月刊誌「ビデオサロン」で連載中の読者投稿コーナー「魁!! ビデオ道場」では、毎月1作品を「大賞」、次点の数作品を「入賞」としてセレクト。大賞受賞者には金2万円ほか、大賞・入賞および掲載作品にもその栄誉をたたえてステッカーを贈呈しています。詳細は誌面をご覧ください。今回は2013年10月号掲載の作品を紹介します。
(9月20日追記・診断室作品を最後に加えました)
大賞「増上寺」小高雄平さん(神奈川県横浜市)
モノトーンをイメージするピアノのBGM、時代を超えタイムスリップさせる風鈴の音、そして立体的な広角と横長のスコープ画面。なにか「別」の時間と「架空」の場所でのゆったりとした日々を想像します。そこに現れる東京タワーの現実感。そんな午後のシエスタ(お昼寝)の白昼夢のような作品。タイトルからは思いもよらない作品でした。文句なしの大賞です。
入賞「木曽路から あなたへ」真田玲子さん(東京都八王子市)
「あなたへ」と言われると、ドキッとしてしまい、それだけで期待してしまいますが、その期待を裏切らない雰囲気のある作品。1本の保存された街道筋という限られた被写体を、実に細かく、そして上手く切り取っています。編集は単調ではありますが、それもまた当時の雰囲気を感じさせてくれます。
入賞「京都伏見 十石舟 運行中!」國方英二さん(三重県名張市)
1カット1カット、見事な構図でお腹いっぱいになってしまいました。京都伏見の季節の花と十石舟。そこだけにスボットを当て、構図で見せる思い切った作品です。メインディッシュが並んでいるので贅沢にもデザートと1杯のコーヒーが欲しくなりました。つまり箸休めのシーンがあるともっと良かったですね。
「目黒川お花見クルーズ」木村精二さん(東京都北区)
目黒川を遡上しながらのお花見クルーズ。つまり、ほとんどが船からの移動ショットだけの作品なのですが、要所要所のテロップ、そして程よい量の蘊蓄ナレーションが実に効果的。画が単調になるのを忘れさせてくれます。ただ、天候と光線の関係でしょうが全体的にコントラストがきつく、少し暗めになってしまったのが残念です。
「UFOからこんなハクイものに」山本勝久さん(三重県津市)
日本のスミソニアンか? と思わせる石川県の公共博物館。あんなものもこんなものも、言葉は悪いですがうさんくささと驚愕の「ネタ」。よく見つけてきましたね。とにかくこの「ネタ」中心で見せる訪問記。ちょっと特殊効果の細かい部分の「雑」なところが気になりますが、そんなこと気にせず一気に見ました。
「御巣鷹の尾根から高天原山、大蛇倉山」吉野和彦さん(長野県松本市)
1985年の惨事への鎮魂登山記。作者は墜落現場である御巣鷹の尾根とその周辺の山々を登ります。遺族の高齢化で登れない方々に変わって、作者の撮り方である「自分撮り」で淡々と登る姿と手を合わせる姿に感動。
「松阪の日」河合典之さん(三重県松阪市)
手作り甲冑隊大活躍の月に1度の29日(松阪にくから)「松阪の日」。作者得意の色々なアングルを駆使してのハンディ撮り作品。客観性という意味ではとてもよく伝わってくるのですが、作者の思いや感想も知りたくなってきます。
「浦佐裸押し合いまつり」渡辺俊雄さん(東京都多摩市)
巨大な和蝋燭が印象的な裸の男たちによる夜祭り。味わいのあるナレーションでじっくり拝見しました。なかなか良い位置で撮影していました。これからというところで終わった印象ですが、撮影が難しかったのでしょうか?
「坂折棚田 田の神灯まつり」大矢治朗さん(岐阜県安八郡)
手作り感溢れていて素朴でいい行事。夜になり幻想的な風景が広がりますが、夜ということもあり撮影もあと一工夫、もう少しだけ明るく撮りたいと思ってしまいます。撮影時の増感と編集時のレベル補正を検討してみてください。
「安比高原 春から夏へ」小野寺久夫さん(岩手県八幡平市)
マルチスライド風のアバンタイトルに続いて、安比高原の幻想的な風景。かなり厳選されたカットに見受けられますが撮影に何日もかけておられるのでしょう。やや現実感が乏しいので、もう少し生き物のカット等が欲しいですね。
「小樽点描」高田義久さん(北海道札幌市)
港、運河、SLからにしん御殿まで、小樽の魅力を誠実に切り取った街の紹介作品。各カットとも常に動いていて、パンの連続でつないでいくところは面白いのですが、1つのカットにパンとズームが共存しているのは気になりました。
「新緑⑦SINRYOKU 森林浴」金谷功さん(京都府京都市)
今回のテーマは「森林浴」。アメージング・グレースにのせて、まばゆい新緑がまぶしいくらいです。さりげない散策している人たちの仕草が、良いアクセントになっています。同じ場所とタイトルで作り続ける作者の奮闘に拍手します。
「優衣と怜 海辺のバーベキュー」広瀬友三さん(兵庫県加古川市)
一般的にビデオの第1目的は「子供の成長記録」なのですが、この道場にはホームビデオ作品は極端に少ないです。そんな中での貴重な作品。編集で上手く構成、味付けがしてあります。最後の静止画の出演者紹介も良いですね。
「マグノリア」田中憲二さん(東京都調布市)
マグノリア(タイサンボク)のみにフオーカスをあてた作品。丸い大きな花は見応えもあり、純白がまぶしくきれいに表現されているのですが、あとは作者のこの花への思いが聞ければ納得の作品になると思います。
【診断室作品】「inori 祈り pray for the・・・」尾内敏彦さん(群馬県前橋市)
◆この動画の記事は9月20日発売のビデオSALON2013年10月号をご覧ください。
http://www.genkosha.co.jp/vs/backnumber/1195.html