Vol.2 YouTubeの広告メニューと使い方
今回から2回にわたり主なSNSの動画広告の種類をご紹介します。今回はYouTubeです。
個人や中小企業で動画広告を始める場合、安価に開始でき、運用型広告のラインナップが揃うYouTubeやTwitterなどのSNSでの出稿がターゲット。仕様や機能の変化の激しいSNSの中でも、広告出稿まわりは頻繁に変わるので、公式ドキュメントを確認してください。
YouTubeへの広告は、動画広告以外にも動画リストに表示されるバナーや再生した動画の上に表示されるオーバーレイ広告など静止画の広告メニューもありますが、本連載では広告自体が動画である物を扱います。
動画広告の種類は主に2種類
インターネットの動画広告には2 種類、インストリーム広告とアウトストリーム広告があります。
■インストリーム広告
ユーザの目当ての動画の前後や再生途中で表示される動画広告。
■アウトストリーム広告
SNS・サイト閲覧しているときやアプリで遊んでいるときに動画が表示される広告。YouTubeのサイト以外にも、外部メディアサイトやブログサイトなどGoogleと提携したサイトやモバイルアプリ(パートナーと呼ぶ)上などに動画広告を表示することもできる。
▲WEBページ右側に表示されているバナー
YouTubeの動画広告メニュー
YouTubeには予約型・運用型、またインストリーム広告・アウトストリーム広告を含め多くの広告商品のラインナップがあります。このラインナップのことを広告メニューと呼びます。代表的な広告メニューは以下です。
1.TrueViewインストリーム広告
インストリーム型の広告のYouTubeでのメニューです。動画の表示されるタイミングとして以下の3パターンがあります。
・動画の冒頭に差し込まれる
・動画の再生途中に差し込まれる
・動画の末尾に差し込まれる
冒頭と途中に差し込まれる広告は、ユーザがスキップ(動画広告の再生が開始されて5秒経過後に広告動画の再生を中止して本編の動画の再生に移る)可能(スキッパブル)と不可能(ノンスキッパブル/強制視聴型)の指定ができます。
TrueViewインストリーム広告のメリットは、最低限でも5秒はユーザに閲覧してもらえる仕組みなので、認知には非常に効果的である点です。認知を広げることを目的とする場合にはよく選ばれる広告です。
■1-1スキップ可能な広告
動画再生した後、5秒を経過すると広告をスキップするかどうかを選択できます。
▲画面右下に表示される「広告をスキップ」ボタン
■1-2.スキップ不可な広告
動画の長さには制限がありませんが、12秒以上3分未満にすることが推奨されています。スキップ不可に設定する場合は15秒以下である必要があります。
▲終了までの時間の残りの時間が表示される
広告を出稿する際、どのような課金で広告費が発生するかを最初に選びます。TrueViewインストリーム広告で最もよく使われるのがCPV(Cost Per View)方式です。
30秒間、もしくは動画が30秒未満の広告の場合は最後まで視聴された場合に課金されます。または、動画再生中にユーザが操作した場合も課金対象になります。ほかにもインプレッション課金(動画が再生されなくても表示数によって課金される)、コンバージョン課金(ユーザが広告主のWEB サイトへ遷移するなどした場合に課金される)など、広告の目的や予算によって広告主が課金方式を選択することができます。課金方法については2020年9月号の記事に詳しく書かれています。
2.バンパー広告
インストリーム広告では、広告をスキップしない場合、最低でも15秒以上の動画を使用する必要があります。しかし差し込んで流れてくる動画としては比較的に長い秒数のため、ユーザから煙たがられる傾向にあります。そこで生まれたのがバンパー広告。スキップできない6秒以下の広告となり、短い時間でシンプルな内容(メッセージ)をしっかりと印象を残すことが可能となります。
インプレッション方式(回数に応じて課金される方式)で、1000回表示されるたびに課金がされます。
6秒とはいえ、最初から最後まで視聴するので、プロダクトや自社名などのブランド認知拡大に非常に向く広告です。また、短尺であるので短期的なキャンペーンなどの告知をあまりコストをかけずに動画制作し出稿するのにも向いています。
3.アウトストリーム広告
インストリーム広告がYouTubeの中での配信が中心の広告だとしたら、アウトストリーム広告はYouTubeの外に配信する広告です。主にGoogleが提携しているパートナーサイトやアプリに表示されます。動画コンテンツ以外の場所で広告が配信されるので、新しいユーザへリーチすることが可能です。
YouTubeのアウトストリーム広告は、モバイル(スマートフォンやタブレットなど)で表示されるのが特徴です。
音声はOFFで再生され、ユーザが広告動画をタップすると音声が再生されます。インプレッション課金ですが、広告の面積の50%以上表示されている、かつ2秒以上再生された場合にのみカウントされます。一瞬表示されるような場合はカウントされません。
