レポート◉染瀬直人
撮影協力◉ハコスコ

 

vol.6
Oculus GoのVR動画視聴とクリエイターとしての有用な使い方


▲Oculus Goの公式アプリ「Oculus Rooms」。VR空間内でアバターを通じて他社とコミュニケーションが取れる。

 

スタンドアローンのVRゴーグル

今年5月に発売されたOculus Goが人気だ。ハイスペックなVRレディのゲーミングパソコンや、ケーブルやセンサー、スマートフォンを必要としない、コンテンツを気軽に視聴できる”スタンドアローン”のVRゴーグルの登場である。

容量が32GBのものが23,800円、64GBのタイプが29,800円(共に税・送料込)と手頃な価格でVRを楽しむことができることから筆者の周りではかなりブレイクしている。Facebook傘下のOculus社によって開発されたOculus Goは、VR普及のキャズムを越える突破口となるか?

 

Oculus Goを使ってみて

Oculus Goは公式サイトで購入する。香港から送られてくるので、注文後、数日で届く。スマホ要らずと書いたが、開梱して初期設定をする際にはスマホにOculusアプリをインストールし、Facebookのアカウントか、Oculusのアカウントで登録、Wi-Fiの接続先等を設定をしていくことになる。

ゴーグルは伸縮性のあるベルトで装着するが、しっかりと顔に固定される。重さは468g、顔面に触れるクッションは肌触りが良く、着用感は良好だ。


▲筆者がOculus Goを視聴している様子。

 

ただし、筆者はまず鼻の付近の空間が広めに空いている点が気になった。いささか没入感が削がれる気がするのだ。当初は欧米人に合わせたヒューマンインターフェイスかと思ったが、コントローラーを持つ手元が確認できるメリットもある。眼鏡を使用する場合は同梱の眼鏡スペーサーを利用するとレンズが保護される。


▲同梱されているコントローラー。単三電池を入れて使用。コントローラー自体を動かして、画面内のカーソルを操作する。タッチパッドをスワイプして、メニューをスクロール。トリガーで決定。


▲鼻の部分の空間が幾分、広く空いている。ここからコントローラーを見たり、周囲の様子を確認できる。

 

側面のストラップ付近にスピーカーが内蔵されているので、イヤホンがなくても音声が再生されるのも手っ取り早くて良い。バッテリーの持続時間は2時間前後。長時間使用していると、前面がかなり熱くなることがある。

Oculus Goで通常の動画コンテンツを視聴する場合は、”VR上の大スクリーン”で鑑賞できるのが楽しい。Netflixなど定額動画配信サービスを観るのも、自分一人の貸切映画館で観ているようだ。寝転がって見られる点も気に入っている。360度のコンテンツは全天球で表示・再生できる。

「ストア」からは、Oculus Storeのゲームやアプリを購入したり、ダウンロードをする。「Facebook 360」、「360Channel」、「DMM VR動画プレイヤー」などのVR系のアプリも豊富に揃っている。

「ギャラリー」からは、接続されたスマホのカメラロールや、FacebookやInstagram、Dropbox内の動画、静止画、360度コンテンツを見ることができる。Oculus Goの内蔵ストレージにファイルを保存して、オフラインでそれを閲覧することも可能だ。そのほか、「ブラウザ」でFacebookや、SNSを楽しむこともできる。

Oculus Goは2560×1440 ドット、画素密度538ppiの液晶パネルが採用されている。3D-180作品などの3D効果は素晴らしい。撮影に使用されたVRカメラのスペックにもよるが、解像感については、特に360度動画の視聴の場合、正直まだ物足りなく感じる。

必要に応じて、Insta360のクリスタルビューのような超解像技術を用いて、画質を改善する工夫がいるかもしれない。

またOculus Goにはポジショントラッキングは搭載されておらず、頭の回転のみの3Dofが可能となっている。VRゲームコンテンツなどで、空間をある程度自由に動くことを期待するなら、価格は高くなるが、同じく一体型で6DoF対応のLENOVOのMirage Soloという選択になる。ちなみにOculus社からは有機ELディスプレイを採用し、6Dof対応のより高性能な一体型VRゴーグルOculus Questが来春発売される見込みだ。


▲本体のmicroUSBポートに、同梱のケーブルを接続して、充電する。パソコンと接続してデータのやりとりもできる。その下はイヤホンのポート。

 

クリエイターにおすすめの機能

VR動画クリエイターとしての有用な使い方としては、外出先で自身の作品を見せるための”ポートフォリオ”としての使い方が最適だと思う。そして、もう一点巷でとても評判が良いのが、ソーシャルVRとしての「Oculus Rooms」だ。これは2007年頃流行したセカンドライフのVR版とも言えるもので、自身の分身であるアバターを通じて、同じ空間内で遠隔の他者とコミニュケーションができる公式アプリだ。最大4人まで対応している。

通常の映像はもちろん、360度コンテンツをリアルタイムに共有しながら、通話して打ち合わせもできる。空間音声にも対応しているので、同じ場所にいるような共有感があり、ビデオ通話より、却ってコミュニケーションが取りやすい気もする。VRの可能性と未来を感じる画期的なテクノロジーだ。

Oculus Goは携帯性が良く、起動後すぐにVR動画を再生できるなど総合的にエントリー機としてコスパが高いことは間違いない。


▲筆者は収納・持ち運びに無印良品のメイクボックス(小・税込み1490円)を使用している。寸法もちょうど良く収まる。

 

●ビデオSALON2018年11月号より転載