多様化する映像クリエイターの制作スタイルを訊く『Videographer’s File<ビデオグラファーズ・ファイル>』おでん


おでん

神戸で生まれ、神戸を拠点に活動するビデオグラファー。神戸芸術工科大学で工業デザインを学んでいたが、大学3年の終わりに「anti MOVIE」の屋号で映像を始める。長岡マイル氏に師事し映像を学びながら、在学中から映像の仕事を開始。現在はフォトスタジオ[iro]Art Studioに在籍しながら、ミュージックビデオや企業PVを中心に映像を手がける傍らライフワークとしての作品作りにも取り組む。
WEB●https://anti-movie.com/

文●松岡佳枝/写真提供●おでん

商業デザインから映像へ

 企業プロモーション映像や、ミュージックビデオなどを中心に活動するビデオグラファー、おでんさんは、神戸在住。学生時代は家具や商業デザインを学んでいたという異色の経歴の持ち主だ。

 「大学在学中は、家具など商業デザインを学ぶ学科にいました。当時すでに第一線で仕事をしているような先輩がたくさんいましたね。僕自身はYouTubeなど、動画を見るのがとても好きでした。映画もすごく好きだったので、自然と撮る方にも興味が向き、大学4年のころ、独学で映像を始めました。卒業制作は、基本的にみんな“モノ”を提出するんですが、僕は映像を提出しました。メディアにはあまり出ることのない、物作りをする人たちに面白い方がたくさんいたんです。そういう方々をインタビューして撮影・編集し、12人分をまとめました。自分が学んだ物作りそのものをやっている人との関係性も持つことができてメリットも大きかったですね」

 大学卒業後は映像制作を仕事とし、現在3年目。
「大学4年のときに参加した、PVプロボノの短編映像を紹介するイベントに参加しました。映像は独学で、自分にはノウハウがなかったため、このイベントで自分自身がいちばん良いと感じた長岡マイルさんに名刺をいただいて、アプローチしたんです。長岡さんは徳島在住だったので、そこへ行き、同じ家の2階を借りて生活費は神戸で稼ぎながら勉強させてもらいました。映像だけで生計を立てている人のワークフローというものに興味があったんです。長岡さんは15分もの長回しをする人で、自身が思うビジョンを画の中に収め込むまでやめないという忍耐力は影響を受けましたね」

 

将来は短編映画を作りたい

 また、映像制作に関する機材もとても好きだというおでんさんは、自身の出したい色味などに対してもひじょうに研究熱心だ。

 「機材でできる幅が変わると思うんです。ARRI ALEXAは買えないけど、あの色はどこかにあるのではないか、誰かが作っているのではないかとGHALEXというソフトを見つけたり、海外サイトなどをいろいろと探し回るのもとても好きですね。Ari Keitaさんの影響でキヤノンEOS 6Dを買って映像を始め、その後パナソニックのGH5を買いました。レンズはシグマが好きで18-35mm F1.8 DC HSM | Artはメインレンズですね」

 おでんさんは、今年2018年から生まれ育った神戸の街を拠点に仕事をしている。
「神戸で映像を作っている人は、僕の周りにはあまりいないんです。なので、自分自身が頑張ることで、若い人たちが後に続いてくれるといいなと思っています。そして、最終的には短編映画を撮ってみたいと考えているんです。30分の映画を自分の脚本で作ってみたい。そのためには、自分の作れる映像の質、種類を高めていって、いつかそれを制作できるチーム体制も作れればいいなと思っています」

 

●最近お気に入りの撮影機材リスト


▲撮影に使用する機材一式はペリカンケースに入れて持ち運ぶ。メインカメラはGH5。シグマの18-35mmレンズのキレ味のいい映像が最近のお気に入りだという。

●おでんさんの作品

DONA JEEZY / andy toy store “relaa” MV

姫路のヒップホップグループ・DONA JEEZY(ドナジージー)のMV。一見、無作為に見えるワンカット撮影だが、アーティスト縁のアイテムが散りばめられている。

The Magic‐家族編‐

フォトブックと家族の愛を描いた動画。名古屋テレビと宣伝会議が開催した広告動画コンテスト「モノがたりアワード」にてグランプリを受賞。おでんさんは撮影・編集を担当。

●撮影現場の風景


▲DONAJEEZYのMV撮影の様子。GH5とZHIYUN CRANE+を使用。薄暗い部屋のなかで小型LEDライト・リトラトーチを17台使用して、様々なカラーフィルターを取り付けて、ムーディな色調の映像に仕上がっている。

 

●ビデオSALON2018年11月号より転載