中村俊介
1998年3月13日生まれ。京都出身。慶應義塾大学理工学部在学。2017年より映像制作を始める。同年、資生堂の映像プロジェクトBeauty Empowersにディレクターとして選出。2018年青山フィルメイト2018 MV部門にて自身のMV2作目となるBLACK BASSの『GRAPES』がノミネート。その後アートコレクティブ BLACK BASSに映像ディレクター兼VJとして加入。2019年1月、BLACK BASSがApple MusicのNew Artistに選出され、iTunesにてヒップホップのアルバムランキング1位となり注目を集める。
WEB●https://www.shunshunfilm.com/
文●松岡佳枝
●中村俊介さんの作品
【I can be me by CLICK】
中村さんの初監督作。「メイクのちから」をテーマに資生堂のWEBムービーを制作するプロジェクト「#BeautyEmpowers」。SNSからの募集で選出された8組が作品を制作。
【BLACK BASS – LFP】
東京目黒を拠点にラッパー、ビートメイカー、デザイナーなど7人で構成されるアートコレクティブ・BLACK BASSのMV。中村さんも映像ディレクターとして参加している。
映像を始めたのは2年前から
資生堂のWEBムービー『I Can be me by CLICK』でデビューを果たした中村俊介さんは現在20歳。大学に在学しながらプロフェッショナルとしての道を歩み始めた。
「実は映像に関わることは何もしたことがなくて、高校3年の時、学校で行われる演劇祭のメイキング映像を父のビデオカメラを借りて撮影したのが初めてでした。編集経験もなく、YouTubeのチュートリアルムービーなどを見ながらフリーソフトを駆使して映像を作り、優秀賞をもらったんです。いま思えば、父と一緒にテレビで観る映画が好きで、それが原体験ではあるかもしれません」
高校を卒業後、上京。大学に入学した中村さんだが、専攻は映像関係ではなく、理工学部だ。
「僕は京都出身で、東京に行けば何かあるやろ…という漠然とした思いがあって、大学進学と同時に上京しました。学内で映像ディレクターの山田健人さんが講師を務める映像制作の特別授業があり、なぜか演技でオーディションを受けて合格したんです。この授業に合格していなかったら映像はやっていなかったかもしれませんね。2年生になり、その4月に思い切ってソニーα7S Ⅱを買いました。レンズは35mmの単焦点一本でした。同級生にモデルになってもらい、コンセプトもなく映像や写真を撮ったりしていました」
色には作家性が現れる
その夏に、友人のバンドのMVを作り、できた作品をSNSに投稿したことがきっかけで、資生堂から声がかかり、WEBムービーに応募することになった。それが初めての仕事としての撮影だったという。
「映像作りでは特に色にはこだわります。色は女性で言うメイクみたいなもの。素敵な女性でもメイク次第で変化するのと同じように、そこに作家性が現れると考えています」
作家性を追求するために、中村さんは最近はあえてクライアントワークよりも自分自身の表現を磨くための作品作りに力を注いでいる。
「今は好きな音楽やバンドなど、自身の作品作りとなる案件を選んで制作しています。自分自身もBLACK BASSというヒップホップアートコレクティブの一員として活動していることもあり、音楽での人とのつながりが増えていますね」
中村さんはクリストファー・ノーランをはじめ、好きな映像作家にイギリス人が多いという。自分を惹き付ける作品を生み出すイギリスという土壌で映像制作を学ぼうと、来年4月からロンドンに渡るという。
「今後海外でも映像制作をしたいと思っているので、現地で現場に入って映像制作に必要なコミュニケーションを学びたい。自分の映像作りを極めて、いつか映画を作ってみたいです。そのためには、まず映像としてしっかりと観られる画作りをしなければストーリーも人の心に入っていかないと思っています」
●最近お気に入りの撮影機材
▲中村さんの撮影機材。
▲メイン機はソニーα7S Ⅱ。手持のレンズは表の通りだが、キヤノンのシネレンズをレンタルして使うこともある。アトモスShogun Inferno(モニター一体型レコーダー)も活用する。
▲アナログスタビライザーとジンバルを使い分ける。
▲録音機材。
▲集マシンはMac Pro。サブでMacbook Proを使用。
▲ミュージックビデオの撮影で重宝するフォグ(霧)マシーン。アマゾンで購入できるという。
●機材リスト
●ビデオSALON2019年3月号より転載