HENMI

世界70カ国以上を旅しながら絶景を撮影するビデオグラファー。これまでに自転車での日本一周をはじめ、ウユニ塩湖1カ月撮影、中南米から縦断からの南極大陸上陸、2019年には日本からロンドンまで飛行機を使わずにシルクロード横断を敢行。ガイドブックにも載っていない秘境等を開拓しながら絶景映像を撮影している。日本では主にウェディング映像を撮影するカメラマンとして活動。
http://hideyukispicy.com/

文●笠井里香/写真提供●HENMI

 

 

HENMIさんの手がけた作品

『ウユニ塩湖の絶景タイムラプス 1ヵ月撮影した天空の鏡を3分に凝縮した究極のウユニ映像』

「天空の鏡」と呼ばれるウユニ塩湖に1ヵ月滞在、撮影した絶景タイムラプス。星空、青空、朝陽、夕陽、曇り空、雷など多彩なウユニの表情を3分に凝縮した作品。

 

 

『天国に一番近い教会の神秘的な雪景色&金色の草原。ジョージアのツミンダサメバ教会』

ジョージアの絶景、ツミンダサメバ教会(ゲルゲティ三位一体教会)。天国に一番近い教会とも呼ばれている。秋の金色の草原を撮影中に、運良く雪が降り、雪景色も撮影することができた。

 

 

旅をするなかで 好きなことをやろうと決めた

中南米縦断、果ては南極などカジュアルに行ける場所ではない地でさままざま風景を撮影し、映像作品をリリースしている「絶景ビデオグラファー」のHENMIさん。どんなきっかけで映像をはじめたのか伺った。

「大学を卒業する前、就職活動をしていた際、自分の人生を振り返ってみると、いままで何かに挑戦することもなく、自分の見ている世界は実はとても狭いものなのではないかと感じたんです。それで就職するのをやめて、自転車で日本一周、そのあと海外に行き、バックパッカーをすることにしました。就職してから挑戦するよりも、自分の目でいろんなものを見て価値観が変わったら、そのときに就職を考えようと思ったんです。そのためにまず一眼レフを買いました。ニコンのD7000というモデルでしたね。旅をするなかで写真を撮り、写真展をやろうということを目標に撮り始めてみると、すごく面白くなって、カメラの世界にハマっていきました」

実際に旅に出てみて、どんな変化があったのか聞いてみると……。

「いちばん大きかったのは、海外に出て、いまいる自分の場所がすごく恵まれているということが分かったことでした。“自分の好きなことをやろう”と思えるようになりましたね。旅先でカメラが好きになったので、写真をやろうと決めました」

ライフワークとして始めたことが、仕事に結びつくまでの過程はどのようなものだったのだろうか。

「日本、海外と2年間の旅を終え、ブライダルの映像撮影・編集のアルバイトを始めました。次の旅のためにお金を貯めること、また、映像ができれば旅先でも撮影できるなと思ったんです。2年間働いてお金を貯め、半年、動画を撮影しに中南米、南極へ撮影しながら旅をしました。旅をしているとき、4Kで撮ろうと思い、キヤノンEOS 5D Mark IVを買いました。何につながるかも考えずにとりあえずYouTubeにアップしてみよう、写真展をやろうと公開を続けていると、それが映像出版社の方の目にとまり、お声がけいただいて、作品を出すことになったんです」

ブライダル映像撮影から風景撮影への転換の苦労はあったのだろうか。

「風景はいろいろな画角で動きを出して撮らないとダメだなと思いました。角度や画角を変えてバリエーションを撮らないとかっこいい映像にならなくて。それで、3-4分の映像でもドローンやタイムラプスなどを使うようになりました」

最後に絶景撮影の醍醐味について伺った。

「絶景と呼ばれるような風景を撮っているとアドレナリンが出るのを感じます。自分にしか見られない景色だなと思う瞬間ですね。天候の問題などもあり、撮りたいときにすぐに撮れるものではなく、1週間の予定が1カ月かかってしまったりすることもありますが、狙った画が撮れるまで粘ることも苦ではなくむしろ楽しいし、贅沢な時間だなと思います」

 

主な使用機材リスト

編集ソフトはBGVやウェディング映像では動作の速いEDIUS、色や動きにこだわるときはPremiere Proと使い分けている。After EffectsはFlicker Freeというプラグインを使用して、露出の変化が激しいタイムラプス映像を滑らかにする用途で主に使用しているという。

 

制作風景と機材

HENMIさんがウェディング撮影で使用する機材。旅の装備に加えて一脚やジンバルなども持参する。

旅の際の機材は極力シンプルに。メイン機のEOS 5D Mark Ⅳはこれまで世界各地の秘境にも持ち出しているが、一度も壊れたことがない剛性の高さが気に入っているという。


▲旅の機材はカメラバッグに収まるものとドローンのみ。


動画用とタイムラプス用に2台体制で撮影に臨むことが多い。

▲HENMIさんが手掛けた映像ソフト『神秘の絶景・アジア ~映像と音楽で巡る魅惑の秘境~ Amazing Views in Asia』(シンフォレスト・4,620円)。

 

 

VIDEO SALON2022年2月号より転載