取材・文● 編集部 片柳、村松美紀 

福島県生まれ北海道育ち。東京都都内在住。モーショングラフィックス、イラストやデザイン、アニメーション、3DCG、デジタルアートなど様々な表現を行う。2021年からインターネットで作品を発表中。

ひろつぐ’s PROJECT introduction

キャラクターデザインと光にこだわったショートムービー

『moil』
質素な生活を送る女の子の一日を表現した、43秒のショートムービー。

「制作期間は4カ月ほどで、その半分をキャラクターづくりに費やすなどビジュアルにこだわりました。ビジュアル制作とアニメーションはBlenderで行なっています。初のキャラクターデザインだったので奮闘しました。10代後半〜20代前半の女性という設定で、最初は萌えキャラのような造形でしたが、デフォルメを重ねた結果、5〜6等身の造形になりました。顔や眉のパーツなど細部を詰めて、キャラクターの印象やバランスを見てパーツを作成していきました。

また陰影にも気をつけて、顔はシャドーマップでイメージする影を描いて直接貼り付けています。また、不自然な箇所に影ができることを防ぐために、プロジェクトの見えないところに光源を複数個設置。多方向から照らすことでより自然に見せています。

コンポジットや撮影はAfter Effectsを使っています。橋のシーンでは奥から手前に引くカメラワークを活用し、画面全体が太陽光で白くなったところで場面転換をする光の演出を入れました」

◆ひろつぐとはどんなクリエイター?

ひろつぐさんは、VPRuberプロダクションで映像制作を担当したのち、現在はフリーランスの映像クリエイターとして活躍。大学在学中に音楽制作の面白さに惹かれるが、のちに映像の世界へ移行することとなる。

「当時、音楽ゲームや打ち込み系DTM音楽が流行り、音楽や作曲を生業にしようと勉強しました。また、メディアに関する興味の幅を広げるために、卒業研究に取り組んだり、プログラミングやコーディングを学んだり、音楽以外のことも学びました」

そして大学3年生の頃、動画制作の第一歩を踏み出すことになる。「After Effectsを使用する動画作成の授業を受けたことと、曲に連動するモーショングラフィックスをタッチして遊ぶ音楽ゲームが世間でブームになったことに影響を受けたんです。ゲーム音楽を通して映像って良いなと思いましたし、仕事や自主制作でもっとやりたいと思えました。視野を広げようと自ら行動したことがきっかけで動画と出会い、それが僕にとっての転機となりました」

現在は映像クリエイターとしてデジタル上の表現を得意とし、モーショングラフィックスやアニメーション制作を中心に活躍。ライブ映像やMV、CM制作、さらに講師業なども請け負う。さらに現在は、アナログな表現にも興味があるというひろつぐさん。「先日は、動画に映るものを手描きでなぞる手法のロトスコープをMVで使いました。他にもコマ撮りもやってみたいですね」と実写などフィジカルな表現にも意欲的だ。「このように興味が移り変わっていくのが僕らしいと思います。色々なことにチャレンジをして、行動とフィードバックを繰り返しながら見聞を広げ、制作活動をしていきたいです」

さらにひろつぐさんは、「生成AIがアニメーションで使われることも多いので、実写とデジタルを駆使したアウトプットもしていきたい」とジャンルを横断して挑戦していくと話した。

主な機材・ツール

作業環境

VIDEO SALON 2024年5月号より転載