月刊誌「ビデオサロン」で連載中の読者投稿コーナー「魁!! ビデオ道場」では、毎月1作品を「大賞」、次点の数作品を「入賞」としてセレクト。大賞受賞者には金2万円ほか、大賞・入賞および掲載作品にもその栄誉をたたえてステッカーを贈呈しています。詳細は誌面をご覧ください。
今回は2013年6月号掲載の作品を紹介します。
音楽著作権の関係で掲載できない作品があります。ご了承ください。
審査/解説◉岡野 肇
大賞「爺ちゃんの特訓」高橋陽さん(東京都八王子市)
一見、普通のハウツービデオかと思いきや、お爺ちゃんの愛情たっぷり、かつ、映像センス抜群のユニークな作品です。補助輪外しのカリキュラムも素晴らしいですが、なんといっても置きカメラを駆使してのアングルの豊富さ、構図の良さが秀逸。シンプルですが小気味良くてほのぼのさも隠し味の作品として「大賞」を授与します。
入賞「素人芝居~白雲座歌舞伎」山岸太一さん(東京都世田谷区)
渋いネタを持ってきましたね。でも興味深い内容です。庶民が生み、育てた芝居小屋。それを復活させて繋いでいく。そんな姿を見る側の視点に立ったナレーションと映像が何とも素晴らしい。回り舞台の駆動部分の撮影等、2カメでがんばって撮影しています。山岸さんの愛の感じるドキュメントを今月の「入賞」とします。
「港町神戸」広瀬友三さん(兵庫県加古川市)
広瀬さんの実景カットはいつも晴天で雲の形も良いのですが、何度も通っていらっしゃる賜物なのでしょうか? そしてとにかく広角と標準画角のつなぎのメリハリがいいですね。さらに時折挿入されるインサートカットも目を引きます。題材としては多くある神戸の街ですが、作者の視点でうまく切り取っています。
「青森の旅 十二湖の美しさ」松井秀夫さん(福岡県北九州市)
アバンタイトル(タイトルが出る前)が良いですね。選りすぐられたカットを丁寧につないで、「詩的」であり、かつ自然でわかりやすい構成。音も「ALIVE(BGM)」「現場音」「津軽三味線」のメリハリが利いています。
「めざせ! 未来の料理長」河合典之さん(三重県松阪市)
恒例の幼稚園児の料理実習。河合さん得意のハンディ・広角ショットは、かわいらしいショットの連続で、目を離せません。そんなお得な「ネタ」ですが、さすがの作者の料理術で見事に魅せてくれています。
「真冬に和傘咲く」小屋忠男さん(石川県金沢市)
ローカルニュース寝たという意味ではうまくまとまっています。欲を言えば何かもう一視点加えて深みをだしたいところ。思い切ってこの半分の尺に凝縮させるか、もっと傘をイメージ的に魅せる部分を加えるのはいかがでしょうか。
「甦る国指定重要文化財 渡邊邸」渡辺俊雄さん(東京都多摩市)
米沢藩にまで融資していたという豪商の保存住宅、渡邊邸の紹介作品。「雪」が良い具合に華を添えています。日本家屋を美しく見せる繭玉の逆光カットも映えています。日本家屋はこの逆光の使い方が「キモ」ですね。
「いばらき光回廊」森田英人さん(大阪府大阪市)
目的がはっきりしていて、ブレのない作品に仕上がっています。このイベント全体を短時間に把握できて記録作品としては申し分ありません。イルミネーションをじっくり見る部分がいくつか上手に挿入してあるとよかったですね。
「深大寺節分会」田中憲司さん(東京都調布市)
撮りづらい環境でも、多彩の映像表現に挑戦するのが田中さんの真骨頂。特にフィッシュアイでのアングルが混雑の中のゆとりを感じさせます。季節を分けるという意味を活かしたメインタイトルに座布団一枚差し上げたい気持ちです。
「山岳作品上映会 開演します」吉野和彦さん(長野県松本市)
師と仰ぐ立石氏とのコラボ上映会を軸に、作者の山岳自分撮りスタイルへの執念とともに、その魅力が充分に伝わってきます。上映映像もそうですが、この作品もコンセプトのしっかりした仕上げで、とても好感の持てる作品です。
「秩父神社と秩父夜祭」関口 豊さん(埼玉県狭山市)
ロケハンを含めて何度も足を運んでの作品作りには感服。日光東照宮を彷彿とさせる左甚五郎作の秩父神社の彫刻だけでも見る価値あり。屋台の紹介等マメな撮影も功を奏しています。作者の努力を感じる作品です。
「親緑③ SHINRYOKU」金谷功さん(京都府京都市)
親緑シリーズを作り続ける金谷さんの新作は、幼稚園児の列をモチーフにしたイメージ作品。テーマを掲げたことで統一感が出ました。広角ショットと移動ショットにもっと磨きをかけていただきたい。次回作も期待します。
「六義園のしだれ桜」木村精二さん(東京都北区)
庭園を訪ねるシリーズ。名物のしだれ桜を中心に、庭の魅力や夜桜まで、じっくりと作られていますね。見ていて落ち着いた気分になります。ナレーションの声の周波数がちょっと狭い感じがしました。収録方法にご一考を。
「雪・のち ちいさな春」庄 寛さん(福岡県宗像市)
ムービーとデジカメ写真のコラボ作品。早春賦のメロディに載せて公園の小さな春を紡いでいきます。デジカメも巧く使って美しい画面ですが、何かもう一つ「動き」を感じる「画」を加えると作品が広がりますよ。
◆この動画に関する記事はビデオSALON2013年6月号をご覧ください
http://www.genkosha.co.jp/vs/backnumber/1158.html