ソニーは、欧州の放送機器展示会IBCにおいて、XDCAM EXシリーズの第1弾カムコーダー、PMW-EX1を正式発表した。EX1は、SxS ProというExpressカード規格に準拠したフラッシュメモリーを記録メディアとして使用するフルハイビジョンのカムコーダー。4月のNABで技術展示されて以降、注目が集まっていた。
◆1/2インチのフルHD対応のCMOSを採用
これまでCCDかCMOSか秘されてたイメージャーだが、デジタル一眼レフのαシリーズでも採用されたExmor(エクスモア)技術を採用したCMOSだった。サイズはハンドヘルドの3板カムコーダーとしては前代未聞の1/2インチ。画素はHDに合わせた1920×1080。これを画素ずらしすることなく、3枚使用する。注目の感度だが、F10(2000lx)となっている。これはショルダータイプのHDCAMカムコーダーと同等の驚異的なスペックである。これまで小型のHDカメラでは、感度の点で従来のSDカメラに劣る点が指摘されていたが、それを新開発のCMOSで完全にクリアした。
◆レンズはフジノンの14倍HDズームレンズ
これもNAB段階ではアナウンスがなかったが、レンズはフジノン製の14倍ズーム。5.8ミリからというワイド設定。35ミリスチル判換算では31.4~439㎜となる。完全に業務用レンズと同等(それ以上)の操作が可能で、アイリスもリングでも操作が可能だし、ズームもサーボとマニュアルの切り替え付き。フォーカスは、リングを前にスライドするとAF、後ろにするとMFという機構。カメラを見なくても直感的に素早く確実に操作できるようになっている。フィルター径は77㎜。
◆記録は35MpbsMPEG2のHQモードと、HDVと互換性を持たせたSPモードの2種類 注目の圧縮は家庭用のAVCHD方式のハイビジョンカメラが採用するMPEG4 AVC/H.264ではなく、MPEG2 LongGOPを採用。ただしこれまでのHDVよりも高い、平均35MbpsのVBRを採用し、1920×1080のフルHD記録を実現した。またHDV編集システムとの互換性を重視した、25MbpsCBRのSPモードも用意している。
◆SxS(エスバイエス)カードスロットは2つある
記録メディアはフラッシュメモリー。家庭用のAVCHDカメラは、メモリースティックDuoやSDHCカードを記録媒体として使用しているが、EX1はExpressカード規格準拠のSxSカードを使用する。75×34㎜、厚さ5㎜というカードで、800Mbpsの転送速度を実現できる。発表されたカードは8GBと16GBの2種類。スロットは2つあり、もちろん連続記録が可能。HQモードであれば、16GBカード1枚に50分、SPモードであれば、16GBカード2枚を連続使用して2時間20分の長時間撮影も可能になる。SxSカードはノートPC等のExpressカードスロットにそのまま挿入することも可能だし、オプションとして用意されるUSBリーダー/ライターを使ってPCに読み込むことができる。取り込み用ソフトはWin版、Mac版が同梱される。
編集はリリースによると、アドビはメインコンセプトのプラグインで、アップルはFinal Cut Studio、カノープスはEDIUS Proなどで対応する予定。
◆シネアルタの一製品という位置づけ
シネアルタといえばHDCAMで24P撮影・収録ができるシステムだったが、このXDCAM EXもシネアルタ(CINEALTA)の一翼をになう製品となる。24P(23.98P)ネイティブ収録が可能なだけでなく、収録時にフレームレートを変更することにより、スローモーション、クイックモーションを実現する。720P時には1~60フレーム、1080P時には1~30フレームの可変。もちろんガンマカーブもシネガンマを4種類採用。デジタルシネマ制作にも使える仕様になっている。
▲バッテリーはインフォリチウムLバッテリーではなく、新規のBP-U30とU60というバッテリー
▲3.5インチ液晶モニターは、回転してハンドル前方のマイク下に縦方向に収納される。