鉄道ムービーの魅力とそのノウハウをご紹介してきたこの連載は、今回で最終回。鉄道ムービー撮影の中でも特に難易度が高いと言われる新幹線の撮影の3回目です。
新幹線は駅間距離が長いため、鉄道雑誌やウェブサイト等の撮影名所ガイドだけではなかなか撮影ポイントを見つけることができません。地図入りで撮影地を記載している書籍は便利ですが、これらを参考にしながらオリジナルの撮影ポイントも探してみましょう。
新幹線の撮影ポイントの見つけ方として、以下4つの項目を挙げました。
●防音壁のない場所を探す
●トンネル付近や丘陵地帯を探す
●跨線橋で撮る
●俯瞰ポイントを探す
防音壁のない場所を探す
東海道新幹線 岐阜羽島―米原 東海道・山陽新幹線の民家から離れた場所では、防音壁のない箇所もある。※この画像はスチル素材です。
長野新幹線 高崎―安中榛名 長野新幹線では、山あいの民家のないところに防音壁のない区間がある。。※この画像はスチル素材です。
トンネル付近や丘陵地帯を探す
東海道新幹線 静岡―掛川 牧ノ原台地のお茶畑をバックに撮影できる。東海道本線の菊川駅から北方向へ1.5kmの位置にある小高い丘から撮影。午後は写真左奥に見えているトンネル上からも撮影可能。
跨線橋で撮る
長野新幹線 高崎―安中榛名 安中榛名駅の上り側にある跨線橋より撮影。右はその撮影現場。線路から少し離れると柵がないので歩道から簡単に撮影できる。これほど撮りやすい場所は少ない。
東海道新幹線 米原―京都 京都駅から上り側に1km、鴨川の東側にある、人だけ渡れる跨線橋から撮影。京都駅を発車した直後でゆっくり走ってくる。
上の映像の撮影の様子。ほとんどの跨線橋では、このように金網越しの撮影になる(左)。マイクが当たってレンズを金網に近づけられないときは、ワイドコンバージョンレンズを装着してテレ側(望遠)で撮影するのが効果的。金網越しではフォローができないのと、高さの微調整が必要なので、三脚はスチルカメラ用のものが使いやすい(右)。
俯瞰ポイントを探す
山陽新幹線 相生―岡山 千種川橋梁北側にある高雄山の展望台(山頂に向かう舗装道路の終点から徒歩10分、東屋が目印)から撮影。
東北・上越新幹線 上野―大宮 京浜東北線・王子駅近くの北トピア(ほくとぴあ)展望台から上野方面を見る。大宮側の撮影も可能。
今月のお奨め路線 九州新幹線
新水俣―出水
2011年3月に全線開通した九州新幹線。部分開業時は800系の「つばめ」だけでしたが、全線開業でN700系が加わり、列車も新大阪直通の「みずほ」や「さくら」が走り始めました。
沿線は意外に丘陵地帯が多く、トンネル付近や丘の上には撮影できる場所が点在していますが、中でもこのポイントは部分開業時から名撮影地として知られています。並走する肥薩おれんじ鉄道の袋駅から国道3号線を鹿児島方面へ2km、前田簡易郵便局のある細い道を山側に向かうと、みかん畑の間からこの風景が見えます。バックの八代湾が美しい日の午前中に訪れたい場所です。
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【筆者プロフィール】佐々倉 実
鉄道映像作家。小学生の頃から鉄道写真を始め、大学生の頃、当時鉄道員をしていた今井洋氏と出会って以来、製作活動をともにする。現在は、佐々倉氏が撮影、今井氏が編集を担当し、雑誌やDVDパッケージを中心に鉄道ビデオを製作している。DVDに『魅惑の蒸気機関車 四季SL紀行』、『日本の鉄道 新幹線・特急編/蒸気機関車ローカル線編』などがある。2010年7月に『感動の美景鉄道』(MAXAM)が発売された。2011年7月には新刊『全線全車種全駅新幹線パーフェクトガイド』(講談社)が刊行。
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