パートナーサイトの内容によって表示される動画が選ばれるので、自社のプロダクトに興味はありそうだが普段WEB 動画を見ないターゲットにもリーチができます。
動画が表示される場所によって、インバナー広告(次のインバナー広告を参照)とインリード広告(後述のインリード広告を参照)種類があります。
■3-1.インバナー広告
WEB サイトやアプリのナビゲーションなどのディスプレイ広告枠に表示されます。一般的に目立ちやすい場所に表示されるので、ユーザに見てもらいやすい表示形態です。広告が画面に表示されていなくても再生が始まってしまいますが、インリード広告では動画の最初から見せることができるので、ストーリー性を持ったクリエイティブとの相性が良いです。
▲WEBページの目立つ場所に表示される動画広告
■3-2.インリード広告
ブログのテキストやニュース記事など、メインとなるコンテンツ内に表示されます。SNSのフィード内に表示される広告がわかりやすいと思います。一般にインバナー広告より大きく表示され、コンテンツを読みすすんでいるユーザに見てもらうことができます。
▲記事内に表示されるスタイルの動画広告
4.TrueViewディスカバリー広告
ディスカバリー広告自体は動画ではなく、動画コンテンツ自体を広告する画像(サムネイル)とテキストです。
YouTubeの動画リスト(検索結果・関連動画 ※1)の付近やトップページなどに表示されます。ユーザが広告をクリックして動画が再生された場合に課金されます。
そのほか、YouTubeのトップページの最上段に表示されるマストヘッド広告メニュー(※2)があります。
しかしマストヘッド広告の出稿はGoogle内の営業担当者にコンタクトを取って出稿する予約型広告となりGoogle広告の管理画面から出稿することはできません。
※1 動画リスト内の広告
▲黄色く「広告」のタグが表示される
※2 最上段に表示されるマストヘッド広告
クーポンを活用しよう
YouTube広告を始める場合、以下のページで特典コードを取得すると数千円の割引を受けられます。ここ数年は価格は多少変わりますが(2020年9月の段階では5,500円で13,000円分出稿できます)が常に表示されているのでほぼ恒久的な割引とみて良さそうです。
https://www.YouTube.com/intl/ja/ads/
「クーポンコードを取得」ボタンをクリックするとメールアドレスなどを入力するフォームが表示され、申し込むとメールアドレスにクーポンコードが届きます。
一度しか使えないのですが、少しでもいろいろ試してみるためにぜひ活用してください。
今月の事例
家電量販店 新卒採用キャンペーン
コロナ禍で例年実施していた、会社説明会等のオフラインイベントが実施できず「オンライン面接説明会」を切り口とした動画を活用したことで、視聴率が57%増加した例です。従来の動画広告施策と比べ大幅な視聴率向上に成功し、コロナ禍での採用活動も目標を達成しました。
元々は会社の社風や規模など動画の中に盛り込んでいた。
市場調査のワンポイントアドバイス Googleトレンドを活用する
市場調査のために使用しているもののひとつがGoogleトレンドです。Googleで単語が検索される頻度(つまり市場の関心の高さ、と言えます)を過去に遡って時系列で表示するツールです。https://trends.google.co.jp/trends/?geo=JP
たとえば「オンライン説明会」という言葉の検索数の変化を知ることができます。
▲Googleトレンドの画面。「オンライン説明会」で調べた結果
このグラフを見ると、2020年4月くらいから急速に関心が高まっているのがわかります。
複数の単語の比較もできますので、類語の中で検索されやすい単語をさがす、競合や類似サービスと自社サービスの知名度の調査なども可能です。
▲「オンライン説明会」「合同面接」で調べた結果
Googleトレンドは、関心の高い言葉を、動画内に埋め込んだりタイトルや出稿データに用いたり、反対に競合が取りこぼしている言葉を拾ったりなど、広告の質を高めるデータとして、とても有効です。
また、短時間でたくさんの情報を一度にユーザへ伝えられるのが動画広告の魅力です。従来のテキスト広告やイメージ広告と比較して、動画広告ではユーザの商品理解や態度変容を促進しやすいと言えることでしょう。
ただし、動画広告もあくまで広告であり、基本は「ユーザの興味関心に寄り添った広告を作ること」です。現代のユーザ動向や市場環境を事前に情報収集・分析し、より良い動画広告を配信していきましょう!
今回のまとめ!
動画広告を始めるなら、まずはYouTubeから始めると良い。数千円から始められて反応がわかりやすい。
いろいろな広告形態のメニューがあるので、広告の目的にあったメニューを選ぼう(詳細は次回以降ご説明します)。
●VIDEO SALON 10月号より転載