本記事では、1月にDJIから発売されたばかりのジンバルDJI RS 3 Miniをお借りし、元々筆者が使用していた同シリーズのDJI RS2と比べての使用感、進化した操作性などを中心にレビューしていく。
テスト●大和田里奈(midinco studio)/構成・文●永渕雄一郎(midinco studio)
当時、「どんな現場にも対応できたほうがいいに決まってる!」とDJI RS 2を購入。しかし、実際に現場で使用してみると、RS 2の約1.5kgという重量は筋力の少ない筆者にとっては重く、気づけばだんだんとジンバル使用を敬遠するように…。「ジンバルを使いこなせたら、もっと安定した画が撮れるだろうな…」と、埃を被ったRS 2にバツの悪さと自身の不甲斐なさを感じつつ、手持ち撮影の選択ばかりが増えていった。
そんな折、「RS 3 Miniのレビューをしてみませんか?」と今回のお話をいただいた。
製品概要
▲DJIから新しく発売されたRS 3 Mini
コンパクトかつ軽量化され、さらにパワフルな積載能力を備えたDJI RS 3 Mini。RS3シリーズの優れた安定化性能を継承し、主要カメラブランドの各種ミラーレスカメラとレンズに対応している。
DJI RS 3 Miniのスペック詳細はこちら
https://www.dji.com/jp/rs-3-mini
軽量でパワフルな RS 3 Mini
RS 2以降もDJIのジンバルは進化を遂げていたが、ここまで大幅な軽量化モデルの発表は今回のRS 3 Miniが初。到着した箱を開封して最初に感じたのは「こんな小さな箱にジンバルが入ってるの?」という驚きだった。
▲コンパクトに収納されたDJI RS 3 Mini
実際にRS 3 Miniを手に持ってみてその軽さに驚く。それもそのはず、RS 3 Miniの重量は795g(縦向き時)、850g(横向き時)と、RS 2に比べて約半分の重さとなり片手で軽々と持ててしまう。「重いなぁ…」とジンバルに感じていた苦手意識は晴れ、「これなら気軽に使えるかも」と筆者の心は浮いていた。
実際にRS2と並べてみると一目瞭然。大幅に小型化されていることが分かる。
▲RS 3 Mini(左)とRS2(右)比較画像
積載量は2kgまでのため注意が必要
RS 3 Miniの積載量は最大2kg。フルマウント時に3kgを優に超えるような機材を使用する方には注意が必要。大型のRS 2に比べると積載量や拡張性が下がってしまうのは仕方ないが、筆者のようにミラーレスカメラを主に使用し、特殊な機能・撮影環境を必要としないならば特に困ることはない。
今回はニコンZ6ⅡとNIKKOR Z 28mm F2.8のレンズといった普段使いの軽さを最重視した装備とし、積載量約860gの状態で使用してみることに。
▲DJI RS 3 Mini(横向き撮影時)+延長用グリップ/三脚+Nikon Z6Ⅱ / NIKKOR Z 28mm F2.8
総重量:約1,838g
現代のニーズに応えた「縦向き撮影」に対応
RS 3 Miniは追加アクセサリーを使用しない縦向き撮影にネイティブ対応しており、旅行やVlog撮影といった現代の需要に応える形での進化を遂げている点にも注目したい。カメラバッグにもすんなり入るサイズ感なので、持ち運びも楽。出先で重宝する場面が増えるのではないだろうか。
▲縦向き撮影時の状態
▲縦向き撮影の場合は、専用パーツをひとつ取り外すことで変更可能
便利なBluetoothシャッター操作機能
RS 3/RS 3 Pro以降から搭載されたBluetoothシャッター操作機能に対応しており、主要カメラブランドのミラーレスカメラであれば、ジンバル本体の録画ボタンを使ってカメラの動画・写真の撮影操作を直接行える。RS 2では有線接続のみの対応だったため便利に感じた。また、シャッターボタンの位置も変更されており、操作性が上がっている。
RS 3 Mini(左)とRS 2(右)のRECボタンとタッチパネル
実機を使ったテスト撮影
同じくRS 3/RS 3 Pro以降に採用された「第3世代RS安定化アルゴリズム」により、RS2よりもブレのない映像を撮影できるとのことで、実際にRS 3 Miniを使用して撮影を行ってみた。
▲海沿いを撮影する筆者
石畳の海沿いや階段など、敢えて足場の悪い場所で撮影を試みたがしっかり手ブレ補正が効き、安定した映像が撮影できた。
バッテリー駆動時間は約10時間と必要充分
RS 3 Miniのバッテリー駆動時間は最大約10時間。RS 2の最大約12時間と比べると若干短くなったものの、連続して10時間以上のジンバル撮影を行うことは稀なため、大幅な軽量化を考えると必要充分なスペックといえる。また、フル充電に必要な時間は2.5時間で、充電しながらジンバル撮影を行うことも可能となっている。
▲モバイルバッテリーを携帯しておくとより安心
改善してほしい点
ひとつ気になった点を挙げるとすれば、誤作動防止用の「画面ロック機能」がタッチ画面を下にスライドして画面をひとつ遷移しなければならない点だろうか。使用していて若干の煩わしさを感じた。
欲を言えば、RS 3/RS 3 Proに搭載されている「自動軸ロック※」を使用してみたかったが、RS 3 Miniには残念ながら非搭載。軽量化を実現したまま後継機で搭載されるならば嬉しいが、難しいだろうか…。
※自動軸ロック…電源ボタンを押すだけで3つの軸が自動でロック/ロック解除されるため、素早く撮影・収納が可能になる機能。
まとめ
RS 3 Miniを2週間ほど使用してみた結果、撮影現場にジンバルを持っていく機会は大幅に増えた。これまではジンバルを使用する現場を選んでいた筆者だが、これだけの軽量化とスペックを兼ね備えたRS 3 Miniであれば、機会を選ばず気軽に何処へでも持っていける。機材は使えば使うほど上手くなるし、知ることができる。「持っていきたい」と思わせる機材が身近にあれば、その機会も必然増える。上位モデルのジンバルではオーバースペックに感じていた方や、重量でジンバルの使用から遠ざかっていた方には、迷わずDJI RS 3 Miniをお勧めしたい。
DJI RS 3 Miniの製品情報