多様化する映像クリエイターの制作スタイルを訊く『Videographer’s File<ビデオグラファーズ・ファイル>』fotoshin


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長野県出身の風景写真家。カナダの風景写真家の一枚の写真に魅了されカナダ、バンフ国立公園で滞在。広大な山岳地帯の絶景に心を打たれ、自然との関わりの重要性を知る。帰国後自然の芸術を捉えようと風景写真を始め地元長野を中心に撮影を取り組む。現在は風景写真の背景を伝えるべくYouTubeにてfotoshin channelを運営。

文●松岡佳枝/写真提供●fotoshin

 

fotoshinさんの手がけた作品

2020冬期西穂高岳(2909m)ソロ登山と山岳写真

国内屈指の難易度と言われる西穂高岳。3月上旬に行なった冬期のソロ登山。新穂高ロープウェイから西穂山荘、独標、西穂高岳への縦走や撮影の模様を記録したVlog。

 

【風景写真】自然溢れる夏の上高地ハイキング

友人との上高地ハイキングの模様を記録。早朝から朝もやのかかる大正池で写真撮影。絶景の朝を迎え森へと進む。静かな朝、梓川の音、鳥のさえずりが心地よい作品。

 

地元・長野県の風景を撮り 1枚の写真の物語を映像化

横田進士さんは、山岳・風景写真家として、たったひとりで登山をしながら、作品撮りを行い、そのプロセスを動画に収め、YouTubeで公開している。

「僕は風景写真をメインに地元の長野県で撮影しています。いまはSNSでいい写真をいくらでも見ることのできる時代で、写真の“1枚の価値”が下がっている気がしていて、1枚の写真ができるプロセス、冒険を見せたらおもしろいのではないかと思い、自分でもやってみようと映像を始めました。

いまは完全にひとりで撮影しています。山に登りながら撮影をするため、自分も滑落してはいけないし、他の人を怪我させてしまってもいけない。ひとり増えるとその人のケアも必要になります。登山道を通る妨げになってもいけませんし、リスク面をかなり考慮していますね。機材についても状況に応じて選び、ひとりでの撮影でも撮れ高の多いものを行く場所によって決めています。

僕の場合、写真撮影ありきでの登山のため、映像として“登頂にきました!”というだけでは終われないので、たとえお天気が悪く途中で下山したとしても、「物語」としていいなと思えるエンディングが生み出せるよう考えながら撮っています。

僕自身はドキュメンタリー番組のような世界観を作りたくて、ほどよい距離感で見てもらえるように、ギア類や場所の解説などはしすぎないようにして、見ている人がそこにいるような気持ちになってくれたらいいなと思うんです。そうすることで物語がブレないようにもしています。音楽選びも実はすごく時間がかかりますね。映像を全部見て、自分の感じたエモーションに合う音楽を選んでいます」

すべてひとりで行うにあたって必要なバランス感覚を横田さんはどんな風に養ったのか伺うと…。

「映像を撮るのに時間がかかってしまい、写真の撮れ高が悪くなってしまったり、試行錯誤はかなりありましたね。繰り返しやってきたことでようやく無駄がなくなってきたと思います。撮りながら頭のなかでは常に編集していて、次に何が必要かを考えていますね。時間配分も場数を踏んで、ようやく感覚がつかめてきました。

映像も登山も独学で山岳ガイドさんからお話しを伺いながら習得してきたのですが、大事なのは能力に合った山はどこかということ、そして“引き際”ですね。無理だと思ったらその先には行かないというのは鉄則です」

写真と映像を両立する横田さんに今後トライしたいことを伺った。

「いまは自分がモデルになっているスタイルですが、誰かにモデルになってもらって撮影してみたいですね。また、海外から日本に登山に来る方々を案内することができたらと思っています。海外の方も見てくださっているので、英語字幕も入れているのですが、さらに海外の方々へ発信していきたいですし、風景写真にとらわれず幅を広げていけたらいいなと思っています」

 

使用機材リスト

使用機材と制作風景、活動内容

▲Vlog撮影の様子。写真用はZ7、Vlog用はZ50を主に使用。


▲撮影の様子。ほとんどの場合はソロ登山になるため、自撮りや三脚の置き撮りで対応している。

▲山登りの際の基本的な機材・持ち物構成。機材は以下リストの通りだが、レンズのメンテナンスグッズの他、熊よけのスプレーや熊鈴、護身用のナイフなども携帯している。

 

VIDEOSALON 2020年11月号より転載