文●川井拓也

株式会社ヒマナイヌ代表。配信チームLiveNINJA主宰。Ustream黎明期からマルチカメラによるライブ配信や収録を手がける。筆者のブログ●http://himag.blog.jp/

※この連載は2017年12月号に掲載した内容を転載しています。

Vol.018 ソニー RX10Ⅳ と赤外線リモコンの組み合わせはマルチカメラ配信&収録で使えるか?

光学25倍ズームを備え、4K/30p撮影にも対応するネオ一眼

ソニー
DSC-RX10M4
オープン価格(実勢19万円前後)
「ネオ一眼」と言われるデジタル一眼型のコンパクトデジタルカメラ。高倍率ズームZEISSバリオ・ゾナーT* 24-600mm F2.4-4.0の大口径高倍率ズームレンズを搭載。動画は最大4K/30p(ビットレート60Mbps)で撮影が可能。ハイフレームレート撮影機能も搭載しており、1080/240fpsでの撮影にも対応する。

SPEC●撮像素子:1.0型(13.2mm x 8.8mm) Exmor RS CMOSセンサー/総画素数:約2100万画素/有効画素数:約2010万画素/レンズ:ZEISSバリオ・ゾナーT*レンズ/開放F値:F2.4(ワイド端時) -4.0(テレ端時)/35mm換算値(動画 4K 16:9時):f=28-680mm(手ブレ補正スタンダード)/液晶モニター:3.0型(4:3)・144万ドット/外形寸法:132.5 x 94.0 x 145.0mm(レンズ先端からファインダーまで)/重量:約1050g(本体のみ)

◉1型センサーの高倍率ズームだからビデオカメラとしてもイケてる?

筆者が手がけているマルチカメラ収録&配信の案件では、シンポジウムなど広いホールで登壇者を狙うというシチュエーションが多いので、高倍率ズームができるビデオカメラが欠かせません。1型センサーの業務用ビデオカメラが続々と登場する中で、今注目しているのがソニー RX10Ⅳ です。一眼スタイルのネオ一眼といえば、このRXシリーズかパナソニックの FZH1 です。FZH1 はレンズ全長が変わらない構造やスローズーム機能を備えるなどビデオカメラとしての使い勝手が向上していましたが、惜しいのがリモコンを使えないこと。RX10Ⅳ に注目したのはオプションで純正の赤外線リモコンが用意されている点です!

◉本体は3連リングでビデオカメラライクな使い方も可能!

RX10Ⅳ はレンズ鏡筒には、3連リングがついています。レンズ側からフォーカス、ズーム、絞りとなっており、フォーカスとズームは逆にすることも可能です。絞りはビデオカメラのようにレンズについた絞りクリック切り替えスイッチでクリックを外して無段階で F2.4 から F16 まで調整できます。よくできているのがズームリングでレンズ鏡筒が電動で繰り出す構造ながら、滑らかでゆっくりした手動ズームもできます。リングのズーム機能は「スタンダード」「クイック」「ステップ」が選べます。「クイック」は少し回すだけでグイーンと動き手を離してもその先まで加速する感じです。ズームリングの操作方向は「左回転」「右回転」も切り替えられます。

◉専用リモコンはUSBタイプで受信部をアクセサリーシューに取り付ける!

RX10Ⅳ ではソニー純正の RMT-VP1K という赤外線リモコンが使えます。ワンマンのマルチカメラ収録&配信では右手でスイッチングしながらズーマー型のリモコンでカメラを調整してテイクするスタイルが多いのでリモコンは必須です。カメラ本体にはビデオカメラのようなリモート端子はなく、RMT-VP1K は microUSB に繋ぎます。丸い受光部は360度受信できるようになっており、アクセサリーシューに取り付けます。その部分は接点があるわけではありません。三脚穴もついています。リモコン本体はスティック型で録画ボタンとズームとバルブ撮影用のロック機構があります。

純正の赤外線リモコンとズーム関連のメニュー画面

▲RMT-VP1K(7,000円)。カメラとは microUSB で接続。レシーバーはカメラシュー、または付属クリップで三脚のパン棒などに取り付けられる。

▲ズーム関連のメニュー画面。ズームスピード、ズームリングの操作方向などの設定ができる。

▲「リングのズーム機能」のメニュー。「クイック」はリングの回転量に応じた画角にズーム。「ステップ」は、一定の画角で段階的に切り替わる。

▲「ズームリング操作方向」のメニュー。ズームリングでのズーム操作の方向を切り替えて使える。

◉リモコンの速度は押し具合で2段階あるが、結構むずかしい!

リモコンのズームボタンの小ささから「これはバリアブルではなさそうだな?」と思ったものの、説明書を読むと「軽く押すとゆっくりズームし強く押し込むと早くズームします」とあります。本体のズーム設定を「スタンダード」にしてやってみると、確かに2段階あります! でも、その低速から高速への押し込みの感じはすごくつかみにくい! さらに低速といってもイメージよりずっと高速なので、カメラワークとしては使えない感じです。それでもこのスタイルの高倍率カメラでリモコンが使えるのはありがたいことです。「サッと使える画角にリモコンで調整してスイッチャーでテイクするという使い方はできる!」というのが結論です。

スルーアウトの HDMI は micro端子で画面表示は完全にオフにできます。動画記録中も可能なズームは光学で25倍、全画素超解像ズームで50倍という驚異の倍率で、ちょっとしたビデオカメラのスペックを凌駕しており面白い選択肢になりそうです!