多様化する映像クリエイターの制作スタイルを訊く『Videographer’s File<ビデオグラファーズ・ファイル>』水口紋蔵


水口紋蔵

武蔵野美術大学在学中、木村拓哉『ローリングストーン』のMV監督を始め、映画など多岐にわたる映像領域に携わり、愛媛国際映画祭、なすしおばら映画祭、山形国際ムービーフェスティバルなど様々な映画祭で上映や受賞。生きる人の本質的な美しさを描写し、何気ない日常のひとコマを映画のフレームに置き換える作風が身上。4月からは放送局に入社し、ディレクターとして活動。

文●笠井里香/写真提供●水口紋蔵、甲斐淳一

 

水口紋蔵さんの手がけた作品

『アクトレスモンタージュ』特報

水口さんが参加している本広克行監督のオンラインサロンの企画として、現在制作中の映画。本作でも監督に加えて、撮影・編集を手がけている。公開は2021年秋を予定している。

 

『ホットミルクロード』

2019年夏、那須塩原市にアーティスト・イン・レジデンスで招待されたアートユニット・S+N laboratory。参加型アート作品「つむぐプロジェクト」の制作過程を追ったドキュメンタリー。

 

 

在学中から映像作家として活動

武蔵野美術大学をこの春卒業。CMや自主制作の短編・長編映画、MVなど幅広く活躍する水口紋蔵さん。映像を始めたきっかけや、これからのころを伺った。

「最初に映像を作ったのは中学校1年生のときでした。『水曜どうでしょう』が大好きで、こんな面白い番組を作ってみたいと思ったんです。この番組を見て、友人を誘い、東北へ旅に出て映像を撮りました。編集も真似して、どれだけ似せられるかに情熱を注いでいましたね。機材も真似をして中古を探しました。結果は、大泉さんがいかに面白いかということ(笑)。編集は真似できてもコンテンツ力は同じにはならないということがよくわかりました」

水口さんは大学に在籍中に、GYA O!で配信している木村拓哉さん出演のバラエティ番組『木村さ〜〜ん!』内で若手クリエイターがMV制作をするという企画で選出され、木村さんの楽曲『ローリングストーン』のMVを制作した経験がある。

「友人に勧められてギリギリになって応募したところ選んでいただきまして、相手が木村拓哉さんだけに失敗できないという思いが強く、自分のコネクションをすべて使ってカメラマンさんや照明の方などを集め、僕自身は監督という形で撮影しました。でき上がった映像を見て、自分で撮ればよかったと思う反面、プロの方のカメラワークには勉強になる部分も多かったですね。この作品の監督をしてからというもの、クライアントワークでも信頼していただけるようになったというか、木村拓哉さんというお名前は本当に大きいなと実感しています」

2021年秋には初の長編映画監督作品の公開が控えている。

「僕は浪人したときが人生の分岐点だったと思っているのですが、そのときに出会った人との繋がりでお仕事をいただいたり、作品を作らせていただいたりしています。長編映画のほうは、本広克行監督のオンラインサロンでの企画で、監督・撮影をやらせていただきました。人と人とのリアルな繋がりがあってこそ、僕自身、ここまで来られたと思っています」

 

春からは放送局でディレクターに

映画監督志望という水口さんはこの春から放送局への就職が決まっている。

「映画監督になりたいと思っていて、お世話になっている本広克行監督のように人を楽しませることのできるエンターテインメント作品を作りたいと思っています。でも、父がフリーランスで、その苦労を知っているのと、父にも何年か会社勤めをしてからフリーになったほうがいいと勧められ、ある放送局に応募して採用が決まりました。この4月からディレクターとして地方でドキュメンタリー系の番組制作に携わることになりました。映画はフィクションですが、リアルを知らなければフィクションを作ることはできません。人の感情、痛みなど、細かな部分の積み重ねがないと映像にも出てしまいますから、都会にはない人との密な距離感のなかで、そういった地に足をつけて生きている姿というのをしっかりと追っていきたいです。例えば今後映画監督を目指すとして、そういったなかで学んだことが演出にも繋がっていくのではないかと思っています」

 

主な使用機材リスト

 

制作風景と機材

▲水口さん所有の機材。大学在学中から映像の現場に入り、その収入で機材を購入。CP.2のシネレンズやジブクレーン、スライダーなども。



▲本広克行監督が主催するオンラインサロンの企画でこの3月に映画製作に取り組んだ。

 

 

VIDEO SALON2021年5月号より転載

vsw