まるで3DCGのような映り込みを簡単に作る
作例/テキスト
中村友彦(株式会社バニラインク)
第5回 まるで3DCGのような映り込みを簡単に作る
第5回の作り方
●After Effects CS5.5とFinal Cut Pro Xが発売されました。早速インストールして悲喜こもごもあるでしょう。しかし、テクノロジーは日々進化します。クリエイターは何のツールを使ってもいいのですが、過去に戻ることはもうないのです。自分が進化するために、どんどん新しいツールを使いこなしましょう!
今回は「映り込み」テクニックです。テキストだけではなく、様々な場面で応用できるでしょう。まず、タイトルを作ります。今回は1920×1080のHDサイズですから、テキストをセンターに合わせるため、その中心を「x960、y540」にします。テキストを「command+D」で複製し、ショートカット「command+S」でスケールのロックを解除して「y」のみ「-100」に設定します。これで鏡面側が簡単に作れます。
「command+y」で黒の新規平面を作り、3Dに設定します。これが床面です。「command+R」のローテーション設定で「x」のみ90°回転させます。レイヤーの区別がつくように、鏡面側のテキストには名前をつけておくとよいでしょう。その上に床面、そしてテキスト本体という順番でレイヤーを重ねておけば位置関係を把握しやすいでしょう。一番下には新規平面を黒で2Dのまま置きます。2Dだとカメラが動いても3D空間上で見切れることなく黒の背景を作ることができるからです。
次に新規カメラを35mmレンズで設定。床面の透明度を60~70%にしてカメラを動かすと、床に上のテキストが映り込んだような映像になりますね。これはテキストだけではなく、素材は何でも同じ理屈でこうなるわけです。
さらにクオリティを上げましょう。鏡面側に「ブラー(ガウス)」フィルタをかけ、新規マスクを設定。ショートカット「mm」でマスクを調整し、テキストの下側だけがグラデーションで黒になるようにします。さらにこのレイヤーを複製して区別ができやすいようにマスクの色を変更します。このレイヤーからはブラーフィルタを外します。先に作ったボケあしよりも狭くしていくと、最終的に緩やかに底に向かってボケながら黒にとけ込んでいく表現が完成します。これはあたかも床面に微妙な凸凹が存在し、映り込みが乱反射しているようです。
さらにもうひとつ追加しましょう。上側のテキストを複製して、ポジションを1ピクセルだけ上げます。この場合、ポジションは「x960、y539」。「y」の数値をマイナス1にすれば、1ピクセル上げたことになります。これを90°回転します。スケールの「y」だけを50%にして「ブラー」フィルタをかけ、ブラーの数値を大きくします。透明度を50%くらいにすると、さらにまた床面の質感がプラスされたように感じませんか? カメラを動かすとより分かりやすいでしょう。
何もない黒い世界にテキストの鏡面を表現するだけで、見る人にテクスチャーを感じさせることができるのです。3DCGアプリで同じことを表現するよりも軽く速く作ることができます。さらに追求する場合は、ポイントライトを作り、輝度を上げてカメラと共に動かして遊んでみましょう。