DJ時代に培ったマーケティング視点を生かし、クライアントファーストで映像をつくる

取材●編集部 片柳 文●村松美紀

PROFILE
元プロDJの映像ディレクター。「感情を大きく動かすのは、いつだって視覚からだ」をモットーに活動。DJ時代に磨き上げたマーケティングセンスを武器に、人の心を震わせるような映像を制作。

 

 

SHOTROK’s PROJECT introduction

箏×EDMのプロジェクトが全世界でバズる!

『Shape of You (箏/Koto cover) – Ed Sheeran -』/TRiECHOES feat. DJ SHOTA

「オリンピックの開会式に出たい!」と友人と企画したことから、このプロジェクトはスタートしました。DJプレイと和のコンテンツを掛け合わせ、最初からバズらせることを意識して制作しました。自主プロジェクトで予算もなかったため、制作費は12万円ほどでした。

ロケは和室の撮影スタジオと渋谷のクラブで行い、当時所有していたソニー α7 IIで撮影しました。映像自体の目論見としては、見る人を圧倒させたいと考えて制作。色味も和のテイストからは違和感がある、妖艶な雰囲気を漂わせるカラー処理を行い、映像に緩急をつけることを意識し、いちばん盛り上がるシーンは、早いカット割で飽きさせない工夫をしています。

 

はいむるぶしオフィシャルビデオ2023

SHOTROKさんが制作した観光映像。沖縄・八重山の魅力を詰め込んだ本映像が日本国際観光映像祭で2位を獲得した。

 

 

◆SHOTROKとはどんなクリエイター?

映像クリエイターになる以前は、大型イベントなどでも活躍するプロのDJだったSHOTROKさん。そんな中で、たまたまYouTubeで見た海外ビデオグラファーの旅動画に衝撃を受け、「個人でもここまで綺麗に撮れるんだ」とカメラを始める。音楽関係の繋がりからMVの撮影を経験したことで、一気に映像制作へのめり込む。最初は、DJと映像クリエイターの二足のわらじだったが、次第に映像制作へ軸足を移していった。「映像制作を始めてから多くの人と接点を持つようになり、自身の広がりと可能性を感じました」

SHOTROKさんは、自身の強みを問題解決の思考だと話す。「DJって自分の好きな曲をかけていると思われがちですが、実は目の前の観衆の顔色、一挙手一投足を見ながら選曲してます。このお客さん視点こそ、マーケティングだったのかと後から気付かされました。映像制作でも、お客様が誰に何を伝えたいかを噛み砕き、伝わる形にするお手伝いをしています」とSHOTROKさん。さらに映像の展開方法や再生回数を増やすアドバイスなど、クライアントサクセスを意識した提案も同時にしているという。

また自身が制作する映像の特徴を「DJ経験から、音楽は感動を生み出すのに非常に大切な要素だと考えています」と音を重視している。その言葉通り、SHOTROKさんの作品は、音と映像の組み合わせという点でも、高い評価を得ている。

映像のスタートが旅系動画だったこともあり、観光映像も数多く手がけるSHOTROKさん。DJI FPVなどを駆使しながら、シネマティックな映像を制作している。今後やりたいことは、海外へ向けて発信する日本の観光映像制作だというSHOTROKさん。「年明けごろまでに複数のクリエイターをアサインして取り組みたいです。観光PR動画の既視感をいかに壊すかがポイントだと思っています」と意気込んでいる。

 

主な機材・ツール

移動用の簡易セットアップ。

 

 

●VIDEO SALON2023年6月号より転載