中嶋志朗
2001年に都内でモーターサイクルショップ「リトモ・セレーノ」を設立。空冷2気筒のBMWをカフェレーサーにカスタムするスタイルを世界的に広めたことでも知られる。2014年より八ヶ岳南麓に46worksをオープン。バイク・車のパーツ製作やオリジナル・ファニチャーの制作も手がける。昨年から本格的に開始したYouTubeチャンネルは、わずか半年で登録者数10万人を超え、美しい製作工程の動画は国内外の視聴者に支持されている。 WEB●https://46works.net/
文●笠井里香/写真提供●中嶋志朗
中嶋志朗さんの手がけた作品
[A’s BMW vol.3] Making of wheel hub for BMW R100RS 削り出しホイールハブの製作
アルミの塊から精巧なホイールハブを削り出す工程を描く。映像の色味も一から作り上げ、テロップも極力減らすことで作業そのものに引き込まれる。作業音も効果的に盛り込まれている。
[DIY] 事務所のDIYリノベーション DIY Renovation of my office
オフィスのリノベーションの模様を記録した動画。ホームセンターで購入した材料で素敵なオフィスを作り上げていく。中嶋さんがはじめてバズを体験した動画だという。
イベントのBGVをと始めた映像がYouTubeで成長
46worksの中嶋志朗さんは、元・二輪雑誌編集者、プロのギタリストという顔も持つオートバイのカスタムビルダー。70-90年代のBMWやMoto Guzziなど欧州車を中心に扱うショップ『リトモ・セレーノ』の経営を経て、八ヶ岳山麓に46worksを立ち上げた。中嶋さんの原点でもある「ものづくり」を本格的にYouTube上で発信するようになって1年。その映像作りについて伺った。
「雑誌編集者として働いていたこともあり、カメラがもともと好きだったり、スチル撮影の現場にいることも多く、カメラの基礎知識は以前からありました。映像を作り始めたのは3-4年前。毎年横浜で行われるホットロッドショーにオートバイを出展していて、その会場でBGVのように流そうと思ったのがきっかけでした。カスタムバイクは完成品を置いて見せるだけでなく、その制作過程のストーリーを見ていただくと面白いし、説得力があると思うんです。それで初めて動画を撮りました」
その後、YouTubeを本格的に始めたのは2020年のこと。
「いま、自分のやっていることを発信していくうえで何がいいかを考えたとき、自分のメディアを持って発信していくのがいちばんいいかなと思い、YouTubeをしっかりやって、このチャンネル自身が影響力を持つようになれたらと本格的に始めました。最初は知人や友人が見てくれていましたが、この1年でそれ以外の新しい層に浸透してきたなという実感はありますね。カスタムのオーダーも増えましたし、何よりイベント会場やサーキットで声をかけていただけることがとても多くなりました」
映像の視聴後感の良さは音楽の力も大きい
もともとものづくりが好きで、バイクのカスタムはもちろん自宅のリフォーム、映像制作もすべて気持ちは同じと話す中嶋さん。映像制作へのこだわりを聞いてみると。
「音楽をやっていたこともあり、選曲や、映像と音楽のマッチング、タイミングにはとてもこだわっています。映像がそこそこでも音が良いと意外と見られると思うんです。それから、作業音。例えば工具の音とか、バイクの走行映像ならエンジン音もいい音で録りたいと努力しています。
ものづくりを映像にしようと思ったとき、最初にこんな風に作ろうと影響を受けたのは『Peaceful Cuisine』さんで、これのバイク版を作ろうと思ったほどです。作業を紹介している映像を見て、自分自身の仕事を撮影することでできるかもしれないという可能性を感じましたし、重要なのは映像のネタに困らずに続けられること。ネタがなくなってしまったり、自分が動画を作ることに飽きて、イヤになってしまうことがいちばん困るので、好きで無理なく続けられて、多くの方に見ていただけて、バイクに興味がなかった方でもモノができあがっていく過程を映像にしたら楽しんでもらえるかなと思ったんです。
長く見てもらうためには映像だけでなく音の良さ、BGVとしても気持ちが良いという+αの要素が必要だと考えています。今後も好きなものづくりを追求しつつ、サブチャンネルの『46works Life』ではよりカジュアルなVlogも増やしていきたいですね」
●主な使用機材リスト
●制作風景と機材
▲八ヶ岳の麓に構えた46worksのオフィス。
▲作業場の様子。
▲メインカメラはα7 Ⅱ。作業音の収録にもこだわり、ガンマイクとステレオマイクを使い分ける。ジンバルの銀色のハンドルは自作したもの。
▲作業時の収録はマイクスタンドに自由雲台を取り付けたもので撮影することが多い。安価で真俯瞰などの撮影もできる。
▲モノを撮影するときには85mmのレンズを使うことが多い。
●VIDEOSALON 2021年4月号より転載