ブラックマジックデザイン、4K/60pのライブプロダクションカメラ、スイッチャーシステムの説明会をパンダスタジオで開催


2月28日、ブラックマジックデザインは、浜町のパンダスタジオにおいて、4k/60pのライブプロダクションシステムカメラ、スイッチャーなどのシステムの説明会を開催した。これらの製品群は2月1日のウェブプレスカンファレンスにおいて発表されたもので、CEOのグラント自らが製品群の開発背景、主旨などを説明していて、現在では日本語の字幕がついているので、ぜひチェックしてみてほしい(ブラックマジックデザインのWEBトップページから見られる)。製品のニュースリリースとしては、製品個別になっているが、これらはシステムとして組み合わせて運用することで最大の効果を発揮するもので、システム導入コストがこれまでになくリーズナブルになっていることがわかるはずだ。

ブラックマジックデザインがライブプロダクション製品群を開発してきた目的としては3つある。

◉ブロードキャストにおいてUltra HD化を大きな負担なく促進したいということ

◉ウェブストリーミング業界での設備を向上させたいということ

◉フリーランスの人たちが対応できる仕事の幅を広げたいということ。

これらのことで業界を活性化していきたいという。

今回の製品発表により4K/60pでのライブ収録システムがブラックマジックデザインの製品だけで構築できるようになった。

これまで同社が発売してきたライブプロダクション製品は、イベント収録、配信の現場や、新たなスタジオ構築、また放送局がウェブ用のスタジオ作るといった用途で、数多く導入されてきた。そこからのフィードバックとして、「4M/Eタイプが欲しい」「スイッチャー本体に対してパネルが高額」「キーヤーの数を増やしてほしい」「手持ちのB4マウントのレンズを活用したい」「4K/60p信号を100m延ばしたい」といった声があったという。今回の製品はそれらの要望をすべてクリアした製品になっている。

B4レンズが使える4K/60pのカメラ Blackmagic URSA Broadcast

シネマカメラの印象の強いブラックマジックデザインだが、URSA Broadcastはその名のとおり放送業界を意識して開発されたもの。マウントはB4。もちろんB4マウントにも従来のHD用レンズと4Kを想定した4K対応レンズがあるが、実際にこのURSA Broadcastで検証してみると、それほどの違いはわからなかったという。つまり手持ちのB4マウントレンズ(多くはHD用だろう)を4K/60p撮影で使用しても問題はないということになる。

これまでのスーパー35センサーでは当然B4マウントではケラれることになるので、新たに2/3インチタイプのセンサーを開発。被写界深度の深い映像を撮ることができる。

記録フォーマットはこれまでのRAW、ProResに加えてDNxを採用した。またガンマとしては、これまでの同社のカメラはフィルム(Log)とビデオの2種類だったが、新たにエクステンデッドビデオモードを採用した。フィルムモードは後処理が前提だったので、ラチチュードを広くとれ、白飛びを抑えることができたが、そのまま使うとどうしても眠い映像になってしまっていた。一方ビデオモードではそのままで使える映像だが、白飛びが起きやすくなってしまう。エクステンデッドビデオモードは、ライブでも使用できるダイナミックレンジの広いモードになっている。

カメラの後部に、Blackmagic Fiber Convertesを装着すると、光ファイバーを通じて映像音声、電源供給などが可能になる。ファイバー接続はIPビデオ用の10Gイーサネットであり、気になる遅延は1フレーム以下だという。

スタジオ、中継車側には、Studio Fiber Converが必要になるが、それでもCamera側、Studio側それぞれ339,800円という価格なので、導入のハードルは低い。このシステムにより1本のSMPTEケーブルで映像音声、電源、トークバック、タリー、カメラコントロールが可能になる。コンバーターにはSDI出力が3つあり、スイッチャーからの3つのリターンフィードを3G SDIで他の機器に出力できる。

カメラコントロールはカラコレ、ズーム、アイリスが可能。内蔵のカメラ設定やカラーコレクターもATEM Software Controlパネルからリモートコントロールできる。

