動画広告の基本を学び、自分で入稿ができる!イチから学ぶWEB動画広告 Vol.6



久松慎一+ 株式会社援軍

 

 

Vol.6 動画広告におけるベストな表現を探ろう2

今月では一般的にはあまり聞き慣れない「モーショングラフィックス」とは何か、その特徴を実例を交えて解説をします。

 

モーショングラフィックスとは?

商品写真やイラスト、テキスト・チャート(グラフ)など、主に静止画素材を組み合わせ、動きを付けて動画を作る手法をモーショングラフィックスといいます。例えば、株式会社ノジマ では「ノジマのインターンシップ2022が開催!」(実例1)では、30秒のなかで静止画とグラフィックを用いて解説しています。また、Google(実例2)では、顧客向けに解説をしている動画を公開しています。

 

モーショングラフィックスを活用したWEB動画

1.画像やテキスト、グラフィックデザインを使い、早いテンポで展開した構成

インターンシップへの応募を訴求する大学生向けの動画広告。企業の特徴やWEBで参加するインターンシップの内容などをテキスト・テキストで矢継ぎ早に説明し、申し込みボタンへ誘導する。
株式会社ノジマ

 

2.インタビュー映像とデータなどをデザインした図を活用した構成

実写とインフォグラフィック(デザインされた図)を組み合わせ、動画広告の効果や導入の用意さを訴求。言葉だけではわかりづらい、データに基づいた広告効果などをチャートでわかりやすく補足。
Google 広告活用事例(店舗集客:ノジマ様)

 

このように、モーショングラフィックスではテキストを多用し直接的なメッセージを伝えやすく、素材の組み立て方や動きに緩急を付けることでぱっと目を引く動画を作ることが可能です。一方で、尺の長い動画は飽きられやすいのでイベントやセールのPRなど、短く要点を訴求するのに向いています。WEBなどのPR用に制作した素材などを流用することもでき、アニメーションや実写に比べ低コストで制作が可能です。

編集・制作はAfter EffectsやApple Motionなどの映像効果ソフトウェアやAdobe Animateなどのアニメーションオーサリングソフトウェアで作るのが一般的です。

もしくは動画自動生成サービスやクラウドソーシングを利用することで、動画制作のスキルがなくても短期間(数日)かつ安価(数万円程度)に動画制作ができます。

小さな工数で安価に動画を制作できる特長を活かして、2パターンの仕上がりを検証するABテストを行なったり、最初から多くのバリエーションを作成し、機械学習を用いて運用しながら改善したりすることが容易になります。

一方で視聴者は同じクリエイティブの広告をあまり多く繰り返し見させられると飽きて嫌悪感を抱いてしまい、PRとしてROI(費用対効果)が下がり、結果的に逆効果になってしまうこともあります。

SNSの広告出稿のアルゴリスムもこの点を考慮して、出稿頻度を広告の質の指標のひとつとしています。というのも、視聴者にすぐにスキップされやすい動画は質が低いと判断され、インプレッション数(広告が表示された回数)の確保が難しくなるからです。

そのため同じ内容の訴求でもパターンのバリエーションを増やすなどで飽きられずに観てもらえます。動画広告で用いられる代表的な手法はこれまで解説した3つですが、これらを組み合わせた表現の広告もあります。

例えば、2020年2月に公開された大塚製薬公式チャンネルの、ポカリスエットのWEB CM|「バーチャル東京サプライ少女2020 青く駆けろ!」篇 Full Ver.(実例3)では、複数の手法を組み合わせることで、動画広告として新しい表現を積極的に採用している作品となっています。

そのほか、アニメーションの制作コスト削減のために実際の動きのデータを取り込んで「モーションキャプチャ」を用いる手法も定着してきています。代表的なのがVTuber(バーチャル YouTuber)です(実例4)。

 

3.モーションキャプチャによるCGを実写映像に合成した動画広告

実写映像のマラソンランナーにCGの初音ミクなど多彩なバーチャルシンガー達が絡んで展開。BGMの楽曲もバーチャルシンガー達が歌っていてミュージックビデオ仕立てにしている。
ポカリスエットweb movie 大塚製薬公式チャンネル

 

4.モーションキャプチャによるリアルタイム生成アニメーションのVTuber響アオ

トレーニングのイストラクション動画でインストラクターとVTuberキャラクタの響アオがトレーニング。トレーニング後の体をアイスで冷やす、と言うロッテクーリッシュのタイアップ広告
響木アオ-HibikiAo-

 

モーションキャプチャの撮り方は?

モーションキャプチャは、人物の動きのデータを取り込んでアニメーションデータを作成する技術です。

作成したデータを3Dのキャラクターに割り当てることで低コストで自然な動きのアニメーションを作成します。

安価なセンサーを装着し、ビデオカメラやスマのカメラからの映像分析をすることにより、人(アクター)の動きを3Dデータとして取り込みリアルタイムにキャラクターの動きに反映させます。そのため、アニメーションで工数のかかる動きの手付けが不要となり、実写で撮影するのと同じ感覚でアニメーションを作れます。

▲モーションキャプチャを制作する際、アクターには動きをデジタル的に記録するために、着用するセンサーの一例(Perception Neuron)。

 

