第10回 全国に広がるコミュニティを可視化するヒマスタ型スタジオ

写真・文◉川井拓也(ヒマナイヌ)

 

スタッフゼロで マルチカメラ配信ができることが話題に!

これまで出演者以外に誰かテクニカルなスタッフがつきっきりでなければできなかったマルチカメラによるライブ配信。「自動スイッチング」と「切り返しアングル※」を使った対談スタイルを組み合せることで、出演者だけで運用ができるようになりました。

最近、この可能性にピンときた人達が日本各地にヒマスタ型スタジオを作り始めました! 元々ヒマスタの機材構成や日々のチューニングはhimag(http://himag.blog.jp/)というブログに掲載しているので腕に覚えのある人はそこから機材リストを読み解き、自分なりにアレンジを加えてスタジオ構築し始めました。2018年にはつくば、半蔵門、渋谷、池上、更別に配信スタジオが立ち上がりました。

※会話している二人を交互に撮ること。カットバックとも言う。

 

機材の選定から設置、 番組立ち上げまで並走するコンサル業務も開始!

機材やライブ配信に詳しくない人々からも、既に稼働しているイベントスペースやコミュニティスペースにヒマスタ型のライブ配信システムを導入したいという依頼も増えるようになりました。

コンサルメニューも作り中目黒・永田町・代官山・名古屋・札幌などにもスタジオを立ち上げに行きました。中古機材を使った80万からすべて新品を使った250万まで機材構成はそのスタジオのコンセプトに合わせて柔軟にアレンジ。価格の幅は主にカメラ部分でGH5の新品を使うとボディ1台18万が4台で72万、中古のGH3なら3.5万が4台で14万という具合です。

スイッチャーや配信エンコーダーなどの中核機器の構成は同じなのでコンパクトなワゴンに設置し、屋内であれば気軽に移動して使えるように工夫しています。

 

さらに新聞販売店に ヒマスタ型スタジオを作る新しい動きも!

ヒマスタ神田店でレギュラー番組を持っていたMIKAWAYA21の青木社長に「このシステムは新聞販売店の未来を変える!」と声をかけていただき、共同で販売パッケージにしたのが新聞販売店の一角にヒマスタ型のライブ配信スタジオを作るというメニューです。

毎朝毎夕欠かさず地域に新聞を配布する新聞販売店は古くからあるビジネスモデルですが、MIKAW AYA21はその地域密着型の特性を活かしてエアコンの掃除や高齢者のちょっとした用事を代行する「まごころサポート」というサービスを提供しているのです。

今回の販売パッケージは、そのコンセプトを一歩推し進めて「井戸端会議の可視化」と「動画版の回覧板」をライブ配信でサポートしていこうという流れ。毎月2箇所くらいのペースでスタジオが生まれており、地域特性あふれる情報発信がはじまっています。

テレビのバラエティを真似て、カメラ目線で芸能人のようなテンションで話すライブ番組が多い中で人と人が自然に会話する様子を映画的なカメラワークで可視化するヒマスタ型がジワジワと受け入れられているのは興味深い現象です。次回はVR-1HDによる音声連動自動スイッチングをご紹介します!

 

筆者がコンサルを手がけた名古屋の配信スタジオ

▲筆者がコンサルした名古屋のヒマナイヌ型スタジオ。

▲ヒマスタ型システムはワゴン型のコンパクトなスタイルが特徴。


▲名古屋の新栄町にできたヒマスタ型スタジオのテスト配信映像より。

 

気になる製品をチエック!


サンワダイレクト『400-SW030』24,800円(サンワダイレクト限定商品)

安価な切替器ながら自動スイッチングができるということでテストしてみました。リモコンにはオートスキャンという名前で1/3/5/7秒のボタンがついていて入力ソースをiかpに揃えれば切替ショックのないスイッチングができます。ただし左上に表示されるソース名を消せないのでタイトルを乗せて隠すなどの後処理が必要です。4入力のうち3入力にしてもスキップはしてくれず黒味になります。iとpを混在させると切替ノイズが出ます。特性を理解して工夫すれば自動スイッチングやクアッド表示ができる簡易スイッチャーとして使えるかもしれません。

▲4面マルチ映像の映像。


▲リモコンにはオートスキャンの間隔を設定するボタンを搭載。

▲背面にはHDMI4入力と1出力を備える。

 

ビデオSALON2019年5月号より転載