魁!! ビデオ道場 2017年12月号


「ビデオサロン」で連載中の読者投稿コーナー「魁!! ビデオ道場」では、毎月1作品を「大賞」、次点の数作品を「入賞」としてセレクト。大賞受賞者にはその栄誉をたたえて金2万円を贈らせていただきます。大賞・入賞および掲載作品にはそれぞれポイントがつき、累計ポイントによって当ビデオ道場における段位が認定されます(最高位:師範代)。
今回は2017年12月号掲載の作品を紹介します。解説とともに動画をご覧ください。<解説:岡野 肇>

 

<大賞>
地域ドキュメント
『立神浅間祭』 8分
古橋三久さん(愛知県名古屋市)

●作品紹介●祭りのすべてを記録するスタイルを続ける作者が今回追ったのは、リアス式海岸で有名な三重県志摩の立神地区に受け継がれる伝統の祭り。干潮時だけ顔を出す夫婦岩、ふんどし一丁で「幣」と呼ばれる竹の棒を立てる姿等、特徴ある行事が繰り広げられる。

◆道場長講評◆
宿元と呼ばれる祭りを取り仕切る一軒の家からクライマックスの幣立てまで、この祭りのすべてを漏らさずカメラは追っています。作者のライフワークにもなっている各地の小さな祭りを記録していく制作姿勢には頭が下がります。本作では冒頭のタイムラプス撮影やドローンを使った俯瞰撮影も取り入れ、作品の見せ方にも工夫を凝らしていますが、それを自然な形で挿入されているところは見事。このような珍しい行事では独特の用語やイベントがありますが、それらも分かりやすく解説しながら進めていくナレーションにも好感が持てます。火祭りなどと違って決して派手さはないのですがテーマの定まった作者の撮影・構成・編集は皆さんの参考になるはずです。


<入賞>
お祭りビデオ
『火の祭典 火渡り』 6分49秒
河合典之さん(三重県松阪市)

●地元では「お伊勢に七度、熊野に三度、愛宕さんへは月参り」と歌われ、珍しい火防の神「愛宕大権現」を祀る松阪愛宕山龍泉寺の火祭りを撮影。メインイベントである火渡りの撮影は圧巻。

◆作品の構成を火渡りに絞って、カメラワークを武器に押せ押せで視聴者に訴えかけるのは作者の真骨頂。見ているだけなのに何だかそわそわしてしまうほど圧倒的な臨場感が伝わります。メインの火渡りを様々なアングルや画角で見せているのも功を奏しています。見る側に立って次は何が見たいのかを思慮することの重要性を思わせてくれる作品です。

<入賞>
お祭りビデオ
『秋葉山の火防祭(ひぶせまつり)』 7分59秒
吉見秀雄さん(神奈川県南足柄市)

●修験者の祭りである小田原の火防祭を撮影。山伏の装束の儀式から火渡りまでをじっくりと見せる。特に珍しい山伏の修行を思わせる様々な振る舞いをリズミカルに編集しているのが印象的。

◆撮影時のつぶやき風レポートと優しい喋り口のナレーションが特徴のお祭り記録作品。現場音を大切に活かしながら見る側に祭りを伝えていくスタイルはいいのですが、現場の説明MCのシーンの割合が多すぎた印象があります。しかし、火祭りを修験者の山伏を中心に据えた構成は見応えがありました。その分各儀式の説明がもう少し知りたくなります。

海外ビデオ
『ニュージーランド南島の自然をたどる』 5分
小須田 修さん(埼玉県さいたま市)

●南島の氷河地帯を陸と空から紹介。◆空撮と陸路での撮影という2つの視点から楽しめる作品。ご家族の楽しそうな雰囲気も伝わってきます。例えば家族で旅を振り返る座談会のような構成を採り入れても面白いかもしれません。

鉄道ビデオ
『名車がんばる 阪急6300系』 6分54秒
猪嶋典昭さん(兵庫県神戸市)

●70年代に製造され人気を誇った車両を追う。◆鉄道は好きですが車両には詳しくない私にも分かる客観的な説明で、良いナレーショですね。それだけに作者の感想も聞きたくなります。別れが近いほど愛着が出るという感慨にひたれました。

自然紀行
『秋田駒ヶ岳~チングルマ咲くムーミン谷へ~』 6分38秒
酒井俊之さん(千葉県八千代市)

●トレッキングを新感覚な映像に。◆ゆったりとしたパンやズームが素晴らしく、この雄大な景色の中にいる感覚が伝わってきます。説明テロップでストーリーは進みますが、まるでカメラが語っているような錯覚を覚えました。

地域行事
『信州御代田龍神まつり』 7分59秒
大矢治朗さん(岐阜県安八郡)

●静かな中にも勇壮な龍神祭りを作品に。◆50人もの担ぎ手が必要な龍が次々に入水していく様を、伝説を読み上げるスタイルで飽きせず見せてくれます。後半のヒートアップする舞は迫力満点ですが〆のナレーションが欲しいところです。

地域行事
『親緑34 平安絵巻の後は』 7分58秒
金谷 功さん(京都府京都市)

●作者のイメージビデオシリーズ第34弾。◆今回の「祭りの後」というテーマは興味を惹かせます。ただこの構成はもはやイメージ作品を越えている感もあります。京都の森を描き続けるシリーズの新境地を今後も期待しています。

スポット紹介
『建長寺と半僧坊』 7分39秒
関口 豊さん(埼玉県狭山市)

●国の史跡に指定されている鎌倉建長寺を訪ねる。◆有名な寺であっても知ってることはごくわずかという我々に親切な作者の探訪記。今回も位置や出し方を工夫したテロップが見やすく、解説ナレーションと相互作用で分かりやすい作品。