航空カメラマン・野口克也の 前略、空からお邪魔します vol.27「本格的な空撮をサポートする高輝度モニター・Crystalsky」


vol.27「本格的な空撮をサポートする高輝度モニター・Crystalsky 編」

文●野口克也(HEXaMedia)

東京都生まれ。空撮専門会社「株式会社ヘキサメディア」代表。柴田三雄氏への師事の後、ヘリコプター、モーターパラグライダー、無線操縦の小型ヘリなど、空 撮に関わるすべての写真、映像を区別なく撮影。テレビ東京系地上波『空から日本を見てみよう」、BS JAPAN『空から日本を見てみようPlus』などTV番組やCM等の空撮を多数手がける。写真集に夜景の空撮写真集「発光都市TOKYO」(三才ブックス)など。http://www.hexamedia.co.jp/

※この連載はビデオSALON 2018年4月号に掲載した内容を転載しています。

Android OSを搭載したDJIドローン専用高輝度モニター

Crystalskyは先月紹介したコントローラー・CENDENCEと同時に、毎年4月にアメリカ・ラスベガスで開催されるNAB2017で発表されたDJIドローン専用液晶モニターです。5.5インチと7.85インチ、7.85インチのULTRAがあります。これまで映像モニタリングとドローンの各種設定をiPadやiPhoneなどのタブレット機器に依存していたものを、筐体もアプリも専用として開発したものがCrystalskyです。様々な特徴があるのですが、紙幅の都合でビデオサロン読者が気になるであろう特徴をかいつまんで紹介します。

▲本体左側にはSDカードスロットを2基搭載し、プレビューやコピーも可能。本体右側面に電源やカスタムキー等のボタン類が配置されている。

高輝度で屋外での視認性が高い

Crystalskyを買う理由の一つは輝度の高さにあると断言できます。通常版が1000cd/㎡のところ、7.85インチのULTRAは2000cd/㎡です。ここ数年のドローンのコントローラーに取り付ける映像確認用のタブレットはiPadなどが一般的でした。これは直射日光が当たる屋外などをあまり想定していないために、Retinaディスプレイの美しさはあるものの、夏場の炎天下などでは輝度が足りずフードなどでの遮光が必須でした。Crystalskyはこれを解決するためにかなり輝度が上がっています。

 

筆者は日頃iPad Proを愛用していますが、カタログデータ的には400cd/㎡、一番明るい iPhone Xでも650cd/㎡となっています。これでも通常の撮影では問題になることはありません。しかし、晴天の雪景色や夏場の日中などは明らかに輝度不足を感じます。Crystalskyは1000cd/㎡のモデルが先行発売されましたが、私は2000cd/㎡のULTRA以外には興味がなかったので、発売をじっと待っていました。

 

薄暗い部屋で電源を入れた時には、目に刺さるくらいの明るさです。照度の設定はモニターのサイドにあるショートカットキーで調整できるので便利です。周囲の明るさに応じて輝度を調節するような機能も搭載されています。これが発売されて、記事を書いている今が冬場なので、夏場のビーチなどはシミュレートしづらいのですが、サイパンのビーチでのロケに行って使用した同僚の感想では、「フードがなくても使える。大丈夫。だけど、超明るい! という印象はない」とのことでした。筆者も薄々は感じていたのですが、2000cd/㎡は必要充分ではあるものの、明るすぎるというわけでもないのだなということです。これから、特に7.85インチを購入する場合には、2000cd/㎡の ULTRA 以外の選択肢はないでしょう。

タブレットよりも温度変化に強い

前述の通りiPadは美しいプロダクトであるものの、ヘビーな屋外での使用は想定されていません。冬場はアルミボディの放熱性が良く、温度が下がることで起こる電圧ドロップ(降下)が比較的高い温度で起こりますし、夏場の炎天下では放熱が間に合わず、高温によって使えなくなったりします。Crystalskyはこの辺りの温度対策がしっかりとなされています。本体には冷却ファンが設けられていて、さらに付属バッテリーの温度設定も広く、公式には−20度〜40度が使用範囲となっています。実際に使ってみたところでは、−15度前後の環境でも特に音を上げることなく使用できました。

 

着脱式の外部バッテリー

バッテリーはCENDENCEと共通で、流用できます。iPadなどは内蔵式なので、充電が底をつくと再充電する時間を待たなくてはいけなかったのですが、Crystalskyは新しいバッテリーを装着するだけで再び撮影に戻れます。なお、小容量ながら内蔵バッテリーも保有しているので、使用中に電源を落とすことなくバッテリーを交換できるのもうれしいポイントです。これまで撮影量の多い現場ではiPadなどを複数台持参していましたが、バッテリーの追加だけで済むのでとても便利です。

 

CENDENCEと組み合わせると重い…

良いことづくめのようなCrystalskyですが、筆者的には気になる点もいくつかあります。バッテリー込みの重量が425gあります。堅牢性は嬉しいのですが、CENDENCEは1041gで、二つを組み合わせた場合、1466gになり、ズシリと来ます。

▲Crystalskyと高機能コントローラーCENDENCEを組み合わせた状態。

タッチパネルの感度やレスポンスがiOSと比べて遅い印象

筆者はどちらかと言うとアップル贔屓なところがあります。iPadなどの操作性と比べて、タッチパネルの感度が悪いような気がしたり、パフォーマンスが少し足りず、操作がもたついたりする印象を感じました。また、Android端末とはいえDJI専用タブレットのため、機能が大幅に制限されており、アプリを自由に更新したり、サードパーティ製のアプリをインストールすることは基本的にはできません。

 

HDMI出力は基本的にアプリのミラーリング

前段で「プレビュー画面を出力できる」と書きましたが、映像のみを出力することは基本的にできません。アプリの再生画面のミラーリングを表示するものと考えたほうがいいでしょう。4K解像度での出力はできますが、サイドパネル+レターボックスされた状態で出力されます。ストレッチしてうまく16:9にハマるような設定はありますが、4K解像度の映像が出力できるとは考えないほうが良いと思います。また、HDMI入力の機能はありません。アトモス製品のようなモニター付きフィールドレコーダーのような使い方もできません。

 

バックライト不良の事例も

海外の事例でバックライトの一部が点灯しなくなった例が複数報告されています。DJI製品では初期の動作不良を受け入れられない方はもう少し購入を控えられたほうが良いでしょう。

 

CrystalSkyの

▲Crystalskyの電源をONすると立ち上がるメイン画面。ファイルコピーは下にある「Explorer」から行う。

 

▲F1とF2の間のボタンを押すと、上の画面が表示され、音量や輝度、Wi-Fi のオンオフなどができる。