BGMを選び、構成を決める

ボーカル入りの曲ならMusicbedがおすすめ

次石さんがよく使うのは、Musicbed(https://www.musicbed.com/)というサブスクリプション制のロイヤリティフリー音源サイト。映像に声を使えないケースでは歌に助けてもらうことも多く、このサイトはボーカル入りでも高品質の曲が多いというのが愛用の理由だという。ただ、歌詞の内容も無視できないので、曲の「Lyrics」のページを確認し、結婚式という場にふさわしいものを選ぶようにしている。





過去、現在、未来の気持ちの変化で三幕構成の手紙を書いてもらう




テーマとバランスをとりながら求める雰囲気のBGMを探す

ゴールが決まったら、BGMに使う楽曲を選びます。今回はテーマがキザな分カジュアルに撮りたいという狙いがあったので、格好つけすぎない柔らかい感じの曲にしたい。また、手紙を読む声をメインにするなら、歌のないインスト曲でもいいのではないか。このふたつの観点から当たりをつけて探していきました。最も時間がかかるのは、この音楽を決める工程かもしれません。

曲を探す時は、格好良く決めたいなら「シネマティック」「アップリフティング」などのキーワードを入れて抑揚が明確な曲を選び、自然体でカジュアルな雰囲気にしたければアコースティックの曲を選びます。また、映像の尺は楽曲の長さにも依存するので、今回のように手紙の声などをメインに構成する場合は、尺が長くなることを想定してあらかじめ長めの曲を選びます。


三幕構成の第二幕に来る「変化」をどう見つけるか?

今回の切り口は三幕構成——超簡単に言うと「起承転結」を3パートにしたもので、物語が始まり、変化が起きて、解決するという流れです。ただ、これが結婚式にそのまま当てはまるわけではありません。交際中に起伏のある物語があったとしても、結婚式はそのハッピーな結末にあたるわけで、式当日の出来事から「変化」に相当するポイントを見つけるのは難しいのです。

そこで、結婚式の当日に変化を探すそうとすると、天気、季節、自然現象などに目を向けることになります。例えば、天気が曇りから晴れになる、風がふっと吹いてベールが揺れるなど、ポジティブに捉えられる自然現象や人の深層心理に訴えかけるような瞬間を利用します。もうひとつは気持ちの変化。手紙の朗読がある時は、出会いから結婚式までの間に相手の印象や自分の気持ちにどのような変化があったかを書いてもらうと、画で見せられない過去の変化を言葉で伝えることも可能です。ここは何を「変化」と捉えるかという、作り手のセンスが問われる部分でもありますね。

今回は後者の手法を使い、新郎新婦に互いに宛てた手紙を書いてもらうことにしました。依頼する際には、文章が三幕構成になるように、過去、現在、未来の気持ちの変化を3パートに分けて書いてもらうようにお願いします。さらにふたりは普段から喧嘩が多いという話もあったので、手紙のことは相手には内緒にし、サプライズで披露するという仕掛けも用意しました。







手紙を元に字コンテを作成

BGMに合わせて構成を考え、シミュレーションする


「ここはメイク室の様子」「ここは披露宴を撮る」「白いものを集めて撮る」など撮影のアイデアを記入。使うレンズを書くことも。

曲が大きく変化する箇所にマーカーを追加。盛り上がりの目印にし、抑揚に合わせて構成を考える。

新婦の手紙はピンク、新郎の手紙は緑で色分けしている。彼女が読んで、彼が読んでと交互に配置することで、会話のキャッチボールのように見せたいと考えた。



字コンテで編集のあたりをつけサブカメラマンとイメージを共有する

挙式の約1週間前になったら、事前に書いてもらった手紙を元に字コンテを作成します。Premiere Proのタイムラインの一番下に音楽を敷き、その上に手紙の内容を整理したテキスト、撮影指示やレンズの指定などを書き込んだ文字だけのコンテを並べ、尺感やカット割りをシミュレーションしてみます。まだ当日を迎えていない段階では机上の空論なので、撮影のアイデアはあくまで「実現できたらいいな」程度で大丈夫です。

