無料で使えるものから、有料でクオリティの高いものまで様々です。さらにはアドビが提供している「Adobe Fonts」では有料フォントを気軽に使うことができます。フォントの細部にまでこだわって選ぶことで、伝えたいメッセージの重要度をコントロールできたり、様々な雰囲気を表現できます。また用途にあったフォントを選ぶことで視認性も高められます。

以上のように、フォントにこだわることは、デザインの質を高めるために非常に重要です。まずは各形式のメリット・デメリットを見比べてみましょう。

 

各形式のメリット・デメリット

たくさんの種類を知っていることで、フォントを選ぶ楽しさとともに、表現の引き出しを増やすことができます。テロップデザインはフォント選びから始まることも多く、デザインの初期の段階でいかにたくさんのフォントの中から最適なものをチョイスできるかで、最終的なクオリティに影響が出てきます。初期段階で可能性を狭めてしまわないようにたくさんのフォントに触れるようにしましょう。今回の記事では有料・無料問わず、様々なフォントを紹介します。

比較している3つの形式の中で一番おすすめなのは、やはり有料フォントを選ぶこと。理由は各メーカーごとに統一がとれたバランスに調整されており、フォントを混在させてもバランスがとりやすい点や、ほとんどの漢字に対応していることから。懐事情に余裕がある方はぜひ導入を検討してみてください。

 

Adobe Fontsについて

「Adobe Fonts」は、アドビが提供するサブスクリプション形式のフォントライブラリです。Adobe Creative Cloudを契約している人であれば誰でも数千種類のフォントが利用できます。中には本来であれば高価な有料フォントも入っており、お試しのように使用することも可能です。商用利用もできるので、積極的に活用していきましょう。

Adobe Fontsの特徴

①他のアドビツールとのシームレスな統合ができる
②使っているフォントの同期や更新が自動で行われる
③Adobe Creative Cloudのサブスクリプション契約が必要
④同期するにはインターネット接続が必要

 

フォントメーカー

これまで仕事で使ったことがあるフォントメーカーを紹介します。フォント単体を購入する場合や年間のサブスクリプション契約など、導入方法は様々です。まずは廉価なものから試してお気に入りのフォントを探すのが良いでしょう。

mojimo live

フォントワークスが提供するエントリータイプのフォント集。YouTube向け・マンガ向けなど用途に合わせて導入できる。(https://mojimo.jp/live/

 

DynaSmart

ナカドウガが初めて使用した有料フォントメーカー。定番の物はもちろん、攻めたフォントが多いのも特徴。テロップに使いやすい極限まで太くしたフォントやテロップに最適化された「テロップ書体」もうれしい。(https://www.dynacw.co.jp/index.aspx

 

フォント1000

痒いところに手が届くようなフォントが豊富に用意されているのがうれしい。デザイナーさんの自主参加型という取り組みも面白いです。Adobe Fontsにも多数導入。(http://www.font1000.com/

 

フロップデザイン

どこかで見たことあるなと思えるフォントが多数。無料版でお試しすることができるのもうれしい。フォント以外のデザイン素材も揃っている。(https://www.flopdesign.com/

 

フリーフォント

フリーフォントは個人のデザイナーさんや有志の方、フォントメーカーがお試しのように配布しているもの。中には商用利用できないものもありますので、使用する際には注意が必要です。

個性的なものも多く特定の雰囲気を出したい時に便利なポジションとして使うことができます。ネット上に点在しているという特性から個別に紹介しにくく、今回はふたつのフォント検索サービスを紹介します。

ためしがき

検索バーに「ためしがき」 したいテキストを入力すると、日本語フリーフォントで表示してくれるWEBサイトです。表示されたフォントの配布元をたどることができるので、「あの動画チャンネルで使っている、あのフォントってなんだろ?」 を調べる時に便利です。(https://tameshigaki.jp/

 

SANKOU! font

サイト自体の作り方もきれいで使いやすい。フリーフォントだけでなく、メーカーもの、WEBフォントなど横断的に検索することもでき、選択の幅が広がります。(https://sankoufont.com/

 

こういうときはこのフォントを選ぶという基準

長く仕事をしていると、いつのまにか頭の中にフォントデータベースのようなものが構築されていきます。「こういう雰囲気の時はこのフォント」というように、自分の中での定番をすぐに思い浮かべることができれば一人前。ここでは、ナカドウガの頭の中にあるデータベースを紹介するので、ぜひ参考にしてください。



 

 

VIDEO SALON 2023年9月号より転載