▲カメラコントロール機能でカラーコレクターについて実際にデモしながら説明しているブラックマジックデザインの岡野さん。

ATEM 4 M/E Broadcast Studio 4KとATEM 1 M/E Advanced Panel

同時に発表されたATEM 4 M/E Broadcast Studio 4Kは20系統の12G-SDI入力を搭載したパワフルな4M/Eスイッチャー。ライブイベントでのスイッチングでは、4M/Eに対応したことで、あらかじめいくつかのテロップをセットで仕込んでおくことができ、効率が良くなる。コンパクトなので、スタジオ据え置きではなく、会場に持ち込んでのスイッチングにも使いやすい。

パネルのATEM 1M/E Advanced Panelは、ATEM 4 M/E Broadcast Studio 4Kとベストマッチで、パネル上ににM/E選択ボタン、Tバーフェーダーが設けられている。従来の半額で機能は倍増しているという。

▲スイッチャーについて機能説明するブラックマジックデザインの新井さん

これ以外に最大4つのカメラをコントロールできるハードウェアのパネルも発表されたが、こちらは6月発売ということで、発表会場にはなかった。

さらにUltimate 12とタッチスクリーンのリモートコントローラー(写真下)を利用することで、クロマキー合成の品質を上げることができる。

スイッチャーでもキーイングすることができるが、一般的に堅く仕上がることが多い。Ultimate12を利用することで、ソフトに抜けるという。オートであってもそのまま使えるクオリティで、そこがスタート地点。そこから高度な処理で追い込むことができる。

 

システム価格について

今回、これらの製品が加わったことでブラックマジックデザインの製品を利用してどんなシステムが組めるのかということで、3カメ+1プレーヤー(再生)の場合どれくらいのシステム価格になるのかというサンプルが示されたのが分かりやすかった。

たとえばスタッフ数が限られたHDでの3カメ、1プレーヤーで、記録しながらストリーミングもするようなHDコンパクトライブ制作の場合、すべて揃えても100万円程度となる。これは従来の製品で構築できた。

次に、今回発表された製品群を利用し、4K/60p収録と配信をするとした場合、カメラからトークバック、スイッチャーはSDI接続でいいのなら400万円で3カメのシステムを組むことができる。

さらに大規模な会場で、本格的なライブ制作をする場合はカメラとトークバックの間にファイバー変換が入ることになり、それでも+200万円、つまりトータル600万円で4K/60pライブ制作ができることになる。これまでよりもトータル金額が一桁下がるくらいのコストパフォーマンスの良さだという。


Ultimate 12やスイッチャー、レコーダー、プレビューモニターをラックに組み込んだ状態。すべてブラックマジックデザイン製品を選択することでコストを落とすことができる。

 

株式会社PANDASTUDIO.TV

この説明会が行われたのは、かつての東京テレビセンターの浜町スタジオだった。Ustreme時代からビデオサロン読者にもなじみのあるパンダスタジオが、歴史のある東京テレビセンター、株式会社浜町スタジオの経営が傾いたのを救済し、事業継承。株式会社パンダスタジオと2016年10月1日に合併して株式会社PANDASTUDIO.TVになっている。代表取締役社長の西村正宏氏は、既存の施設を新しい用途で使うことで、立て直しを図った。株式会社PANDASTUIDO.TVの西村社長。

ITからスタートしたパンダスタジオはキバン時代はスマホで見られるeラーニング事業で成長し、Ustream時代にはパンダスタジオとして、そして2016年以降は浜町スタジオ、東京テレビセンターを吸収し、さらにはLEDディスプレイに投資し、スクリーンのない色収差ゼロのLEDビジョンの映画館を目指しているところだという。

そのPANDASTUDIO.TVとブラックマジックデザインとの関係は古く、出力ボードしかない時代から関わってきた。西村社長はグラントCEOの志に共鳴し、夢の手伝いをしたいという思いから、一ヘビーユーザーから一次代理店になった。単に販売するだけでなく、レンタルも手がけ、レンタルから購入する場合もお得になるようにしたいと言う。

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