身振り手振りや首の動きなど大きな動きをモーションキャプチャで作成し、話すときの口の動きや指の動きなど小さな動きを手付けのアニメーション(3Dソフトの上でアニメーションを付ける)で作成するとクオリティが上がります。さらに、リアルタイムに3Dモデルを動かすこともできるので、動画広告に限らずインタラクティブなライブ配信イベントなどの展開も可能です。

また、モーションキャプチャはアニメーションの動きのもととなるアクターは交代も可能。制作スケジュールの自由がきき、撮り直しも途中からやりやすいなど、そうした制作のメリットも大きいです。

これまでは、キャラクターの制作には2次元のイラストと3次元のモデルを組み合わせる知識やスキルが必要でした。2.5次元と言われる、3次元の知識がなくてもVTuberキャラクターを制作し動かすことができるサービスや製品を使うと簡単に始めることができます。

例えば、「Live2D」というソフトウェアを使えば、簡単に2.5次元のキャラクターが作れます。

Live2Dはイラストを読み込ませることで3Dモデルのようなキャラクターを作成します。キャラクターはモーションキャプチャやキーボード入力などを組み合わせてアニメーションが作れます。

ただし3Dモデルと異なりカメラの角度は限定的で、角度を付けて横から、後ろから、といった撮影はできません。

3Dモデル同様にリアルタイムに操作が可能なのでイベントなどにも活用ができます。対話型の看板や広告であるインタラクティブサイネージや、ソーシャルゲームのキャラクターなどにも活用されています。もととなるイラストは髪や顔などをパーツごとに描き分ける、輪郭線の使い方など一般のイラストと異なるコツが必要です。

Live2Dのソフトウェアを開発者したLive2D社が制作業務を受け付けているほかに、クラウドワークスなどのクラウドソーシングサイトにLive2Dモデルの制作実績のあるクリエイターが多数登録されています。初めて取り組む場合は、制作やディレクションをLive2Dの扱いに慣れたクリエイターに依頼するのもよいと思います。クラウドワークスなどで探す際は、「Live2D」タグや「Live2Dモデリング」ワードで検索すると見つかりやすいです。

 

Live2Dを使ったアニメーション

2Dの立体表現をする Live2D

イラストをもとに3Dモデルのようのようなアニメーションを生成するソフトウエア。Adobe AfterEffectsやPhotoshopと連携することもできる。
Live 2D https://www.live2d.com/about/

 

実際の人物をキャラ化した構成

岩手県久慈市の市長と副市長をキャラクター化し、本人の声とあわせてアニメーションする。一度モデルを制作してしまうとコンテンツの追加は容易で低予算で高頻度の発信が可能となる。
「市長くんと副市長くんin久慈にゅーす」市日篇

 

 

今回のまとめ!

実写、アニメ、モーショングラフィック。PRの内容によって使い分けると視聴者に響く動画となる。

広告の表現方法は通常化せず、大きく技法を変えて目新しさを演出するのも
視聴者と長く付き合ってもらえるためのひとつの方法といえる。

 

今月のTIPS

オーディエンスマネージャーを活用する適した配信先に広告を出す

一生懸命制作した動画広告。あてもなく配信したり、観てもらえるかわからない配信をするのは避けて、きちんと観てもらえるターゲット層に配信したいものです。「Google広告」の「オーディエンスマネージャー」を使えば配信先を設定することができます。

広告のターゲティング設定を知り、動画に適した配信先をみつけるには

動画の内容と同じくらい重要なのが「誰」に向けて広告を配信するのかという点。一般的なところでは、年齢や性別や住んでいる地域などの基本的な属性をもとに配信が可能です。例えば学生に向けてゲーム広告を配信したり、女性に向けてファッション広告を配信したり。また基本的な属性以外に「興味関心」を軸に広告配信することも可能です。

 

適した配信先に広告を打つには?Google広告のオーディエンスを設定する

Google広告 オーディエンスマネージャーとは

oogle広告とは、Googleが提供している広告主向けの出稿サービスで、オーディエンスマネージャーとは、そのなかの機能のひとつです。Google広告のツールは、誰でも扱うことができます。下記に実際に設定できるターゲティングの一例をご紹介します。例えば買い物好きの方に広告を見せたい場合、バーゲンハンターやブラックフライデーに買い物を選びます。

Google広告オーディエンス設定画面。たくさんあるオーディエンスから選ぶことができる

 

実際に配信できるターゲティングの一例

Google:ユーザーの興味関心をもとにターゲティングが可能
□バーゲンハンター □ハイテク好き
□ブラックフライデーに買い物 □在宅ワーク
□モバイルファン □旅行好き など

Facebook:既婚/独身など具体的な情報をもとにターゲティングが可能
□結婚 □オーナー経営者
□独身 □部長 など
□交際中

GoogleやFacebook等、媒体によって設定可能なターゲティングは異なります。動画広告を企画・作成する際に、観てもらいたいターゲットを意識されているかと思いますが、ターゲットがどの媒体のどのターゲティングにフィットしているのかを考えて適切に配信しましょう。

■動画事例
「旅行検討中」の見込み顧客にリーチ
https://ads.google.com/intl/ja_jp/home/success-stories/fujinoyu/

 

動画広告を企画、制作する際には、多くの人に観てもらうことはもちろんですが、ターゲットに高確率で観てもらうことによって、成果を上げることができます。制作した動画の配信手段のことも念頭に入れておきましょう。

 

 

VIDEO SALON 2021年3月より転載