タイムラインの最上部には、楽曲がAメロからBメロに入る、サビに入るなど大きく変化する箇所にマーカーを追加しておくと、BGMの抑揚に合わせて映像の構成を考える目安にできます。今回の例では3分30秒あたりに「ここは愛がたどりつく場所です」という新婦の声が入るのですが、そこをクライマックスと決めて、音楽が一番盛り上がるタイミングと合うように構成しました。

字コンテは当日に備えて編集のあたりをつけておくという目的もありますが、もうひとりのカメラマンに具体的なイメージと撮影指示を伝える役割も持っています。事前に音楽の雰囲気も、今回で言えば手紙の内容も先に把握しておけるので、どこがグッとくるシーンになるのか文字だけの指示より予想しやすくなり、「それなら望遠レンズでしっかり切り取ろう」などと撮影のイメージがしやすくなるのです。

ただ、字コンテと言ってもあまり事細かには決めず、あえて余白を持たせて撮影当日の判断を大事にしています。例えば38秒あるセクションでも、字コンテにはたった2行しか書かれていません。ガチガチに決めてしまうと現場を見ずに設計図通りに撮るだけになってしまうので、それよりは「ライブ」のイベントで自分の感じたものを撮ってほしいと思っています。







機材の選定

次石さんの愛用機材



ピントを詳細に確認し、LUTを当てた状態で撮ることが一番の目的だが、本体液晶ではなく、ある程度大きな画面で見たいという意図もある。α7S III本体のSDカードとNINJA VのSSDにダブルでRECして記録トラブルに備えている。

α7S IIIのISOはベース感度の640か12800に固定。シャッタースピードもある程度限定されるので、可変NDを着けた方が映像の雰囲気に影響を及ぼさずに柔軟に露出管理ができる。4ストップのフィルターを重ね着けでき、外に行く時もカパッとはめるだけで機動性が高い。

ジンバルは、導入部や状況説明など、きっちり整ったカットにしたい時に使用する。ウエディング映像は素人がモデルで、しかもドレスなのでダイナミックな動きの表現は難しい。そんな時もジンバルでぐるりと回り込むなどすれば、カメラ側で動きの演出をつけることが可能になる。

誓いの言葉など声を活かした企画の時にPAに設置しておき、ラインで音声をもらって収録する。撮影中はレコーダーのREC状態を確認できないため、音が割れにくい32ビットフロートのものを選んだ。

ガンマイクはゲストからビデオメッセージをもらう時に使用する。一番小さくて指向性がいいと思えるものを選んだ。

・ソニー

FE 35mm F1.4 GM、FE 135mm F1.8 GM、FE 24mm F1.4 GM、FE 50mm F1.4 GM、FE 85mm F1.4 GM、FE 20mm F1.8 G

・ZEISS

Milvus 2/100M キヤノンEFマウント[ZE]

(シグマMC-11でEマウントに変換)



カッチリ? カジュアル? 切り口に合わせて機材も変わる

字コンテができたら機材の選定に入ります。基本的には機動性の高さをプライオリティに置き、あとはリスクなく撮れることを重視して選んでいます。

カメラはソニーα7S IIIを2台使い、PP8 S-Log3で撮影します。使用スタイルは上の写真のような感じで、リグを組んでガンマイク、モニター/レコーダー、NDフィルターを装着して撮影します。

カチッとした画にしたい時はジンバルを使いますが、逆にあえて手持ちを使うのは、わざとボカすなどのピントワークをやりたい時が多いです。手持ち撮影は場合によりマニュアルフォーカスで、ジンバルに載せたらフォーカス固定というように使い分けています。

