ソニープロフェッショナルムービーアワードの受賞作品が決定!


本ウェブサイトでもアナウンスしてきたソニー主催のムービーコンペ、ソニープロフェッショナルムービーアワード。昨年の9月から11月末まで、「感動」をテーマに2分の映像をYouTubeに投稿し、エントリーするというもの。応募本数は259本。2016年12月上旬から2017年1月にかけて審査され、グランプリ作品1作品、準グランプリ作品1作品、審査員賞3作品を選出。1月27日の上映会、表彰式で審査結果が発表された。

グランプリは長濱えみなさんの「君が、教えてくれたこと。」左足がなく生まれてきた子供のことを語る父親へのインタビューを軸に、妊娠、出産の過程が美しい映像で、ところどころドキュメント的映像を交えインサートされながら綴られていく。長濱さんは、2016年春にビデオサロンで編集・刊行した「ソニーαシリーズ&FS5ムービー制作ガイドブック」で取材させていただいたが、ブライダル映像から最近ではニューボーン映像を手がけている。受賞のコメントとして、「感動がテーマということでこの賞はどうしてもとりたかった。でも、本当はもっといいんです! もっといい素材もあるし、編集で良くなるんです」と語っていた。FS5もいつもは借りて使っているそうで、欲しかったカメラだそうだ。

作品および講評はこちらから見られる。

副賞として、PXW-FS5が贈られた。狙って賞がとれてしまうところはもう貫禄。

準グランプリはHappilmの「響子先生への家族授業」。響子先生は教室の生徒の席に座り、家族が順番に教壇にたって響子先生に対して授業するというスタイルで思い出話や響子先生への思いを語っていく。Happilmとは実はビデオサロン2月号のVideographer’s Fileで紹介した大石健弘さんが設立した会社。大石さんの取材記事が2ページにわたって掲載されているので、ぜひ2017年2月号もあわせてチェックしてほしい。

受賞のコメントを話す大石さん。作品と講評は同じくこちらから見られる。

審査員の3名からそれぞれ審査員賞が渡された。

まず江夏由洋さんは、笹本正喜さんの「End Of Asia〜アジアの端の不思議な帽子屋〜」をチョイス。撮影、照明、キャスティング、編集、そして最後の謎めたい構成まで含めて高く評価。自分も今晩から負けないようにがんばりたいと語った。

以下の写真、コメントする笹本さん(右)と江夏さん(左)。

審査員のカツヲさんが選んだのは、百野健介さんの「地上にて」。儚げなピアノの旋律と、断片的な日常の風景、モノローグで構成された映像。百野さんはふだんからディレクターとして仕事をされているが、カメラを回して、全部一人で作品としてまとめたのは久々だという。カツヲさんもこの映像の世界観を絶賛し、ぜひ後でどうやって作ったのか話をしてみたい、と語っていた。

映画監督の熊澤 尚人さんが選んだのは坂野彰太郎さんの「親父の背中」。木製の建具を製造する会社を100年以上にわたって代々引き継いできた。工場の中のシーンもインサートしながら実直そうな社長をインタビューする。坂野さんは、名古屋のブライダル映像制作会社に所属し、毎週土日、ブライダル撮影に明け暮れている。まだ入社1年とのことだが、このクォリティの作品を仕上げてしまうことに驚いた。

ノミネートされた作品は以下の11本。

ソニープロフェッショナルアワードのウェブサイトはこちら。受賞作品だけでなく全応募作品を見ることができる。

受賞した作品はどれも撮影、編集、音声、構成のレベルは高く、プロフェッショナルアワードにふさわしいクォリティだった。応募はプロアマ問わずということだったが、受賞者は大半がすでにブライダルやウェブCM、企業VP、ミュージックビデオなどの映像関係の仕事をしている20代から30代。ただ、応募できる自分の作品として頻繁に作っている人はそれほど多くないようで、このムービーアワードへの応募がいいきっかけになったようだ。また、普段の映像制作の仕事ではクライアントありきになるが、自分の作品は全くのフリーハンド。また予算をかけてチームで制作をするということもなく、自分でカメラを回し、自分で編集するという作品が大半だったようだ。

今回の受賞者はさらに上を目指したいプロフェッショナルが多かったが、ノミネートされた作品応募者の中には映像制作専業ではない人たちもいた。もしかしたら、今後は映像制作の専業でない人が評価される作品を作り始める可能性が広がるのではないかとも感じた。そのための機材やその周辺の情報は、今後はもっと一般層に普及していく。

上映会&授賞式後は大半の出席者が参加して懇親会が開かれたが、応募者からは、作品を作る機会そのものを与えてくれたこのムービーアワードに感謝する声が数多く聞かれた。また、映像制作者どうしで情報交換、制作意図、スタイルなどの話も盛り上がっていた。

コンペの良し悪しはまずは選ばれる作品のクォリティである。今回選ばれた作品は、どの作品もレベルが高く、今後、αやFSなどを使用した一人もしくは少人数でのビデオグラファースタイルでの制作が広がっていくこと、そして数分の尺のウェブに向いたコンテンツの作り手が育ってきたことを象徴するアワードになった。

唯一気になったのは、ソニープロフェッショナルアワードのウェブサイトで受賞者に「様」をつけていること。これまでのメーカーの感覚からするとカメラを買ってくれる「お客様」なのだろうが、このコンペにはカメラの規定はないし、ソニー製品のユーザーである必要はない。応募者もメーカーの宣伝のために応募したということではないだろう。

ソニーは映像制作機器のトップメーカーである。

「新しい映像の作り手を盛り上げていく」というのが、アワードの主旨のはず。成功に終わった今回のアワードを来年以降も継続してもらい、長い目で映像制作の作り手側を下支えし続けてほしいと思う。