動画広告の基本を学び、自分で入稿ができる!イチから学ぶWEB動画広告 Vol.14 TikTokを理解する



久松慎一+ 株式会社援軍

 

 

Vol.14 TikTokを理解する

企業のマーケティングツールとしても拡がってきたTikTok。TikTokの動画で話題になりファンを集める配信者”TikToker”をテレビ等のメディアでも目にすることが増えました。今年3月に収益プログラムや投げ銭機能が日本版のTikTokで始まって約半年。お決まりのダンスや美容、グルメなどさまざまなジャンルでプロフェッショナルのTIktokクリエイターが生まれています。今回はTikTokのマーケティング支援に特化した株式会社Natee(ナティー・https://natee.jp/)取締役の朝戸さんに、最新のTikTokマーケティングについて伺いました。


株式会社Natee 執行役員の朝戸太將さん
聞き手:久松慎一・島田拓(株式会社援軍)

 

今回のインタビューは2回に分けてお伝えします。今回はTikTokそのもののメディアとしての特性と、今回お話を伺った株式会社Nateeについて、TikTokの広告についてをお伝えします。

 

TikTokの成り立ちや特徴

ー 株式会社NateeさんはTikTokにフォーカスしたマーケティング支援会社と伺いましたが、どのような流れで創業されたのでしょうか?

はい。2018年に創業し、その頃はちょうど日本でTikTokが流行りはじめた時期です。女子高生がダンス動画を上げているという程度の捕らえられ方をしていました。

中国ではDAU(Daily Active User / 毎日かならず利用する継続利用ユーザー)が4億〜5億人といわれ、車などの高額商品も販売され、audiやDiorなどのグローバルブランドがアカウントを作り始めるなど、先行する海外のByteDance(TikTokの運営会社)の成長を見て、日本でも必ず拡がると確信しました。

当時、YouTuberのマーケティング会社UUUMが上場するなどYouTubeやInstagramなど他のSNSのマーケティング支援をしている企業は沢山あり、今からでは敵わないと思いましたが、 TikTokに張っているプレイヤーはいなかったのもTikTokに賭けた理由です。

株式会社Nateeは「人類をタレントに」というミッションのもと、企業とクリエイターの両面を支援しています。

ー 現在(2021年9月)、日本の利用者はどのような方なのでしょうか?

ByteDanceが公表している数値ですとリスナーを含めた利用者のMAU(Monthy Active User / 月に1度は利用する継続利用ユーザー)は2019年時点で950万人。10代、20代を中心に見られており、25歳以下が半数で、男女比は4:6で女性の方が多いです。クリエイター(配信者は)25歳以下のいわゆるZ世代がボリュームゾーンです。弊社の登録クリエイターは女性が65%ほどで、若年層女性が多いです。

ー 65%ですか。見ているともっと女性の比率が多いかと思いました

以前は女性がダンスを披露するような動画が多かったのですが、 男性のクリエイターも増えています。今は美容、お金、教育、不動産、ライフハックなど年齢が高い人に向けたコンテンツが増えています。そうなると男女を問わず、認知目的で投稿をするビジネスパーソンも増えています。例えば、「不動産の選び方」「投資の際に気をつけること」などお金に関わる投稿も多数見られるようになりました。

TikTokのクリエイターはほかのSNSも併用して拡散のためにTikTokを使っているのでしょうか?

そうですね。Instagramを利用しているクリエイターが多いです。YouTubeはTikTokより動画編集の手間がかかるので一緒に使っている方もいるし、そうでない方もいます。

SNSを複数使いすることが当たり前の世代で、TikTokはフォロー関係が無いユーザーにもコンテンツが流れるので他のSNSに比べて拡散性が高いという特徴があります。戦略的に行っている人は少ないものの、TikTokで認知を拡げて他のSNSに流すと良い、という認識は持たれています。

ー TikTokに上げたコンテンツが拡散性が高い、というのはどういうことでしょうか?

TikTokは始めたばかりでフォロワーがまったくいなくても200回再生程度はされるアルゴリズムです。その再生回数の中でのエンゲージメント(動画の最後まで見る、ハートマークをタップする、コメントがつく)の程度によってさらに動画の再生数が伸びるかが決まります。

TikTokは動画を見たりハートマークをタップするという行為と、クリエイターをフォローするという行為が一般的なSNSより離れています。フォローしていなくても、過去のエンゲージメントの高いコンテンツのクリエイターやそれに近いクリエイターの動画が流れてくるような機械学習のアルゴリズムが組まれています。

同じ動画SNSプラットフォームであるYouTubeと比べたときにTikTokの特徴はなんでしょうか?