レンズは基本のセットが7本くらい。今回使用したうちの3本のレンズとその選択理由を右ページで紹介しましたが、その他よく使うレンズとしては24mmと50mmがあります。24mmを選ぶのは、手持ちでドキュメンタリー的に撮りたい場合。カジュアルな雰囲気で、「決まって」いない感じで撮れるのが魅力です。逆に50mmは余白なしでカッチリ決め、CMのように綺麗な構図で撮りたい時に使います。また、広い会場なのにテーブルが少なくて広角では寂しく見えてしまう場合、あえて望遠寄りのレンズを使ってテーブルが詰まっているように見せる方法もあります。

撮影は僕ともうひとりのカメラマンの2台体制で行いますが、レンズの選択に関しては個人の裁量に任せています。撮って出しの現場では何mmを使うかということより、もう一方が撮っていない画を確実に撮ることのほうが重要だからです。ただ、何回も一緒に仕事をしていると相方も僕の撮り方を掴んできて、特に指示しなくても必要な画を撮ってくれるようになります。一般的に2名体制というと、ひとりが撮影、もうひとりが編集というように役割を分ける場合が多いですが、トマトの場合はヒアリングから撮影、編集まで僕が全部やり、もうひとりがサポート役としてサブで撮影に入るというやり方をとっています。相手をひとりに固定するのは難しいですが、2〜3人に絞っていつものメンバーでやる方がこのような阿吽の呼吸が生まれやすいと思います。



使用レンズとその使用シーン

標準域のうち50mmではなく35mmにしたのは、前述した「決めすぎない」という方針のため。50mmだとバストアップでもウエストアップでも「決まった」画になりがちだが、35mmなら写真構図のように人物の周りに空間をあけ、余白を感じさせながら切り取ることができる。狭い場所でもある程度広く撮れ、50mmより被写体に近づけるのもメリット。被写体から30cm遠ざかるだけでも結構距離感が出てしまうので、ちょうどいい距離まで近づけるのが使いやすい。



85mmでは寄れないところまでグッと迫ってポイントを切り抜きたい時に使用。今回は自然な姿を撮りたいという理想が第一にあったので、被写体が圧迫感や威圧感を感じる70-200mmではなく135mmを選んだ。作例のバージンロードは結構な長さがあるが、望遠の圧縮効果を利用して画面全体が白と茶色だけで埋まるようにした。



マクロの長所は背景を大きくボカせることと、近距離でも焦点が合うこと。主な用途は指輪撮影だが、メイク室での撮影でも活躍する。狭い部屋でも近距離から撮影できるし、散らかりがちな部分も背景をボカして写さないようにできる。

左の指輪のカットは、照明にiPhoneのライトを使ったもの。実は撮影場所は化粧室で、ドアを閉め切って真っ暗にした状態で、借りてきた小さな机の上に会場にあった白い砂を散らし、その上に指輪を置いて上からiPhoneで照らしている。こうした物撮りも当日10分〜15分の時間で会場内でやらなければならない。







本番当日の動きと撮影〜編集

音声は3トラックで、BGMをベースに置き、そこにインサートで手紙の声と披露宴の音声を重ねた。映像は2トラックで、上に調整レイヤーを置いてLUTを当て、シーンごとに個別調整している。映像の上のトラックが字幕のテキスト。緑は新郎、ピンクは新婦、タイトルは黄色に色分けし、喋っている量を視覚的に把握できるようにした。



三幕構成は最終的にこうなった

「過去」の第一幕は新郎のエドさんが手紙を読む声から始まり、ふたりの出会いやこれまでの想いを語る言葉と、挙式前の支度の様子を中心に構成した。「現在」の第二幕は、今日という日を迎えられた喜びを伝えるため、披露宴のゲストをたくさん写している。第二幕の終わりに「気持ちの変化」の表現として新郎が手紙を書いているシーンを使い、お互いの気持ちが通じ合っていること、愛し合っていることを強調して挙式入場シーンへ。「未来」の第三幕を挙式のシーンに当てはめ、これから未来へ歩みだすふたりを見せて終わる。


