ハワード・フルタ
23歳のフリーの広告監督/カメラマン。 演出、撮影、編集を一貫して行う新世代クリエイター。 映像を趣味で始め、3年前に学生をやりながら、フリーランスの道へ。SNSのコンテンツを作るところからはじまり、今では広告業界に身を置きながらも、新世代クリエイター代表として、発信を続ける。
WEB●http://www.howardfuruta.com/
取材・文●松岡佳枝
●ハワード・フルタさんの作品
メルペイ コンセプトムービー
メルカリが提供する決済サービス「メルペイ」を導入すると身の回りの世界がこう変わるというイメージを具現化したコンセプトムービー。フルタさんは監督・撮影を手がけた。
RUN -TOKYO-
作品撮りのために手がけた映像。Blackmagic Pocket Cinema Camera 4KがBlackmagic RAWに対応し、その検証も兼ねて制作した。編集・グレーディングも自ら担当。
どこにもサンプルのない 映像を同世代で生み出したい
現在23歳のハワード・フルタさんはシンガポール生まれ。自在に英語を操り、監督業の傍ら新しい映像作りのため自らもカメラを持つ。
「10歳で日本に来た時は、英語しか話すことができないまま学校に“放り込まれた”感覚でした。今はネイティブと変わらないくらいには話せます。スノーボードを始めた頃、Instagramも流行り始めたんですが、映像をアップできると言っても、手の込んだものはありませんでした。そこで、iPhone 5で撮ったものを編集してアップするようになったのが4年前です」
当初はスノーボードの映像を残したいよねという仲間うちでの趣味で、大学でも映像の勉強はしていなかったという。
「映像は完全に独学ですね。海外のYouTubeのチュートリアル動画などを見て覚えました。趣味が仕事になったのは大学3年の春です。その当時、スーパーの品出しのアルバイトをしていたんですが、SNSを経由して映像の仕事の依頼がありました。IT企業の新規事業ということで業務提携させていただき、立ち上げに参加。その後はフリーで仕事をしていました。2017年の秋に僕の映像を観たKIRAMEKI(現所属)のプロデューサーから連絡があり、その2時間後には会いに行っていました(笑)。そこで意気投合したんです。実は最初は映像を仕事にしようとは思っていなくて。僕は趣味でも極めたいと思うタイプで、スノーボードもハマったら一緒に行く人がいなくても、ひとりで突き詰めるんです。映像もそういう感じで…。むしろ周りの人たちが“仕事にしなよ”って言ってくれました」
広告業界に若者の力を
新しい映像を作ろうと奮闘するフルタさんのオンラインサロン(有料)には300人以上の読者がいる。
「サロンには映像を自分の仕事にしたい人が集まってくれています。初心者がほとんどです。初心者はスキルやテクニックはないけれど、とても柔軟です。技術のある人はいくらでもいますから、そこに太刀打ちするためには感性や才能、頭の使い方が大事で、いかにクリエイティブな頭を作っていくか、ビジネスの才能をどう磨くか、そういったことをオンラインサロンに毎日投稿しています。僕自身は、広告業界を変えていきたいし、経験がなくても才能のある人が活躍できる場を作りたいという思いがあって、そのためにはもっと優秀な人が増えてほしいし、全体の底上げが必要です。英語をネイティブに操れるのも僕らの世代です。仕事上、英語ができることはアドバンテージがありますし、ストレートにやり取りできます。できることなら仕事の話は英語でしたい(笑)。今後は同世代の若者たちを集めて、世を揺るがす映像を生み出せるチームを作りたい、それがいまの夢ですね」
●最近お気に入りの撮影機材
メインカメラはBMPCC 4K。SmallRigのケージを取り付け、サムスンのSSDで記録するスタイル。キヤノンEOS 5D MarkⅢはタイムラプス撮影などに使用する。GoProも常に携帯する。カメラバッグはLowpro 450AWを使用。
●機材リスト
現場の模様
「メルペイ コンセプトムービー」での撮影の模様。今では監督業がメインだが、案件によっては自らカメラを回すこともある。下写真はゆりかもめの車窓からの風景撮影。
2月からオンラインサロンを開始
オンラインサロンではフルタさんの記事を毎日配信。クリエイターのためのビジネス視点の記事が多いという。サロン内コンテストやミートアップイベントも実施している月額980円から入会できる(https://camp-fire.jp/projects/view/129471)。
●ビデオSALON2019年6月号より転載