最も大きい違いは、リスナーが「検索するかしないか」です。YouTubeは検索したりおすすめに表示されたサムネイルのなかから再生する動画を能動的に判断します。TikTokはアプリを開いた瞬間からシステムが選んだ動画を自動的に再生します。流れてきた動画を見る・見ない、といった判断/意思表示はするが再生する動画を選ぶことを基本的にはしません。つまり、コンテンツを選ぶと言う面では受動的である、といえます。

一方、YouTubeはコンテンツを選んだあとは比較的長尺のコンテンツでもあり、おすすめ動画が次から次へと流れてくるので、アクションを起こさずにコンテンツを視聴し続けることができるのに対し、TikTokはアクションをしないと延々と同じコンテンツが繰り返し再生されます。そのため次の動画を見るために「めくる」行動を頻繁に行います。視聴態度としては逆に、YouTubeよりTikTokのほうが能動的で、TikTokはアテンションをキープしたまま「気がついたら2時間経っていた」というようなことがよく言われます。またTikTokはクリエイターのコンテンツと広告が平等に流れるため、「広告的ではない」という特徴もあります。

テレビは番組のなかでコンテンツを中断して決まった形式の広告が流されます。YouTubeも広告の形式の自由度は高いのですが、コンテンツの最初や最後もしくは途中でコンテンツを中断して広告が差し込まれます。

TikTokはめくりながら視聴してるなかでコンテンツも広告も等しく1分以内(最近3分以内に緩和)の動画が流れてきます。ですので、見ていた動画のひとつが広告だった、ということがよくあります。出稿側も動画広告を制作する際にはこの「気がついたらこの動画は広告だったんだ」という感覚を強く意識します。

テレビやYouTubeは先述の通り広告がコンテンツのなかに強制的に差し込まれるので、視聴者のストレスにもなり得ます。TikTokは広告が平等に流れてくるので、見る/見ないは自分で判断する(広告を見たくなければ他のコンテンツと同様めくってしまえば良い)ことができます。そのため広告が視聴体験を邪魔することにならず、嫌悪感が薄いと思います。

参考:Press Release:カンター、世界初の「グローバル広告エクイティランキング」を発表 世界の消費者は、TikTok上の広告に好意的

https://www.kantar.jp/solutions/reports/16940

ー TikTokはコンテンツが投稿された日時を表示しないのはどのような理由なのでしょうか? 視聴者として、例えばイベントの告知動画をみても言われた日付が今年(未来)なのか去年以前(過去)のものかが分からないなど不便に思うのですが……

おっしゃるとおり、不便だという話は聞きます。

実は、最近は投稿時刻を見る方法があります。おすすめに流れてくる動画は投稿日時が見られませんが、フォロー中の動画や、クリエイターのプロフィール画面から動画を選択すると投稿日時が表示されます。これは、正式な理由は分からないのですがプラットフォームにコンテンツファーストの思想があり、それには日時は関係ない、その時点でエンゲージメントが高い(興味のある)動画なら投稿された時刻は重要ではないよね、という見せ方で、これはTikTokらしいところです。

TikTokはコンテンツに没入するために不要な要素を画面上から排除しています。TikTokはユーザーの探索よりもAIアルゴリズムをメインにしたプラットフォームなので、とにかく目の前のコンテンツが自分に合うかどうか、という選択に集中させるUX(User eXperience / プロダクトやサービスを通じて得られるすべてのユーザー体験)を徹底しています。

 

▪️投稿時間の表示の見え方

おすすめの動画から、クリエイターのプロフィールページに飛び、過去の投稿動画を見る方法。

 

ー 動画で「結果は次の動画で」と書かれていてもクリエイターのプロフィール画面でその動画がみつけられないこと、ありますよね

はい、めちゃくちゃあります(笑)。最近は動画一覧のなかで自分が再生した動画には再生済の表示が出るのですが、以前はそれすら出なかったので多数の動画を上げているクリエイターの場合はお手上げでした。

ー おすすめに流れてくる動画は投稿時間に関係なく流れてくるのでしょうか?

その通りです。すべての動画が投稿されてからの経過時間間に関係なく等しく評価されます。ただし、最近の再生回数やエンゲージメントの高さで次の10万回再生の露出速度が変わるため、古いコンテンツは自ずとエンゲージメントが落ち、それに伴い露出も抑えられる傾向があります。

 

TikTokの広告の特徴

ー YouTube等他のSNSの動画広告に比べてTikTokの動画広告の特徴を教えてください

・クリエイターのコンテンツと平等に流れてくる
・それによってユーザーの視聴体験を邪魔しないのでストレスを与えない
・広告として、Impressionの効率が良いのとCPCが非常に安い

と大きく3つあると思います。

TikTokの課金モデルはどのようなものですか?