▶ 挙式前の支度、集まるゲストたち

▶ 新郎と新婦の出会いと結婚までの話

▶ 新婦「あなたに出会うまでの私は…」



▶ 披露宴のゲストたち、ゲストメッセージ

▶ 離れた場所で手紙を書く新郎

▶ 新婦「ここが私の愛がたどり着く場所」



▶ 挙式開始、誓いのキス

▶ ゲストに祝福される様子

▶ 新郎「この先一生守りたい、愛したい」




当日は撮影開始前に3つのポイントをチェックする

では、いよいよ結婚式当日です。会場には挙式開始の5時間ほど前から入れるので、まずは現地でアングルハンティングを行います。事前に式場のホームページでも下調べしますが、現地で見る一番のポイントは光の状態です。ざっくり言うと、光が回ってあまり陰ができないのか、光と陰の両方がしっかりできるのか、ミックス光があるのかなど、会場の光が今回の企画のトーン&マナーに合っているかどうかを確認します。

二番目はカメラポジション。事前のロケハンはできませんし、初めて行く式場もあるので、相方と一緒に当日の状況を見ながら、「挙式はこことあそこから撮ろう」などと決めていきます。

三番目は事前の企画とのすり合わせ。想定している画が本当に撮れるのかを確認し、プラスアルファで撮れるものがあれば足し、逆に予定通りできないと判断して軌道修正する場合もあります。



披露宴の最後までに撮影・編集カラーグレーディングと字幕修正も

本番では、式と披露宴の間に僕とサブカメラマンのふたり体制で撮影・編集を進めていきます。たとえば朝の準備やメイクのシーンは僕が撮りつつ相方がアシスタントとして動き、チャペルでの挙式シーンは2カメで撮影、披露宴はサブに任せて僕は編集といった形で分担します。作品性だけが高くウエディングのダイジェストとは言えない映像になることは避けたいので、ここは使わないだろうという部分も割り切ってすべての場面を撮影するようにしています。

カラーグレーディングに関してはPremiere Pro上だけで行い、LUTを適用してシーンごとに調整します。種類は企業秘密ですが、市販のLUTを2種類ほどカスタマイズして使用。色の決め方に関しては、「白いものは白く見せる」が基本です。あくまでふたりの思い出を記録する映像なので、彼らがこだわって選んだブーケやドレス、リップの色味を変えてしまうことがないよう、大きく色が転ぶようなLUTは使いません。

また、誓いの言葉の字幕は事前に用意しますが、当日は気持ちが昂って予定と違うことを言ってしまうこともよくあります。今回は日→英と英→日の字幕もあるので、その場で英語ができる人に確認しながら急いで修正していきました。

こうやって披露宴の最後までに仕上げた完成映像が実際にどのような形になったかは、左ページの三幕構成の図と、p.67のQRコードから飛べるYouTubeのムービーをご覧ください。








完成映像は字コンテからどう変わったか?

1) 相方カメラマンとの連携が成功した、冒頭の女の子のカット

第一幕の冒頭に、式場の外観カットに続いて、受付で本を読む女の子を写したカットをふたつ入れた。これはやらせではなく、相方のカメラマンがたまたま見つけて撮った偶然のひとコマ。映画などでも分厚い本が開いて物語が始まるという演出がよくあるが、幕開けと人生の物語を思わせる新郎の言葉にぴったり合うカットになった。



 2) 第二幕終盤で想い合うふたりの姿を見せる

第二幕の終盤、挙式入場シーンの直前に挿入した三幕構成の「変化」を担うパート。当日の朝、花嫁のayakoさんがスマホでメールを読む一方、新郎のエドさんはペンで手紙を書いているというシーンで、ふたりの正反対な過ごし方が強調されている。それを新郎への愛を語る誓いの言葉と重ねて並べることで、ふたりは別々の場所で異なるスタイルで過ごしつつも、内心では同じように相手のことを想っているという、ふたりの心の繋がりを演出するストーリーを作り出すことができた。



