文●川井拓也

株式会社ヒマナイヌ代表。配信チームLiveNINJA主宰。Ustream黎明期からマルチカメラによるライブ配信や収録を手がける。筆者のブログ●http://himag.blog.jp/

※この連載はビデオSALON 2018年3月号に掲載した内容を転載しています。

 

Vol.023 ハンディカムとソニー純正リモコン付き三脚で業務機並のスローズームを実現!

 

◉4KハンディカムAX45を業務機並に使いこなすには?

マルチカメラ収録&配信の現場では、複数台のカメラを使います。同じメーカーの同時期に発売されたカメラを複数台買うのがもっとも色合わせしやすいのですが、それだけに機材の買い替えは悩みます。そこで注目しているのが10万円で買える4Kハンディカム・ソニーAX45です。4台買っても40万ですから業務機1台分の値段で4台買えます。AX45はホワイトバランスを数値で合わせられないもののWBシフトは搭載しています。露出、絞り、シャッターなども一通りマニュアル操作もできるし、「これは使えるかも?」と思いました。あとはズームリモコンです!

空間式手ブレ補正を搭載し、4K対応のお手頃ハンディカム

ソニー
FDR-AX45
オープン価格(実勢10万円前後)
ソニー4K対応ハンディカムのエントリーモデル。専用開発の1/2.5型裏面照射型CMOSセンサーを搭載。レンズはツァイスバリオ・ゾナーT。26.8~536.0mmの光学20倍を備え、画質劣化のない全画素超解像ズームでは最大40倍ズームに対応する。64GBの内蔵メモリも搭載。

 

◉スチル向けっぽいRM-VPR1より VCT-VPR1のほうが動画向き!

着脱式のズームリモコン付き三脚

ソニー
VCT-VPR
10,500円(税別)
取り外し式リモコンが付いたハンディカム等のソニー製品専用三脚。耐荷重は3kg。

純正のRM-VPR1というリモコンは、以前この連載でネオ一眼のRX10と組み合せてレビューしたのですが、とても使いにくいのです。ズームにストロークがなく満足なカメラワークができません。そう思っていたところ、家電量販店の三脚売り場でVCT-VPR1というソニー純正のリモコン三脚を見つけました。売り場でもこれ触ってみるとズームレバーのストロークが長く、粘っこいカメラワークがハンディカムでもできるかも! と今回レビューすることにしました!

 

VCT-VPR1リモコンのボタン配置

1/電源・RECランプ、2/電源ボタン、3/GRID LINE(構図ガイド表示)、4/シャッターボタン(静止画)、5/RECボタン、6/ズームレバー

 

◉リモコンを買いたいのに三脚がついてきてしまう謎の商品!

VCT-VPR1はハンディカムのアクセサリーではリモートコマンダーではなく三脚のカテゴリーに分類されています。リモコンとしては単体で売っていないので、三脚として買うしかありません。しかし、実売1万円程なので、三脚部分は3000円ぐらいでしょうか? パン棒と一体化しているように見えるリモコン部分は、実は取り外せます。自分の手持ちの三脚に強引にくくりつけて使うこともできるわけです。リモコンとカメラをつなぐ端子は現行ハンディカムに準じたマルチ端子です。ボタンは電源ON・OFF、録画スタートストップ、グリッドライン表示、ズームに加えて左側面にはスローズームON・OFFのスイッチがついています。なんか意外に多機能!

▲側面にはSLOW ZOOMのON/OFFスイッチと三脚のパン棒からとり外すPUSH RELEASEボタンが設置されている。

▲カメラとリモコンはソニー専用のマルチ端子を採用。

 

 

◉ズームレバーはストロークがあり可変ズームも決まる!

AX45本体についているズームレバーは可変ズームができると言ってもストロークがほとんどないのでテイク中のカメラワークには使えません。でもこのVCT-VPR1のズームレバーは上下にかなりストロークがあるので、可変ズームが決まります! 業務機ほどのスムースな段階はないものの慣れてくれば、かなりカメラワークできます。さらにサイドにあるスローズームをオンにすると可変ではなくもっとも遅いズーム速度に固定されます。ズームしはじめの速度調整はキヤノン機のように調整できないものの速度は相当ゆっくりなので、テイク中のカメラワークにも使えそうです。

 

◉民生ハンディカムにVCT-VPR1の組み合せはあり!

今やステレオミニのリモート端子を装備してるのはAX700のみ。その他の現行ハンディカムはすべてマルチ/マイクロUSB端子です。この端子に対応したリモコンとしてVCT-VPR1は多機能で充分使えます。ハンディカムのアクセサリー売り場でも目立たない存在ですが、面白い存在です。カメラ本体のズームレバーに嫌気がさしている人はぜひ試してみてください!

 

●この記事はビデオSALON 2018年4月号 より転載