多様化する映像クリエイターの制作スタイルを訊く『Videographer’s File<ビデオグラファーズ・ファイル>』堀井威久麿


堀井威久麿

ほりいいくま・1981年生まれ。山梨県出身。大学時代に超伝導工学を専攻するも、映画サークルに所属し独学で映像を学ぶ。卒業後はフリーランスとして、CM・PVからウェディング映像、映画制作まで幅広いジャンルの映像作品に演出・撮影・プロデュースとして携わる。

vimeo●https://vimeo.com/user9004228

文●松岡佳枝/現場写真提供●堀井威久磨、鶴田 和(メディアパーティー株式会社)

 

堀井威久麿さんの作品

映画『まなざし』予告編

ある事件で服役していた父。父は長い受刑生活の中で寝たきりになっていた。事件の影響­から父を憎んでいた娘であったが、ある日出所した父を受け入れざるを得なくなる…。堀井さんは撮影と脚本を手がけた。

 

HOLY PLACE〜Journey in North India〜4K

学生時代から世界各国を旅する堀井さん。これまでに80カ国を訪れたという。ライフワークとして身一つカメラバッグ一つで訪れた旅の記録を『Journey』シリーズとしてVimeoで公開している。

 

映像は学生時代にはじめて 独学で覚えてきた

多彩な映像表現者である堀井威久麿さんは映画の撮影監督や脚本家としても活動する。東北での震災後の警戒区域内の被災動物たちを描いた監督作である短編映画『Sacrifice』はハリウッドで開催された映画祭やヨーロッパ、アジアの様々な国に招待され、高い評価を受けた。

「大学では工学部材料学科で超電導工学を専攻していました。所属サークルが映画研究会で、ソニーのVX2000などビデオカメラが学内にありました。物語を作り、撮影をして、それを映像として落とし込み、ストーリーに仕立てていくのがとても楽しかったんです」

大学を卒業後には映像の道に進もうと心に決めるも、対人のコミュニケーション能力に自信が持てず、フリーで活動を始める。

「人とのコミュニケーションがあまり得意ではなくて、会社に勤めるという選択肢は自分のなかにありませんでした。卒業してフリーで始めたので、師匠と呼べるような人はいなくて、映像に関しては独学なんです。数年間は家電量販店の携帯電話売り場で働きながら、映像の道を模索しているという感じでした」

 

新しい出会いや趣味が 仕事につながっていった

「20代の終わり頃に、海外でウェディングの撮影に出会い、Tomato Red Motionの次石さんに出会ったことで、設立メンバーとして参加させてもらうことになりました。あと、学生の頃から旅にはよく出ていました。20代では日本からエジプトまで3カ月くらいかけてユーラシア大陸を陸路で横断して周ったりしたこともありましたね。これまで80カ国くらいは行っていると思います。海外での旅は自分の作品として公開もしています。ライフワークのひとつですね。インドではドローンを盗まれてしまったこともありました。ただ、海外でのこうした経験が経験が仕事に繋がることもあるんです

堀井さんの手がける作品はウェディングから企業PV、TVCM、映画まで様々。海外旅行の経験を活かし、企画・演出・撮影・編集はもちろんロケーションコーディネートも含めて、制作したこともあるという。

 

モノ作りの根源にあるものは“怒り”

現在は、未だ記憶に新しい戦後最悪の死傷者を出したと言われる“相模原事件”を題材とした劇場用映画『背を向ける(仮題)』の脚本、および撮影監督を務める。

「映画は学生時代の仲間や友人たちと一緒に制作をし、海外の映画祭にも出品したり、海外で上映することもあります。現在進行している映画は相模原事件を題材としたドキュメンタリー的なフィクションですね。社会的な事象、自分自身のなかに何か引っかかりがあったりすること、そういった“怒り”が、こうしてモノを作ることの根源にあると思います」

 

●最近お気に入りの撮影機材


▲撮影機材。メイン機はソニーα7Sとα7Ⅲ。


▲録音機材。ウィンドジャマーはフェイクファーで自作したもの。


▲編集用PCはiMac。Premiere Proを使用。学生時代VJ活動をしていたこともあり、After Effectsでのタイトル制作も自ら手がけている。

 

 

●機材リスト

 

●撮影現場の風景


▲スタジオでの撮影の様子。


▲2016年に公開した映画『まなざし』はGH4で撮影を行なった。

 

 

ビデオSALON2019年2月号より転載