3) そこからクライマックスを作り、挙式のシーンへ

2)の手紙シーンに続く「ここが私の愛がたどりつく場所です」という新婦の言葉に、バージンロードの先でブーケを持って振り返る新婦のカットを合わせて、その「場所」を表現した。そして挙式開始の説明として新郎と新婦それぞれの入場シーンを挿入。最後に新婦の誓いの言葉「この景色を見せてくれてありがとうございます。愛してます」に新郎目線で捉えた新婦の笑顔をつなげることで、いよいよ式が始まるという瞬間にふさわしい感情のクライマックスを作り上げた。



現場の対応力は字コンテと準備があってこそ生まれる

さて、完成映像は事前に用意した字コンテからどう変わったのか。いくつか見比べてみたいと思います。

相方のカメラマンとの連携プレイで成功したと思う部分は、1)の第一幕冒頭で女の子が本を読んでいるカットです。字コンテの段階では、新郎のエドさんの言葉「これは、小さな国から遥々この大都市、東京に大きな夢を抱いてやってきた男の話」から始まることと、BGMしか情報としては共有していませんでした。それでも、字コンテでイメージを伝えられていたからこそ、導入部にふさわしいと考えて撮ってくれたのだと思います。素材を見てすぐ、ここに使おうと決めました。

2)は、三幕構成の「気持ちの変化」を表現した部分です。第一幕では出会いから愛を育んでいくまでの過去の気持ちが綴られていましたが、第二幕の終盤で新婦の「現在の愛する気持ち」が語られます。

ここに挙式入場直前から入場までのシーンを合わせて、一番グッとくるポイントにすることは事前の段階から計画していました。しかし、実は字コンテには「挙式入場〜誓いの言葉をしっかり見せる」程度しか書かれておらず、実際の完成映像にも挙式入場シーンは2カットしか入っていません。代わりに入れたのは、ふたりがそれぞれ別の場所で挙式前の時間を過ごす姿を捉えた、予定にはないシーンでした。これは当日思いついて急遽撮影したもので、本人たちが気づかずに交わしている愛情をカメラマンの僕だけが見ていた……という形です。

3)は、2)の後に続く挙式入場〜挙式直前のシーンを見せ、第三幕の挙式につながる感情の盛り上がりを作る部分です。ここも字コンテ上では₂と一緒で、誓いの言葉の字幕以外はまったく同じです。新婦の笑顔を真正面から写したカットは、新郎の主観目線、つまり彼が花嫁を観た時のPOVという演出です。実際はカメラの後ろにいる僕が「こっちを向いて笑って」と指示しただけですが、きっと彼女はこういう表情をするだろうと思わせるカットに仕上がりました。

基本的には「手紙を使った三幕構成」という当初の方針が成功したと思いますが、やはり当日に何を撮るかは予想できない部分もあります。企画段階である程度テーマや構成を詰めておいたほうがいいのは、そうしておくと当日たった3分でも空き時間ができた時に、何を撮るべきか現場で即時に判断できるようになるからです。



人と違う個性ある映像はどうやったら作れるのか?

個性ある映像を作るためにすべきことは、簡単に言うと、考えて作ることです。映像の勉強方法はいくつもありますが、最初は上手い人のやり方や、格好良い映像を頑張って真似してみるだけでいいと思います。そこでフルコピーできたとしても、自分にコピーできるなら他の人もできるわけで、真似だけでは個性ある映像は作れないという壁にぶち当たるでしょう。

その時に必要なのは、やはり考えて作ることです。ある映像に感動したら、なぜこの映像に感動するのか、どうしてこう撮ったのだろうと考察するところから始まり、それを自分なりの撮り方に落とし込んでいくことから作家性の種が生まれるのだと思います。

また、カップルからいろいろなエピソードを話してもらったとしても、「ここがいい」と注目するポイントは、自分なりの観点があってこそ拾い上げられるものです。たとえば大失恋を描こうと思っても、その気持ちがわからなければツボを押さえた映像は作れません。それと同じで、失敗も成功もすべて芸の肥やしにして、自分自身のクリエイターとしての人間性を上げることがより良い映像づくりに繋がるのではないかと思います。