Impression課金クリック課金の2種類があります。

Impression課金(リスナーが広告を見たタイミングで課金される」)とクリック課金(ユーザーが広告をタップし、LP等に飛んだタイミングで課金される)は認知目的で利用し、純広告。クリック課金は運用広告です。

TikTok上の広告という観点では、クリエイターとタイアップしてクリエイターのコンテンツとして動画を制作してアップロードしてもらう、というケースもあります。その場合、お金はタイアップ費用としてクリエイターにお支払いします。

ー 動画広告制作の観点での特徴はありますか?

制作費は一般的にInstagramよりは高く、YouTube等よりは抑えられます。Z世代のユーザーが半数なので若年層にむけた短くテンションの高い動画が多いと思います。また、クリエイターの投稿するコンテンツの延長のように作られる動画も特徴的です。Z世代が多いことの裏返しで、ROAS(広告費の回収率)、LTV(顧客生涯価値)は他のプラットフォームに比べて数値が低く、現状では高額商品の販売には向きません。

グローバルブランドのDiorなどは広告を出稿しており、高額な商品を扱うブランドにとって認知目的には効果があると思います

グローバルブランドはまずUSで広告を展開します。USでもTikTokはZ世代がボリュームゾーンですが、Z世代の消費行動は日本と大きく異なり、Z世代の消費が他の世代に比べと大きく、ビジネスインパクトが大きいです。ちなみにUSではTikTokのMAUは1億人、DAUでも5000万人います。そのためDiorやDIESELなどのグローバルブランドはTikTokを無視できず広告を大量に出向します。当然、それをUS以外の国にも展開します。効果測定は各国ごとに行っています。

参考: TikTok、ユーザー情報を初開示 米国のMAU1億人 世界中で20億DL https://36kr.jp/92383/

 

ー TikTokの動画は国を越えて再生しますか?

ByteDanceの社内で国や地域を区切っていて、まずはその区切りのなかで展開されます。特にエンゲージメントが高いコンテンツや海外のフォロワーが多いクリエイターのコンテンツは、その境界を越えて拡散されます。ですので、大きなバイラル(瞬間的に大きく拡散されること)が起きると日本のクリエイターのコンテンツがインドネシアなどに拡がったり、逆に海外のコンテンツが日本に入ったりすることもあります。

動画が多いので言語の壁を越えて閲覧されやすく、言語の壁を越えて閲覧されやすく、相性が良いと思います。日本のクリエイターで海外のフォロワーが8割という方もいます。

海外のクリエイターをウォッチしているアンテナの高い日本人のアカウントが「次はこれがきそう」と思いエンゲージメントを集めたコンテンツが日本にまわってくる、という流れがあります。

ー TikTokの動画広告に向いた商材は何でしょうか

アプリ・ゲーム・美容商品・グルメが向いていると思います。広告でなくてもTikTokクリエイターに紹介されたカフェがバズるということは頻繁に起きています。

ー TikTokは画質が良くないので美容商品などは細かいニュアンスが伝わりづらいのでは?

撮影するカメラにもよりますが、最近はプラットフォームとしては充分な画質が提供されています。静止画メインのInstagramに比べると動画なのでメイクのbefore / afterがわかりやすいところが指示されています。また、YouTubeの動画は比較的長尺なので、細かいところまで伝えるのには向いていますが、商品紹介の時点で実はすでに離脱されている、コンテンツのなかで違和感ないように商品を紹介したらあまり印象に残らない、などということが起こりますが、ほとんどの動画が1分以内のTikTokは端的にbefore / afterを伝えるような伝え方に向いています。そのため、先述の通り高額商品をじっくり選びたい人には、向いてないのだと思います。

 

 

今回のまとめ!

TIkTokはZ世代が熱中している、いま日本で最も急成長している動画SNS。フォロー関係が無くても動画が拡散しやすく、広告へのストレスも少ないのが特徴です。

最初は“何が面白いの”と感じられるかもしれません。

Z世代になりきって、TikTokインストールしてとりあえず10分間見てみてください。楽しみ方がわかってくると思います。

来月は出稿媒体としての特性や出稿・運用についてお話を伺います。

 

 

VIDEO SALON2021年11月号より転載